第3話  断りたい

 フレイ様と契約をしてから、私は別の意味で牢獄行きになるんじゃないかと思いながらも、日々フレイ様の言いなりになる生活を送っている。


 フレイ様は、ある時には一緒に城下町に行こうと。またある時には、一緒に食事を取ろうと。他にも、一緒にお風呂に入ろうなんて言ってくる。はっきり言って断りたい。断りたい、が断ってしまえば私が女であることをバラされてしまう。


 城の中では、フレイ様が専属騎士と恋仲なのではないかという噂も出始めている。噂は段々と大きくなっていくものだ。いずれは、フレイ様に手を出したという濡れ衣を着せられて、牢獄行きになるに違いない!


 だから今日こそは、今日こそは!フレイ様の命令を断ってみせる!


「レイリー、今日は私の部屋で寝なさい」


「はい?どういうことですか?」


「そのままの意味よ。私には気を許せる友達なんていなかったから、友達とお泊り会というのをしたことがないの。こんな可哀想な私の願いを叶えてくれてもいいでしょう?」


「無理ですよ。フレイ様の部屋に泊まったりしたら、周りから変に思われますよ」


「大丈夫よ。レイリーは実際女の子だし」


「周りの人たちはそんなこと知らないんですよ。流石に無理です」


「わかったわ、そんなに嫌なら仕方ないわね」


 あれ、なんだちゃんと断れば聞いてくれたんだ。まぁ流石に今回のは、フレイ様も冗談で言っていたんだろうな。


「レイリー、私お父様のところに行ってくるわね」


「え?何故です?」


「はぁ、また1から騎士を選び直さないと行けないわね。大変だわ〜」


 え?まさかそれって…


「…フレイ様、1夜ですがお世話になります」


「フフッ、あら、いいのよ無理して了承してくれなくても」


「いえ、無理なんて、むしろ嬉しいです。フレイ様のお部屋に泊まれるなんて」


「そう、それなら良かったわ!」


 くっ、また断れなかった!


 こうして私は姫様の部屋に泊まることになったのだ。次の日、フレイ様と私が同じ部屋で寝ていたことが噂になっていたのは言うまでもないだろう。


 まぁ、あんなフカフカなベットで眠ったのは初めてだったから、悪い気はしないけど。


「レイリー、今日も泊まっていく?」


 前言撤回、これ以上フレイ様と恋仲だという噂が出ると私の今後に関わってくる。フカフカなベットなんかに負けるな!私!


「泊まりません!」


「冗談よ。まったく、つれないわね」


 はぁ、あんな契約するんじゃなかった。あの契約のせいで、問題がもっと大きくなってしまった。


 ああ、もう!どうすればいいんだ〜!


 


 

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