第7話 この世界について学ぼう!

-side アクシア-




「マッマ!パッパ!俺、本を読めるように字を勉強したい!」

「まあ!まさか、アクシアからそんなことを言われるなんて!」

「ほーー!普通は、子供に家庭教師をつけることから始めるんだがな。そんな風に言われたことは、初めてだ」

「むーー?」



 --ギクリッ!確かに、自分から文字を読みたいと言い出す赤ん坊は、ほとんどいないかも??今の俺の行動は、赤ん坊としては異常行動では無いか?そもそも、文字を勉強したら、本を読める事は文字を勉強した人間でないと分からないんだよな……。ちょっと、まずいかも!



「まあ、アクシアは生まれた時から魔法を使えましたから。2年も生きれば、文字を覚えたいというのは必然でしょう」

「そうか……、そういえば、生まれた時から、ずっと異常行動はしていたなあ。今更感あるな」



 ま、まあ、もう遅いよね。

 誤魔化しついでに、ポカポカとパパを叩いて、困らす。



「ああ、いや、良いことではあるんだよ?アクシア」

「むーー!」

「こらこら……」



 きゃっきゃ!きゃっきゃ!パパを困らすの、楽しくなってきた!

 でも、上手いこと勘違いしてくれてよかった。転生者とは、なるべくバレない方が良いからね。



 ♢ ♢ ♢ ♢ ♢



 それから、俺は、俺が今住んでいる国の文字を学んだ。

 文字の種類は、表音文字と表意文字の2種類ある。表音文字はアルファベットやひらがななどの、発音をそのまま表している文字である。表意文字は、漢字などの一つひとつが一定の意味を持っている文字のことである。



 この世界では、表音文字が使われている。

 文字の種類は30種類くらいだった。ひらがな、カタカナを頑張って覚えた前世に比べたらとても簡単だ。

 なぜか分からないが、転生直後に、既にママンの言葉が分かっていたように、この世界の単語についてはあらかじめ、結構覚えていた。きっと、優しい神々がいきなり困らないように、知識を与えてくれたのだろう。神様ありがとう!

 元々、日本語に比べて、ある程度の法則性もある言語だと思うが、それもあって、この国の言葉はとても簡単に覚えられた。



 それによって、様々なことが分かったので説明しよう。



 まず、この国の名前は、ロンバル王国。

 現在の国王は、ヨーゼフ=ロンバル。

 資源が豊富、農業も盛ん、文化的にも栄えた大国であるそうだ。



 なぜ、そんな豊かな国が、他国から攻められないかというと、もちろん、軍事的にも優れている事が、挙げられる。

 ロンバル王国は、この世界で唯一、魔境に隣接している国のため、資源を求めて、強い冒険者がやってくるのだそうだ。

 そのまま、その冒険者達が住み着いて、その子供が騎士団に入るケースも多く、良い循環が起こっているらしい。



 この国の、政治体制は絶対王政。王様、およびロンバル王家が一番偉く、大公、公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵、騎士爵の順番に偉いらしい。

 ……あれ?ではうちの辺境伯は?とのことだが、侯爵と同じか、それ以上だそうだ。

 ママンが元王族な時点で察していたが、うちの家は王家から非常に大きな権限を与えられているらしい。



 そして、もう一つ!

 こっちの方が楽しみなのだが、この世界には、四神獣、四大精霊というものがいるらしい。

 四神獣は、それぞれ、青龍、白虎、朱雀、玄武という名前らしい。彼らは、神々から、使命を受けて、大事な場所を守っているのだとか。

 四大精霊は、サラマンダー、ウンディーネ、シルフ、ノームという名前だそうだ。彼らは、古代竜や、フェンリルなどが、暴れて、この世界を壊さないように見張っているらしい。



 ママンや、フィル兄、テオ兄に絵本を読んでもらった時は、冗談半分で聞いていたが、どうやら、彼らは、本当に実在するらしい。

 ここが、異世界だという実感がいよいよ湧いてきた。可能なら、色々なところを旅をして、色々な生物を見てみたい!



-----------------------------------

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る