キャンプはみんなで 7

男たちのレクチャーは続く。


「ポイズントードの肉は食えない。

皮が加工品に使われるんだ。

だから、ベテランはポイズントードの皮だけを剥いで持ち帰るんだよ。」

「そうすりゃ、1人で5~6枚ぐらい持てる。解体の作業料も取られない。

収入が一気に増えるんだ。」


「なるほど。」


「だから、初めてのダンジョンだと、

出現モンスターの確認、

討伐証明部位の確認、

金になる部位の確認

そこまでやってからダンジョンに入るんだ。」


「だから、どこにどんなモンスターがいるかを把握して、効率良く稼げるモンスターを狙うのが冒険者の基本だぞ。」


「ありがとう。

あなたたち、本当に親切ね。

最初の声のかけ方さえ、もう少し上手だと助かるんだけど。」


「仕方ねぇだろ。俺たちは荒くれ冒険者だぞ。」


「自分で荒くれって言うの、ふふ。」


レオナが笑うと照れてしまう俺たち。

レオナほどの美人は冒険者にはいない。

王女の気品はさすがだ。



冒険者の世界も厳しいのである。

ダンジョンに潜って宝箱をゲット!

一攫千金!!

みたいなことはない。

なにせ、何人もそのダンジョンを探索しているのだ。未発見の宝箱なんて、まず無い。


冒険者はモンスターを倒すと討伐証明部位と呼ばれる部位を切り取り持ち帰る。

ポイズントードなら舌だ。

それを冒険者ギルドに提出すると討伐報奨金が支払われる。


しかし、報奨金は少ない。

それだけでは生活が出来ない。

だから、モンスターの死体やダンジョンではえている植物などを持って帰り換金するのだ。



「そうだ。

明日一緒にダンジョンに行くか?

少しぐらいなら教えてやるぞ。」

「話を聞いただけじゃわかんないからな。」


「えっ、いいの?」


「新人は素直にベテランの教えを乞わないとな。」

「ただ、悪い冒険者もいるから、教えてもらう冒険者はギルドに頼むのが基本だぞ。」

「本来は新人教育は依頼として受ける仕事なんだからな。」


「そうなんだ。

本当に親切ね。

ありがとう。」



4人組の冒険者。

ドッヂ、ボロンゴ、ゲレーロ、マッチソン。

それが名前だ。

全員アラフォーのベテラン冒険者だ。

毎日ダンジョンに潜って、トロンコダンジョン名産の赤毒菊という花を採取している。

この赤毒菊は解毒薬の材料として優秀なのだ。トロンコ村の解毒薬は評判が良く、村の収入源になっている。


4人とも既婚者で、トロンコ村に根をおろし、安定的に赤毒菊の供給を行い、村に貢献している。

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