31. 後日談

 佐助と胡桃のその後の話。


 カベツヨはゴブリンたちに襲われるも、胡桃から助けるようお願いされたので、佐助はカベツヨを助け、ギルドに突き出した。ギルドは事態を重く受け止め、免許の停止はもちろんのこと、警察に通報し、カベツヨは逮捕された。


 胡桃はこの事件がきっかけで注目を集めた。芸能界を引退することも囁かれたが、配信にて涙ながらに語る。


「今回の件でわかりました。私はまだまだ女優としても、人としても未熟。だから、今後もダンジョン探索を続け、人としても女優としても成長していきたいと思います! とりあえず、あと1か月でB15階まで行けるようになります!」


 胡桃のこの決意に、多くの応援コメントが書き込まれ、チャンネルの登録者数も増えた。


 配信後、佐助は胡桃にハンカチを渡して、「おつかれ」と声を掛ける。


「ねぇ、私の本気伝わった?」


「ああ。でも、本当にいいのか? ダンジョン探索はそんな甘いもんじゃないよ」


「嫌に決まってるでしょ。でも、使えるものは使わないとね。それに、佐助君は私のことを応援してくれるんでしょ? だから、これからもよろしく」


 先ほどまでの熱い決意はどこにいったのか、飄々と微笑む胡桃を見て、彼女はきっと良い女優になれると思った。


 そして佐助は、カベツヨの件で思うところがあった。カベツヨの件が一段落した後、眠る前に考える。自分のやっていることがカベツヨと同じ気がしてきた。自分もカベツヨも欲求のために他者を利用している。違いとしては、犯罪かどうかでしかない。


(やっぱり、心にワクワクを求めるのは違うよな)


 しかし、心が望んでそれをしているのだとしたら、どうだろうか。需要と供給が奇跡的に一致している関係。それが自分と心の関係。


(いや、それは都合よく考えすぎか)


 答えが出せないまま、眠る日々が続いた。


 ――が、ある日、重みを感じて目覚める。目を開けると、心がいた。心は目を輝かせて、佐助の顔を覗き込んでいた。


「佐助、配信の件で良いこと思いついちゃった」


「何?」


「佐助ってさ、女の子に変身できるでしょ? だから、女の子に変身した佐助と私でイチャイチャカップル配信をするの。きっとバズるわ」


「俺が女の子に?」


「うん」


「それで、俺が心とイチャイチャするの?」


「うん。可愛い女の子たちがイチャイチャしている動画とか、勝利したようなもんでしょ」


 佐助から笑みがこぼれる。自分が女の子になって、配信に出る発想は無かった。さすが心。自分には思いつかないアイデアで、いつもワクワクさせてくれる。


「いいよ。その話、乗った」


「良かった!」


 今の心との関係が良いか悪いかわからない。が、もう少しだけこの関係を楽しみたいと思った。




------------------------------------------------------------


ここまでお読みいただきありがとうございます!

この話をもちまして、第二部完結です。

また、作品としてもこの話で完結にしたいと思います。

キャラや設定を修正したいのですが、全体的に作り直した方が良さそうだと感じたので。

最後の方は、駆け足になってしまい、申し訳ありません。

女の子に変身してイチャイチャする展開につきましては、次の作品で書きたいと思います。


改めて最後までお読みいただきありがとうございました!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

幼馴染との配信チャンネルをクビになった俺が、RTA配信を始めたら有名になった話 三口三大 @mi_gu_chi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ