11話 大切な人の過去
「迷惑をお掛けしました…」
「やっと冷静になってくれたか」
自分の病室に戻った瞬間、雅が土下座しながら謝ってくる。久しぶりに再会した興奮も幾分か収まったのだろう。
「足も舐めます!というか舐めさせてください!」
「は?なにボクの英理歌にセクハラしてるの?」
「キモい……」
前言撤回、こいつ全然冷静になっていないし反省もしていない。もっとストーカーって大人しいモノじゃないのか?真正面からセクハラしてくる程アグレッシブなのか?
「あ、伝え忘れていました。今回の事件について私の権力も使い調べてみたのですが、どうやら本当に藍晶が関わっているみたいです」
「………どうしてそう言い切れる?」
「周囲のクラスメイトに聞き込みしたところ、犯行を行った女子生徒と最近親しげに話している場面を目撃した人物が複数人居ました。犯人の供述もありますしほぼ藍晶が唆したと考えていいと思います」
あいつはあの時に何も学ばなかったのか?
あいつが何をしたのか、私がどうしようとしたのか、それをあいつは知っている筈なのに。
「へー、その藍晶って奴が英理歌を傷付けたんだ」
「消しに行こうとするな」
「ケチー」
「人の命を軽々と消そうとしないでください。あと行くなら私も行きます」
「だからお前達は人の命を何だと思っているんだ?」
「英理歌を傷付ける人は人じゃないよ?」
「あれは畜生です。人じゃないです」
「世の中には法律というモノがあるんだ。例えあいつが人でなくても一応人として扱われるから殺したら犯罪になる」
「「バレなきゃ問題ない」」
「……そうだな。もうそれでいい。面倒臭くなった」
「「じゃあ消しに!」」
「やめろ」
その後数分を掛けて漸く藍晶を殺害しに行こうとする二人を説得する事に成功した。
「ところでさー、言い難いかもしれないけど英理歌とその藍晶ってどういう関係なの?」
「それは……複雑だな。私の過去を話さないと理解できないと思う」
「聞きたいな〜」
そっと目を反らし拒絶の意を示す。
正直これで諦めくれると助かるが……
「もしかしたらデートしてるとき突然洋服買いたくなっちゃうかもなー」
そんな事お構いなしに追求してきた。
「何故そこまで聞きたい?」
「だって大切な人の過去だよ?気になるじゃん。それに英理歌の事もっと知りたいなーって」
「聞いてて気分の良いモノじゃないと思うが?」
「大丈夫大丈夫!」
「目の前で惚気られて脳が破壊されそうなんですが」
「はぁ……なら話そう。結構長くなるが大丈夫か?」
「大丈夫!」
「分かった。じゃあ話そう」
「あいあむえあー」
「黙って」
「ひどいです…」
「そうだな…赤花との出会いも深く関わっているからまとめて話そう」
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