第5話 春夏冬中…? =秋無い中

『メ~ッ!』


 出掛ける前に、三面の鏡台の前に腰かけると、思わぬ妨害にあう。


「ん~? どうしたのかな?」


 軽くあしらうように捕まえると、膝の上に。向い合わせで見つめ合う。


『め~。びじんになっちゃ、めっ!』

「え? どうしてかな?」

『あきちゃう』

「う~ん。ビジンだと?」

『そ~!』

「どうしてかな~?」

『どーして?』


 本人にもよく分かってなさそうだ。

 ここは分かるだろう人に聞くのが一番。一緒に聞いてみよう。


「なのは、ビジンだと何かあるの?」

「え? ビジン?」

「うん。ビジンになっちゃダメらしいの」

『びじんになると、アキチャウ』

「ぷっ! それはそういう意味じゃないから。大丈夫だよ」

「え? どういうわけ?」

「日本には、美人は三日で飽きて、不美人は三日で慣れるっていって。ママが不美人になっちゃうのがイヤなんだってことだと思うよ」

「そっかー、ママが美人だと嬉しいんだよねー」

『うん。ママ、美人だから。不美人になっちゃダメー』

「そっかそっかー、ママは美人かー。嬉しいなー」

「いいないいな~。私もお化粧したら邪魔されちゃうのかな~?」

『ジャマすう~! (。・`з・ジャマ)シ』


 抱っこして~、と邪魔するつもりでしがみついてくる。両手が塞がればお化粧できない、ハズ!


「(/ω\)キャー♪ 邪魔されちゃう~w」

「邪魔しちゃうぞ~w(o^ O^)シ彡☆ガオー」



 三日後



 三面鏡の前に映るは。


「どうかな~?」

『ママ~! ビビオ姉、あきちゃった~!』


 大人の真似してお化粧してみた子供達。色々しちゃかめっちゃか。

 口紅で口が裂けたように幅広に、白粉で驚きの白さに、ケンカしたかのような黒々としたアイシャドウ。

 お化粧で(自称)美人にされた男の娘ガソコニイタw


 弟を(自称)美人にするのには、やはり三日で飽きたらしい?

 不美人になっちゃった男の娘を元通りにするには、三日で慣れたママ達がいた?

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