第26話 解放
9時20分マレーシア、ザ・リッツ・カールトンホテル前、エントランスに置かれたソファに座り込んで東堂が来るのをある一人の男が待ち構えていた、ふと男は腕時計で時間を確認すると、隣に誰かが座り込んで来たことに気がついた、しかし男はそんな事を気にすることなく東堂がいつホテルに来るのが緊張した様子で待ち構えた、やがて腕時計の針は9時28分を差した、男はふと顔を上げ入り口の方へと振り向こうとしたその時、「何するつもりだ?、」隣に座る男がこちらを異様な目で見つめていた、「フッ、どちらさんでしょうか?」男は冷静を装って隣の男性に問いかけた、すると、「ジャッキ!」突如隣の男性は隠し持っていた拳銃を自分の膝元へと突きつけた、その瞬間一気に男の背筋は凍りついた、「誰の命令で東堂の殺しを引き受けた?」 「お前は…誰だ!」その時、ホテルの入り口から東堂がSPを引き連れて中へと入ってきた、「お前、まさか南条かぁぁ!」男が正体に気がついた瞬間、南条は一瞬の隙にサプレッサーで腹と首の二発で静かに射殺した、殺しを引き受けた男はその場で静かに眠りにつくと、南条は人混みに紛れてその場から立ち去った、去る瞬間、南条の目線にはホテルのエントランスを歩く東堂の姿が目に映った。
7時間後、都内ビルの屋上へと訪れたエージェントの佐竹は、金網から夜の町を見下ろす斎藤の姿を発見した、「こんな場所に呼ぶと言うことは、また何か任務ですか?」佐竹は変わらずの不敵な笑みを浮かべながら斎藤の元へゆっくりと駆け寄った、「先に偵察した部隊が殺られた、敵は何か過去を塗り替えたかもしれん、お前には敵の情報を探ってきてくれないか」 「そうですか、」佐竹は小さく応えながらゆっくりと懐から拳銃を手に取った、「東堂が極秘で開発した設計図が無くては日本は国外からと張り合うことが出来なくなる、頼むぞ、佐竹」斎藤は信頼した表情でこちらを振り向いた、ふと佐竹は取り出そうとしていた拳銃を、再び懐へと戻した、「わかりました、情報を探ってきます」佐竹は心のどこかにある雑念を取り払うように、冷静な様子で斎藤の場から去っていた、屋上から下へと降りる際、扉の裏には数人の工作員が拳銃を構え待ち構えていた、「後の処理は任せたぞ……」再び佐竹は笑みを浮かべながらその場を後にした。
シートから目を覚ました南条はふと立ち上がった、ジェット機の窓から見えてきたのは、夢にまで見ていた日本列島の姿であった、「南条さん、」すると乗務員の女性が南条の名前を呼ぶと、一枚の手紙を南条に手渡してきた、「青葉さんという方から日本に帰る前に渡して欲しいと」
南条は考える暇もなくすぐに手紙を受け取り、文面を見始めた、そこには、日本へ帰れるように仕向けてくれた青葉の思いが綴られていた、「見てください、もうすぐ羽田に着きますよ南条さん!」南条はふと手紙から顔を上げた。
ずっと帰ることが出来なかった、家の前へと南条は立つと、噛み締めるように一歩ずつドアへと歩いた、そして意を決してインターホンを押し込んだ、家のドアが開く間、南条の心臓の鼓動が高まってきた、その時、家の扉が開いた、「ガチャン!」。
祖父の呼び掛けに、庭で遊んでいた早姫は祖父の方を振り向いた、祖父は喜んだ表情を見せている、すると祖父の後ろから、ずっと寂しくしていた見覚えのある顔が、笑顔で私を迎えていた、南条は幸せな様子で娘の元へと駆け寄り、深く締めた、南条は思わず涙が段々と溢れて落ちて行き、ようやく何かから解放されたのだと、実感することが出来た、娘を抱き抱える目線の先には、笑顔を浮かべる妻の写真が見えた、「もう二度と…君から離れないよ」南条は娘を卸して慌てて涙を拭うと、祖父は優しい表情で肩を叩いた、「良く帰ったな、」 「フッ、ただいま」
すると早姫は南条の腕を引っ張って庭へと連れていった、南条は早姫の姿を笑顔で見つめながら、連れていかれていった。
リセット (Re:Set) たけ @Takesaku0001manabu
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