第4章 魔法学校実技試験

第33話 ぼっち……ではなく、魔法学校生活再開!

「ごきげんよう」


 久しぶりの魔法学校。


「ごきげんよう、レムリア様」


 久しぶりの学校生活。


「そういえば、今日は編入性が来るらしいですわ」


「まあ。今年は随分と多いのね」


 ……久しぶりのぼっち生活。


 さすがに挨拶を無視される事はないが、クラスのみんなは、挨拶が終わるとすぐにそれぞれの友達グループに帰っていく。

 エミルとの百合的な関係疑惑とか、教室崩壊事件やら、療養による長期休みとかあったし、こうなるか。


 まあ、今の私はエミルという友達ができたから、ぼっちではない!

 だから全然寂しくないけどね!


 ……早く休み時間になって、エミルが会いに来てくれないかなぁ。


(まあ、休み時間はそこまで余裕ないかもだけど)


 そんなことを考えながら、椅子に座りつつヴラムの言葉を思い出す。


 /////////////////////////


「レムリア嬢。貴女は幽鎧帝を探してください」


「幽鎧帝?」


「かつて魔王に仕えた、四人の『帝』の位を持つ者よ。魔王の魔力で生み出された霊体の魔族……いえ、生を終えているから魔物と呼ぶべきなのかしらね」


「それは、本人も悩んでいましたね。姿もその名の通り、鎧そのものですから」


 昔を懐かしむかのように少し笑うヴラム。


 幽鎧帝については、『ヤミヒカ』のゲーム中で名前が出てくるので知っている。


 テスタメント幹部の中で、唯一魔王へ忠誠心を持っているのだが、そのせいで、本当は魔王になるつもりがない私……『レムリア・ルーゼンシュタイン』に抹殺されるという、レムリアの引き立て役みたいな位置の可哀想なキャラ。


「幽鎧帝を探す目的は二つです。一つは、幽鎧帝のそばに居るであろう魔王候補が誰なのかの確認。もう一つは、魔王に最も近い存在である幽鎧帝に、魔王について聞くことです」


「一つ目は分かるが、二つ目の魔王について聞くってのはどういう事だ?」


「言葉通りですよ。魔王に仕え、復活の儀式を組んだ私ですら知らない事がある……我々は一度、魔王について知る必要がある」


 ////////////////////////////////


(……魔王の情報を一番持っている幽鎧帝だから、詳しく聞きたい……か。もう本当に、私の知るゲーム展開が無くなってきたなぁ)


 これが、私、『姫川葵』の介入によるものなのか、私の知らないゲームルート、つまりはグッドエンドの展開なのかは分からない。


 ただ魔王についての情報は、私の魔王化を止めるのにも役立つだろう。


 幽鎧帝は魔王の力と共鳴するらしいので、力を使える私が探さないと!


「……では、入ってきてください」


 あ、まずい。


 完全に自分の世界に入っていた。


 いつのまにかホームルームが始まっていて、担任の先生が来ている。


(入ってきて? あ、そういえばさっき、編入性が来るってクラスの子が言ってたな)


 ……ん? これはチャンスなのでは!?


 私の色々な『やらかし』を知らなくて、まだどこの友達グループにも入っていない新たしいクラスメイト!


 来てる! これは確実に友達チャンスが来てる!


(ウェルカム、編入生さ……え?)


 編入生の姿を見て目を疑う。


 そこに立っていたのは、自分が想像したどの姿とも違う人……


「……本日より編入いたしました。アオイ・ヒメカワと申します。皆様、どうぞよろしくお願いいたします」


『色々な意味で』よく知る顔……アオイさんがそこに立っていた。


///////////////

新章突入!

ようやく、ちゃんとした学校生活っぽいのが書ける(*´▽`*)

もう少し早いはずだったのに、プロット管理って大事だなぁ(´;ω;`)

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