第57話 遺言ですから
「……私から付け加えることは、なにもありません」少しスッキリしたような笑顔だった。「黒猫先輩……すごいですね。もうしばらくはバレないと思ってたんですけど」
「最終的にバレるのは想定済みかい?」
「そうですね……3人に復讐を終えるまで時間稼ぎができれば良いと思っていました」
最後の1人……私を殺すまでバレなければそれで良かった。
「キミの誤算は3つある。1つは
「
……警察の人たちが私を尾行したりしていたから、
そう考えると……あの失礼な警察官2人にも感謝だな。私の命を守ってくれたのだから。
……
「そして最後の誤算だ」
……私のことが……
「おこがましいですよね」
友達になるのに、友達でいるのに権利なんていらない。
「さて……」
「僕に決める権限はないな。好きにすれば良い」
「……逃げるかもしれませんよ?」
「それも含めて好きにすれば良いさ。キミはもう復讐を成し遂げたんだ。これ以上……罪を重ねることもあるまい」
「……探偵らしからぬ発言ですね」
「僕は探偵じゃない。ただの一般人だからな。キミがこれ以降どうしようが、興味ないよ」
「……変な人ですね……」
それはそう。
それから
「さてと……じゃあ、行ってきますね」
そう言って、
「ど、どこに行くの?」
「さぁ……どこでしょう。とりあえず……しばらく会えなくなるとは思います」
しばらく……ということは、永遠に会えなくなるわけじゃないようだ。それだけは安心した。
だけれど……しばらく会えないのなら、ここで聞いておかなければならないことがある。
「
「……なんでしょう?」
「後悔は、してる?」
「後悔はありません」強い目だった。本心からの言葉に見えた。「唯一あるとするなら、あなたを殺しそこねたことですよ。
親友を殺したことも先生を殺したことも後悔していない。
ただ、完璧な復讐を成し遂げられなかったことが後悔。
だったら……
「……だったら、私のことは……殺さなくていいの?」
「本来なら殺したいですが……まぁ、
「……
「はい。
「
それだけ言い残して、
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