第13話 予想外

 「は?」


 驚きを隠すことができず、間抜けな声を出してしまった。

 しかし、こいつがなぜこの場にいる......?


 状況を見る限りスタッフォードが先にこの場にたどり着いたのだろう。

 訓練所側の不具合なのか……?


 そんなことを考えていると


 「ああ、あなたたちね。もう少しかかると思っていたわ」

 「ん?なんだよ口ぶりは俺たちがここに来ることをあらかじめ知っていたみたいな」

 「そのことね……」


 スタッフォードはそう告げると手に持っていた魔法陣が描かれた一枚の紙きれを見せてくる。


 「なんだこれ?魔力が流れてるな……」

 「これはね。アレス君の魔力が貯められたものよ。これのおかげで、あなたと同じ部屋に来られたってわけ」


 いわれてみればその紙切れからは俺と同様の魔力の流れを感じる。

 だが、どうやってそんなものを手に入れることができたんだ。


 俺はそのことが気になり、思い切って聞いてみる。

 

 

 「これはレイラ先生からもらったわよ。あの人案外優しいのね。頼んだらあっさりくれたわ」


 あの人かーー


 生徒の情報を他人に渡すなんて教師として失格だろ。

 レイラ先生には個人的に聞きたいこともあるし、機会があれば一度話し合う時間を作ってもらうか。


 「で、スタッフォードはそうしてそんなもの欲しがったんだ」

 「ソフィアでいいわよ。で、どうして欲しがったのかよね?」


 うーんと少し唸るような声を上げたと思うと、次の瞬間……


 「アレス君、あなた剣術指導での出来事忘れてないわよね?」

 「あ、ああ。一応は……」

 「あ・な・たが!私との約束を破ったからよ!!」

 「は?」


 ソフィアは自身の顔をグイッと近づけてそう告げる。

 

 この女、たかが一戦交えなかった程度でそこまでするか?普通。

 いくらなんでも頭おかしいだろ


 と、頭の中で馬鹿にしているのがバレたのかは知らないが、少し頬を膨らませ怒りっぽい態度で更に言葉を吐く。


 「と・も・か・く!私と戦いなさい!!」


 これはまずいことになった……

 どうすれば……


 と、頭を抱える俺。

 

 「こう言う時は……」


 レオン助けてくれっ!!


 バッと振り返り後ろにいるはずのレオンの方へ顔を向ける。しかしそこには誰もおらず階段から少しの光が射していただけだった。


 「あいつ……どこに?」


まさか逃げたわけじゃ……


 と疑いながら再び前を向くと、先ほどまで閉じていた扉が開いており、そのすぐ側にレオンの姿があった。


 「先行ってるぞーお二人さん」


 と言い残すとそそくさと中へ入っていく。


 「なによ。あの龍人はやる気まんまんじゃない。ほら、私たちも行くわよ」

 「えー」


 俺は肩を落としながら渋々ソフィアと共に中へ入るのだった……















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まだしていませんが、一話から順に改稿していくかも......? です。









 


 

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