7話 無茶の影響
「ここ、は?病i─ぐっ」
目を覚まし、視界に入ってくるのは真っ白の天井と光っている蛍光灯だった。何処か確認するために起き上がろうとすると腹に鋭い痛みが走る。
白いベットの上で包帯が巻かれている腹、恐らく私は助かったのだろう。
「おっ、やっと起きたか」
「赤い狐「赤い狐言うな!」今はどういう状況だ?」
「お前は腹部を刺され出血多量に加え臓器も少し傷付いていた。もう少しズレてたら完全に臓器がやられてたな。そんで、三日間寝込んで今はほぼ治りかけ。お前の治癒能力やばすぎて医者も『化け物かな?』って爆笑。お前本当に人間か?」
「生物学上人間だ」
私を人間かと疑ってくる赤い狐こと赤花狐百合。私が起きるタイミングでここにいるとかストーカーか?
「ところで忍は無事か?」
「無事、だけど無事じゃないな。早く会ってやれ。あいつ病んでんぞ」
「無事なら良かった」
忍が無事で安堵していると勢い良く扉が開かれこちらに白いモノが凄い速さでこちらに突撃してくる
「ぐぇ」
「英理歌ぁ…無事で良かった…ボク本当に心配したんだよ?」
突撃してきた忍の目は少し赤く、泣いていたのだろうと分かる
「すまない」
「どうしてあんな無茶したのさ」
「庇わなければ忍が犠牲になっただろう?それに、もう二度と大切な人を失うのは嫌だからだ。」
「もう二度とあんな無茶しないで」
「分かった。約束しよう」
「えへへ、うん。約束だよ」
ついつい頭を撫でてしまった。嫌がられてないようだしこのまま続けておこう。そんな事よりこちらをニヤニヤしながら見つめてくる赤い狐をシバきたい。
「おーおーイチャつきやがっていいぞもっとやれ。という事でお邪魔虫は退散しますよーっと。忍、頑張れよ」
「はい!赤花さん!」
私が寝ている間にどんな関係になったんだ?私の知っている限りじゃ全然関わりなんてないし三日間でここまで仲良くなるものなのか?
「一体どういう関係なんだ?」
「んー…師匠と弟子?」
「何の師匠なんだ?」
「秘密」
「そうか…」
「あ!所で林檎持ってきたから剝いて食べよ」
忍は持っていた袋から林檎を取り出し手に持った果物ナイフで剥き始める。
……その果物ナイフは何処から取り出したんだ?
「そのナイフは何処から?」
「……世の中には知らない方が良い事もあるんだよ」
「聞くのは遠慮しておく」
突然ハイライトの消えた目をしながら真顔で見つめられた…正直言って今までの人生で一番命の危機を感じた。
「林檎剥けたし食べよ」
「分かった」
忍は切り分けられた林檎を手に持ち、その手をこちらに向けてくる。そしてその状況で数秒間見つめ合う
「その手は?」
「あーん」
「自分で食べられる」
「あーん」
「いや、自分で食べられる」
「あーん」
「あ、あーん」
拒否したら凄い顔でこちらを見つめられた。
私に拒否権は存在しないのか…
「あっやべ」
「逃げられたか」
恥ずかしくて視線を扉の方に外したらニヤニヤしながらこちらを覗いている赤花とばっちり目が合って私が声を掛ける前に逃げられてしまった。
「…今はボクだけを見てよ」
「すまない」
「えへへ……もー!そうやって誤魔化さないでよ!」
「誤魔化していないが?」
「…手、止めないで」
「分かった」
何か、こう、忍が怒っていると自然に手が頭を撫でてしまう。私の人間不信とかは何処に行ったんだ?
一応デートしてる時とかは密着されると体がぷるぷる震えてしまったのだが…
「震えが止まっているのだが何かしたか?」
「い、いや?ナニモシテナイヨ?えっと、うーん…もしかしたら寝てる時にずっと傍にいたからかもね?」
「……ちょっと怪しいな。まあいい。兎に角、付きっきりで看病してくれたのか?」
「そうだよ。ずっとずっと一緒だったんだ。起きて初めて会うのはボクが良かったからね。…その役も師匠に盗られちゃったんだけどね。ユルサナイ」
「怖いぞ」
「えへ」
何か以前より普段の距離が近い気がする、しかもスキンシップ…はそのままか。いや、本当に気の所為だろう。
「……またこんな無茶したら監禁しなきゃ」
「何か言ったか?」
「ううん、何も言ってないよ。あっ!そうだった。師匠が話があるんだって。」
「分かった」
「でね、その話がボクは聞いちゃ駄目なんだって」
「恐らく大事な話だ。忍にはなるべく聞いて欲しくない」
「ケチー」
「後で何でも言う事聞く。だから話してる間は外に居てくれ」
「何でも!?分かった!じゃあ外に出るね!」
「……また失敗したか?」
デートの時は軽々しく承諾したら終わらないファッションショーをさせられたからな。今回も失敗したかもしれない。
「忍とはどうだ?」
「ノックもせずに入るのは社会人としてどうなんだ?まあいい、忍は多分持ち直したと思う。しかし、心なしか押しが強くなったな。それと私の震えも無くなった」
「それは良い傾向だな」
「本題は?」
「良い話と悪い話と最悪な話、どれから聞きたい?」
「良い方からで頼む」
「お前の退院する日が決まった。今の所三日後だ。傷の治りがバグってて早期に退院できるんだと」
「悪い話は?」
「犯人はお前の学校の生徒だ。しかし一般クラスだから接点はないだろう。そして動機は彼氏を忍に盗られたかららしい。だけどそんな事実は何処にもないからデマだな」
「最悪な話は?」
「そいつを唆した奴が居る。唆した奴の名前は
「お前の
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