8話 元大切な人
「………そうか」
藍晶水仙、私の元幼馴染であり元大切な人だ。私の両親が亡くなった後、当時仲の良かった幼馴染の家に引き取られたがそこで幼馴染に裏切られる事になる。
あぁ、本当に思い出したくない記憶だ。彼処から私の人生は可笑しくなったのかもしれないな。
「あいつとは過去に決別した筈だ。何か執着される理由に心当たりとかあるか?」
「ない。あの時も温情を掛けてあいつだけは賠償金などを請求していない。あぁ、もしかしたらあのスクールカーストを崩壊させた逆恨みとかならあるかもしれないが」
あいつがスクールカーストを意識しているとは思わないが犯行動機となるとそれくらいしか挙げられないだろう。
「もしかしなくてもお前の事が大好きで一緒に居た忍が許せなかった、とかだろ」
「それはない。第一、あいつには好きな人が居た筈だ。それに私の事が好きならあの時あんな事をしないだろう」
「えー、絶対にそうだろ」
「ある訳ないだろう」
「まあ、とにかくあの腑抜けの動向を気に掛けておけ。もしかしたらもっとやばい事を仕出かすかもな」
「…そうだな」
一応私は特例クラスだから一般のあいつとは中々関わらないだろう。しかし警戒しておいた方が良いか、頭の狂った奴は何を仕出かすか分からない。
「ところで刺してきた女子生徒はどうすんだ?」
「慈悲なんて掛けない、徹底的に潰す。それは貴女が一番理解しているだろう?」
「はいはい、そんじゃいつものやるかぁー!でもアタシはお前の後見人だから担当するのはリスクあるからな。他の奴にお願いしとくわ」
「ネット上に動画は?」
「最悪な事に上がってる。情報開示請求&損害賠償請求のコンボだ。最悪だな、モザイクが掛かっているとはいえ事件の瞬間を上げるなんて。」
「そうか」
「しーかーも、モザイクは顔に掛かっていないのに顔がドアップだ。あーあ、これじゃあ肖像権の侵害だぁ!しかもご丁寧に詳細まで添えられてるねぇ!これじゃあ社会的地位が下がってしまう!名誉毀損罪も追加だ!」
「おーけー、徹底的に潰そう。証拠は当然あるんだろう?」
「あり過ぎてもう要らない。これなら情報開示請求も通る」
「後は頼んでも大丈夫か?」
「全然良いぞ、こんなん勝ち戦だからな。お前は楽にしとけば良い」
これだから馬鹿は…何故自分が法を破っている自覚がないんだ?本当に愚か過ぎる。
「藍晶は?」
「………あいつには一度情けを掛けた。これは二度目だ。学習しないのか?当然あいつも……あいつ…も」
本当にそうして良いのだろうか?今は決別していても過去に仲が良かった筈だ……
私は…どう、すればいいんだ?
あの時はあいつがやったという絶対的な事実があった。しかし今回は飽くまでも犯人の証言に過ぎない。物的証拠がない以上事を荒立てるのは早計だろう。
「まだ確証が無い。様子見する」
「……りょーかい、そんじゃ私は行くわ。学校生活楽しめよ言わなくても分かってると思うけど藍晶については警戒しとけよー」
「分かってる」
狐百合は手をヒラヒラ振りながら病室を出て行き、それと同時に忍が入って来る。
「ねぇねぇ、デートがこんな感じで終わっちゃったからさ、退院したらもう一回行かない?」
「……いy、「嫌だとか言っても連れてくよ」行こう」
「やったー!」
最初から1択じゃないか
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「切腹します。介錯は任せました」
「おいおいおい!突然発狂すんな、どうした?」
「うぅ……守れませんでした…私のせいです……」
「あー…その、なんだ?まー…うん、お前のせいではないー、な、うん、そう」(こいつ面倒臭ぇー)
「守れなかった私に生きてる意味は無いです…」
「なんだこいつクソダルいんだけど」(いや、あるって安心しろよ)
「……心の声って、偶に漏れちゃいますよね」
「………」
「………」
「そ、そういやあいつはどうしたんだ?」
「あの畜生ですか、あの畜生にも制裁しようとしたんですがちょーっと厳しいんですよね。本当に不服です」
「あぁ?どうしてだ?」
「下手に刺激したらやばくなりそうなんですよ」
「どういう事だ?」
「不服ですけど、ほんとーっに不服なんですけどあの戦犯も私とタイプは違うけど同類みたいなんですよ」
「あー……やっぱヤンデレに好かれる運命なのかあいつ」
「はぁ…何であの畜生が一緒の高校なんでしょう…まあいいです!もう少しなんですよ!具体的に言うとあと二日位で私もそっちに行けそうです!」
「おー、早く来いよ。でないと堕とされるからな。というかもう堕ちかけ」
「は?」
「マジトーン怖すぎ切るわ」
「……は?」
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