第53話 反撃!変化!?

四方から襲ってくる矢に対し、

モナカが一瞬で爆発的に体を膨張させ、4本の矢を絡め取った!


…助かった!モナカに包まれるような感じで安堵する中、


『なっ何!?あれはナンタム族!?』

と黒肌で角をもつ男が驚愕の声を上げ、同じく驚きで周囲の猪族が一瞬動きを止めていた。


そこに、フラウ姫が、

『リュノ!五芒星ごぼうせいくずして!地面の魔道具!』

と指示を出すと、


『了解、ロックオン!ナイン・ウォーター・レイ!!』


とリュノが魔法を唱え、極限に圧縮された9条の水のレーザーが、周囲4人の猪族と4人が地面に置いた何か、そして黒肌で角をもつ男に対し放たれた!


ズガガガッ!ドドドゥーン!!という轟音と共に魔道具がレーザーに貫かれて暴発し(1個狙いが逸れて外れたが)、レーザーを避け損ねたり暴発に巻き込まれたりした周囲の猪族がダメージを受けていた。

黒肌で角を持つ男は

『なななぁ!嘘だろー!』

と叫びながら膝から崩れ落ちるようにレーザーを避けると、そのままうずくまって頭を抱えていた。


…よしっ!今のうちだ!

俺は急いでフラウ姫に魔力譲渡をするために駆け寄った。



◇◇◇◇◇◇◇◇

 一方、突っ込んできた族長に対して、朱里ちゃんは避けて通り抜けをさせないために、踏ん張れないタイミングを狙って、腿あたりの高さで横薙ぎに刀を振るった!

 この斬撃に対処するためには足を止めて受けるしかないと思われたが、族長は驚異の身体能力で、踏み込み不十分にも関わらず上にジャンプして避けていた。


ニヤッと笑った族長だったが、そこに即座に飛翔したミズハ隊長が突撃して剣を叩きつけた!

すると族長は驚きながらも何とか剣で受けたが、地面に勢いよく落とされ、そのまま数メートル土煙を上げて飛ばされていった。


即座に跳ね起きた族長が、

『どうなってやがる!?魔法使ってるじゃねぇか!?』

と黒肌で角を持つ男を見ると、頭を抱えてブツブツ何か呟いていた。


『ちっまぁいい、歯ごたえがなさ過ぎるのもつまらなかったしな!…おいっ身体強化の魔法ぐらい使えるだろ!寄越しやがれ!!』


族長が怒鳴ると、黒肌で角を持つ男はチラッと族長を見た後、呪文を唱えた。

すると、男から放たれた禍々まがまがしい暗赤色(暗く発色するどす黒い赤)のオーラが族長を包みこんだ。


『うがぁぁぁぁあぁあぁあ!!』



◇◇◇◇◇◇◇◇

 フラウ姫に魔力譲渡をした後、周りを警戒しながら近衛隊の人達に順番に応急処置的に魔力譲渡をしていると(女性の近衛隊の人は歯を食いしばって声を上げないように耐えていた…やっぱりしんどいんだろうか…)、ミズハ隊長と朱里ちゃんが対応していた猪族の族長の叫び声が聞こえた。


丁度応急的な魔力譲渡も終わったので見ていると…叫び続ける族長の身体に暗赤色のオーラが浸食するように入り込みまとわりついて…おい、身体が大きくなっていってないか?


リュノとミズハ隊長が族長に向けて魔法を放ったが、近くでダメージを受けうずくまっていた猪族を黒肌で角を持つ男が魔法で浮かせ、盾にして遮ってしまった。


盾にされた猪族は動かなくなったが…


その間に変化が終わったのか、荒い息を上げる族長が目を上げ、こちらを向くと…目が暗赤色に光ってやがる!

ぐっ!威圧感がヤバい!!


こちらが息を飲んでいると、軽く体を確かめたらしい族長は

『くっくっくっくっ!これはこれは!!…ははっ!簡単に壊れてくれるなよ!!!』

と口から暗赤色の息を吐きながら言うや否や、ドンッという音と土煙と共に、爆発的な踏み込みでミズハ隊長に突進してきたのだった!

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俺にしか見えない妖精に頼まれたので異世界に行ってみることにした 秋空 海 @Yoshi00871

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