1話 高校に行く必要性

高校という物に行く理由とはなんだろう?青春をすること?社会に出たくないから?色々と思い浮かぶだろう。その中で最も重要な事は高卒という学歴を得れる事だと思う。もちろん中卒でも働けるが茨の道になるだろうが。

別に青春したい訳でも無く、就職に有利になるから高校に行っているのだとしたら就職しなくても生きていける程金を稼いでいたのなら行く必要は無くなるだろう?


「という訳で私が高校に行く必要はない。」

「うっせぇ、行ってこい」

「何故だ!」

「その捻くれた精神とトラウマ治してこい。捻くれ人間不信ぼっちが!」

「黙れ!脳筋アマゾネスゴリラ弁護士に言われたくない!」

「なんだとこの野郎!」

「私は女だ!」


ワーワーギャーギャー醜い言い争いをしている相手は

赤花狐百合あかばなこゆりという私の恩人兼未成年後見人兼顧問弁護士である。

この人は私が唯一信じられる人物であり一番私の事を理解している。理解しているからこそこうやって言い争いができるんだが。


さて、何故言い合っているのかだけど「高校に行く、行かない」で言い合っている。この人は何としてでも私に高校に行って欲しい。私は高校に行く必要が無い為行きたくない。だから私はこの人を言い負かして高校に行かなくてもいいようにしなくてはならない。

いざ尋常に勝負









桜の花弁が風に吹かれて宙に舞っている如何にも春というような景色を眺めながら高校への道を歩いて行く。


「はぁ…今考えればあの人に勝てる訳がない」


君は心が読める天才弁護士に論争で勝てると思うか?

当然無理だろう、私でも無理だった。 

言い負かされた私は紅美高校ぐんびこうこうという高校に行かされる事になった。ここは私の様な不登校に優しく配慮されている高校で様々な校則や設備が整っている。


私は入学式だけ出席して後は用意されている別の教室で授業を受ける事になっている、というかここは譲らなかった。ただ単に授業のレベルが低くクソつまらないし私が普通に登校して普通に授業を受けても持ち前の悪運で何か大きな問題が起きるしからだ。こういう時だけは私の悪運に感謝しているよ



入学式の挨拶を聞き流しながら赤花の目的を考える。

恐らく本当に私のトラウマと人間不信を治す為だろう。些か、というか普通に荒治療だが高校という新しい場所で新しい経験をさせることで私の人間不信を軽減、あわよくば克服させようとしてるのだろう。だが、生憎私の人間不信はレベル99でカンストしているから不可能に近い。赤花からは「飼い主に虐待されてて、野良になり人間に保護されて人間全員を敵と認識してる警戒心の強過ぎる野良猫」と言われてる。誰が警戒心の強過ぎる野良猫だ!引っ掻くぞ!ふしゃー!


「以上をもちまして入学式を終了致します。新入生は教師の指示に従って各々の教室に移動してください」


くだらない事を考えてたらいつの間にか入学式が終わっていた。私は不登校のグループの中でも特例クラスに所属している。

特例クラスは人格に問題がある天才問題児達が入るクラスで、授業は基本自習でオンラインで授業を受けても良いし授業を抜けても問題はない。ただ、あまりに大きい問題を起こしたり、最低で月に3回は授業を受けなければ留年することもあるらしい。一体何故私がこのクラスに入れられたんだ?問題児じゃないぞ、私は。



教室の場所は把握しているので迷わず向かう。あの弁護士は極度の方向音痴だが私は問題ない。ナビに従って東京から富士山に行く程の方向音痴なんて信じられるか?


「君も天災問題児?よろしくね」

「あぁ、よろしく。天才の文字が違う気がするが?」

「特例クラスの奴らなんて災いみたいなもんでしょ」

「確かに。ここの奴のやらかしは良く耳にする」


後ろから声を掛けられる。振り返るとそこには

真っ白で一部に檸檬色のメッシュがあるショートの髪に紫色の目の大体165cm位の美少女が立っていた。

ここに居るということはこの美少女も問題児という事だろう。まあ、だからといって同族意識も仲間意識も何もないし仲良くするつもりもないが。


「あっ!名前教えてなかったねボクは冬原忍ふゆはらしのぶよろしくね!」

「私は蛇ノ目英理歌じゃのめえりかだ、よろしく」

「英理歌って呼んでいい?ボクの事も忍でいいから」

「分かった。けど、あんまり私と関わらない方がいい。何かに巻き込まれるかもしれない」

「ふーん…何か隠してるでしょ」

「なぜ?」

「ボクは人の嘘とかが分かるんだ。まあ、英理歌にも理由があるだろうし聞かないでおくよ」

「助かる、ありがとう」


人の嘘が分かる…か、一見便利そうに見えるけどここに居るって事は何かその能力で問題が起きた。或いは生きて行く上で習得したのか。どっちだろうか


「そろそろ教室に入ろっか」

「わかった」

「おっ邪魔しまーす!」


忍が勢いよく教室の扉を開け放つ。

教室には7人程しか居らず、席が少ないのを除けば内装も至って普通の教室だった。特例クラスというやばい噂しか聞かない所だから警戒していたが必要なかったみたいだ。


「おっ!お前等も特例クラスか!よろしくな!」

「まだ常識はありそうだな。よろしく」

「よろしくねー!」

「おぉ、すっごい美少女だね!どう?放課後空いt──げふっ」

「お前は美少女を見つけたらすぐナンパするな。すまない、こいつの事は気にしないでくれ」

「………よろしく」

「これからよろしくお願いしますわ!」


キャラが濃さそうなメンツだけど見るからにやばい奴は居なさそうだ。まあ、ここに居るという事はやばい奴なんだろうが。

とりあえず自己紹介はしておいた方がいいだろう


「私は蛇ノ目英理歌、よろしく」

「ボクは冬原忍!よろしくねー!」

「俺は岩花大火いわばなたいかだ!」

「僕は胡谷桃也こたにとうや

「ボクは鬼灯浄傀ほおずきじょうけ、こう見えて男だよー!」

「私は橙峰百合とうみねゆり、ロインやってる?やってたらロイン交換しよ!」

「私は竜胆怜りんどうれいだ、この馬鹿の保護者みたいなものだ」

「お母さん!」

「誰がお前のお母さんだ!」

「…………道懸篠どうけしの

「|西園寺樋口一条二条九条鷹司大宮高松難波綾小路さいおんじひぐちいちじょうにじょうくじょうたかつかさおおみやたかまつなんばあやのこうじ光菊こうぎくですわー!!西園寺から小路までが苗字で光菊が名前ですわ!!」


デカいマッチョが岩花大火

細い眼鏡イケメンが胡谷桃也

男の娘が鬼灯浄傀

ナンパしてくる美少女が橙峰百合

ナンパ美少女の保護者のイケメン美少女が竜胆怜

無口美少女が道懸篠

名前が有り得ない位長いのが西園寺樋口一条二条九条鷹司大宮高松難波綾小路光菊。こいつは何なんだ?名家の苗字全部詰め込んだ苗字してるけどテストの時とかどうしてるんだ?名前だけで1分程掛かるんじゃないか?


光菊の名前について色々考えていたら教室の扉が開いて教師らしき人物が入ってくる。


「あー、お前等席に着けーと言っても聞かないんだろうが」

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