キャンプはみんなで 6

その日、新生勇者パーティーが誕生した。


言わずと知れた勇者ティファ。

勇者は剣と魔法の両方が使え、全ての能力が高いオールラウンダー。

まだ実力を開花させていないが成長すれば人類最強になれる逸材。


魔法使いの王女レオナ。

魔法が使える人材は少ない。

レオナは幼少期よりしっかりと教育を受け、魔法使いとしての能力も高い。

パーティーの後列アタッカーとして、最大火力を誇る。


見習い騎士アイシャ。

防御力も高く、前衛として盾役を務めることが多い。

アイシャの護衛を務めることが幼少期より決まっており、そのための教育を受けている。

戦闘では攻撃でも活躍しチームの中心的役割を果たす。


見習い神官クリス。

戦闘訓練は受けていないため、まだまだ戦闘では役に立たない。

しかし、回復魔法が使えることが最大のウリ。傷を癒し、毒を解毒できるクリスがパーティーにいてくれると、みんなが安心して戦える。


一般的な冒険者とは比較にならない豪華な布陣である。


「明日からダンジョン探索頑張るぞ~!」

「「「おー!」」」


気合も十分だ。




そして翌朝。

ティファたちはトロンコダンジョンに到着した。


レオナ

「ここね。みんな準備はいい?」


「ここは毒になることが多いダンジョンです。クリスのMP には常に注意して、余裕のある段階で引き返しますよ。」

アイシャは冷静だ。


「そうね。

今日は様子見ね。

初ダンジョンでメンバーも増えたし、1つ1つ確認しながらいきましょ。

クリスも疲れる前に言ってね。」


「わかりました。よろしくお願いします。」



そしてダンジョン突入

大失敗だった。


昼過ぎにダンジョンを脱出。

用意していた昼ごはんは転んだ拍子に泥まみれになり食べられず。

持ち帰ったのはポイズントードの死体2つといくつかの討伐証明のみ。たいしたお金にならなかった。宿屋代を考えれば赤字である。


しかも全身泥まみれで、装備の手洗いだけで夕方になってしまった。

戦いの練習をしたのか洗濯の練習をしたのかわからないような状況である。


その日の夕食。

近くの食堂で食べていた。

4人とも表情は暗い。


すると、ギルドにいた4人組が店に入ってきた。


「あっ」


「お嬢ちゃんたちか。

今日のダンジョン探索はどうだった?」


「あなたたちには関係無いでしょ。」

レオナはあしらうが昨日のキレは無い。


「あのな~、心配して声かけてんだよ。」

「ポイズントードを必死に背負って帰ってきたんだろ。」

「そんなことしてちゃ、赤字になるぞ。」


「でも討伐証明だけだと報奨金は少ないから、モンスターの死体なんかを持ち帰って換金するのは当たり前でしょ。」


「当たり前なんだが、その当たり前も奥が深いんだよ。」

「ポイズントードの死体で金になるのはどこか知ってるか?」


「え?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る