異世界生活・7日目

今日は子供達と少し遠出をします。

キッカケは、孤児院でのお茶の時間でした。子供達…主に女の子達からですが、女神様のお花は新しくしないの?と聞かれたのです。私が知っているのは街外れの小丘だけなので、その事を子供達に伝えると「近くの森にお花畑があるよ!」と教えてくれました。


流石に街の外に一人で行くのは不安だったのですが、子供達も行くと言うのでオヤツを持って森に遊びに行くことになったのです。森に行くとエドさんに話したら、ついでにコレを採取して欲しいと薬草図鑑を渡されました。必要なのは、これからの時期に必要な『スーット草』『クルレソ』『ミグの実』でこれから行く森にあるという事でした。


毎年子供達に採ってきてもらうそうなので、教えてもらいながら採取してみようと思います。


私がお世話になっている街は『クローウッド』という名前で、『フォレントス王国』の中にあるそうです。街の名前も国の名前も今更知ったのですが、バレては恥ずかしいので知ったフリで子供達の話に頷いておきました。自分から話さなければ、なんとかなるものです。


朝のお仕事が終わってから、孤児院へ向かいます。子供達と合流して早速森へ向かいました。クローウッドを出て三十分ほどでしょうか。子供達がよく来る森へ到着しました。

薬草図鑑と生えている草を見比べながら、エドさんからの頼まれものを採取していきます。子供達も手伝ってくれたので、無事に採取を終えることが出来ました。

うっかり、毒のある草を取ろうとして年長の子に怒られたのはナイショです。「ねーちゃんはボケっとしてるから気をつけないとなー」ですって。皆が頷いていたのは何故でしょうか…。


森の奥へ進むと、少し開けた場所に紫のきれいな花が咲いていました。ここがおすすめの一つだそうです。ちょうど小腹の空く頃だったので、用意してきた軽食を出します。

サンドイッチとクッキーですが、皆喜んで食べてくれました。他にも花の咲いた場所があるということなので、ここのお花を少し摘んでから向かいます。


子供達のオススメ場所を回って、四種類の花を集めることができました。木々に絡まっていた蔦を編んで、前に作ったものよりしっかりとした花冠を作ります。色とりどりの花と蔦の葉がとてもキレイな冠が出来ました。足元や手首に飾るものも作って女神像に飾ります。最初の白い花冠はバラして、新しい花冠につけ直しました。


女神像を飾り付けて皆でお祈りをします。

眩しいくらいの光でしたが、とても喜ばれていると感じました。子供達に前に飾ってた白い花を少しずつ持たせて、孤児院へ送っていきます。皆とてもいい顔をしていたと思います。


その晩、夢を見ました。色とりどりの花畑の中で色とりどりの花冠を身に着けた美しい女性の夢を。

…あの子達に渡した白い花は、あの子達の事を守ってくれるんだと、そう感じました。

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