第4話 どや顔、赤ちゃん魔法使い爆誕

-side アクシア-




 魔力が全身に巡らせられると分かった翌日、俺は続きを行うことにする。

 昨日は魔法を発動させる前に眠ってしまったからね。

 今日は魔法を発動させるぞ!

 ここの室内で使える魔法だと何かな?

 この世界でも、存在してそうな魔法と言うと、火、水、土、風あたりだろうか?ここで使えるとなると、火は火事の原因になるからだめ、水も布団が水で濡れてしまうからだめ、土も綺麗な部屋が汚れそうだからだめ……、一番無害なのは、風かな?

 光とか、闇属性の魔法とかもあるのかもしれないけれど、風の方が練習しやすそうだから、そうしよう。



 魔法って、どうやって発動すればいいのかは、分からないけれど、風が吹くのをイメージしたらいけるかな?魔力を意識して、かぶっているお布団が飛んでいくイメージで、風よ吹け!



 ぴゅーー……。



 微かに、風が吹いて、かろうじて、少し、お布団がずれたくらいだった。だけど、一応、魔力が発動できると分かっただけでも、大収穫だ。後は威力を出せるように試行錯誤すれば、良いだけ。

 う……、急激な眠気が襲ってきた……!

 魔力を使うと、体力も使うらしい。

 まだ、赤ん坊の俺には、体力もないから、すぐに眠く……むにゃむにゃ……。




 ♢ ♢ ♢ ♢ ♢




 次の日、また気づいたら朝になっていたので、ぽけーーっとしていると、ママンと一緒に、今日は初めて見る人が来た。赤髪にエメラルドグリーンの目をしたママンにそっくりの10歳くらいの男の子だ。



「おーー!かわいいね、アクシア~!」



 俺のほっぺをぷにぷに触ってくる。分かる、分かる。赤ん坊のほっぺって、もちもちだから良いよね。こっちも、満更でもないし、笑顔になっちゃう。

 ついでに、多分、この人、俺のお兄ちゃんだと思う。一応、[鑑定]してみよう。

 


 名前:フィル

 種族:人間

 魔法:不明

 スキル:不明

 参考:辺境伯家長男、凡人、マザコン、ブラコン

 詳細



 ちょちょちょ……!辺境伯家長男は良いとして、問題は、その後だ。鑑定さん、辛辣すぎない?凡人って言ってるけどねえ、普通が一番だよ、普通が。そう言うお兄ちゃん、とても良いと思います。マザコン、ブラコンも家族思いって事でしょ?物は言いようだと思う。まったく……、はい。そう言う事にしときましょう。



 それはそれとして、今、大事な情報を聞いた気がする!今、お兄ちゃん俺のこと、アクシアって、呼んでた!今世の俺の名前は、アクシアって言うんだ!かっこいい!



 そうだ!どうせなら、2人をびっくりさせてみよう。昨日練習した魔法を発動してみたら、どんな反応がするかな?お布団がずれるやつ!魔力を意識して~!



「……!!アクシア?」



 風よ吹け!



 ふわっと、お布団が昨日より、高く上がった。おお……!昨日より確実に成長しているのではないか?赤ん坊の成長は早い……、いや、早すぎかも……?

 そう思って、2人を見るとぽかんと口を開けている。ふふふ……、その顔が見たかった。

 どや!!

 あっ……また魔法を使ったら、急激に眠くなってしまった……むにゃむにゃ……スヤスヤ……



「ママ……」

「フィル……、今見てたわよね」

「うん、間違っていなければ、魔法を使ってた」

「そうよね。確かに、今、アクシアから魔力を感じたわ。信じられない」

「弟が、天才かもしれない」

「間違いなく、神童よ。他のみんなに知らせなきゃ!」



 その後、俺はスヤスヤ寝ていたから、知らなかったが、もう少し成長してから聞いた話だと、騒ぎを聞きつけた他の家族を巻き込んでの大騒ぎだったらしい。--我が家に、神童が生まれたと。




---------------------------------

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る