修繕師タンポポは決意した

物には神様が宿る。人の手で生まれ、人の願いを受けた神が壊れ“ひずみ神”に成り果てる時、その祝福は呪いに変貌する。危機的状況を避けるため選ばれた駆け出し修繕師である少女タンポポは、神官シロガネとどうやら……結婚する必要があるらしい。

チグサの国の神様は壊れかけ、雨を降らせ続けてもう半年になる。
神様を直せるのは腕の良い修繕師だけ。完全に壊れ、ひずみ神へと姿を変えるのを食い止めなくてはならない。のだが。

神様を直すために神殿へ入るには神官様と結婚する必要があるらしい。
これは仕事だ。そのために必要な手続きのひとつに過ぎない。人ひとりの結婚がどうこうよりも神様の動向の方が最優先だ。何せ、国ひとつの存亡がかかっている。
「……分かり、ました。結婚しましょう！」
修繕師タンポポは、決意した。

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