お外に出る!

第6話 夢がいっぱいなキッズ

-side アクシア-




「まきょ!」

「ふふふ……、そうねー。魔境だねー!」

「まきょ!」

「そうだな。魔境だなあ」



 きゃっきゃ、きゃっきゃ!

 こちらに来て、1年半くらい。

 今日は初めてのお外!ついに、お外を歩いても良いという許可が出たんだ!

 目の前にある、雰囲気のある魔境に思わず、笑みが溢れる。The 異世界!



「あはは!アクシアは、変わってるねえー。魔境を見て、あんなに喜ぶなんて。普通のちっちゃい子なら、怖くて泣いちゃうのに」

「テオ兄も?」

「ぼ……僕は、ななな、泣いてないもん」

「テオ兄、だちゃいかも?」

「ガーーン……!というか、どこでそんな言葉覚えてきたんだ!?」



 分かりやすすぎる嘘をついたテオ兄に若干呆れて、煽ってみる。ふふん、子供の成長は、早いんだよ。まあ、テオ兄よりも長く生きているから、色んな言葉知っているだけなんだけれども。



 ところで、俺は今、ルイスパパと、エルマママと、次男のテオ兄と一緒に外で、ピクニックを楽しんでいる最中だ。

 今日のお昼は、たまごサンドと、ハムレタスサンド、ベーコンチーズサンド!美味しそう!俺はまだ硬いものは食べれないから、みんなが食べているのを、眺めているだけだけど!早くみんなと、同じものが食べれるようになりたいな!



 最近は、俺も離乳食を卒業して、細かく切り分けられてはいるものの、普通の柔らかい食べ物を食べるようになってきた。

 ご飯が、格段に美味しく感じられて、毎日がハッピーだ。新しい果物に、新しい食材で作られた食べ物は、新鮮でとても面白く、それを味わうだけで日々が充実していると感じられる。



「父上、アクシアが大きくなったら、一緒に魔境で狩に行きたいですね!」



 テオ兄が、とんでもないことを笑顔でさらっと言う。いや……、いやいやいや……、今まで、目の前が魔境っていう、実感が無かったから、きゃっきゃはしゃいでただけで、魔境って相当危険な場所だよね。よくよく考えてみれば、さっきのうちの家族やりとり、おかしなやりとり過ぎないか?

 そんな場所、できれば行きたくないんだけど……、今世では長生きしたいし。



「そうだなー、アクシアは魔法の才にも恵まれているし、大きくなったら、一緒に狩に行くのも良いかもな」

「そうねえ。4男だから、自分で決めた職業に就かなくちゃいけないものね。例えば、冒険者として、自立するには、魔境の魔物くらいさくっと一人で倒せなきゃ、一人前の冒険者とは、言わないものね〜」



 そうなんだ……。俺は、将来冒険者になって、色々なところを見て回りたいと思っているから、魔境に行くのは必須だな。

 てっきり、魔境っていうから、とてつもなく、危険な場所というイメージだったが、今聞いた感じだと、実際はそうでもないのかもしれない。辺境の地を魔境って言っているだけなのかな?



「まあ、まだ、アクシアが何をやりたいかが、分からないからな。意外と、宮廷魔術師になるとかも良いかもしれないぞ」

「おおーー!」

「お?アクシアも気になるか?」



 コクコクと頷く。宮廷魔術師!ママンと一緒!かっこよさそう!



「ん……?アクシアも興味あるか?」

「あなた……、あたしは、反対だわ。宮廷魔術師は、面倒ごとも多いの。だったら、宮廷錬金術師とかがおすすめよ」

「ほえーーー!」



 宮廷錬金術師!それも、かっこいい!

 夢が、広がるなー!



「ふふ……、アクシアの反応もいいみたい。」

「アクシアは、好奇心旺盛だね!」



 そりゃ!異世界は初めてだからね。

 この世界のこと、まだまだ、知らないことばかりだ!いっぱい知りたいな!

 そうと決まれば、文字を勉強して、たくさん本を読むぞー!おーっ!



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