第10話
咲桜の自己紹介が終わり、席に着いたのはいいが教室内の俺を含め寧々さん以外の全員は唖然としていた。
なぜなら一年生のバンドリーダー二人が入部して早々、部活内でバチバチしているからだ。
部長は教壇の上で苦笑いをしており、他の先輩たちはざわざわしながらも驚いていることには変わりなかった。
「はい・・・えーっと、これで全員自己紹介は終わりでいいかな?まあずいぶんとバチバチしてる意気込みもあったけど皆仲良くね!楽しく演奏。これが一番なんだから!じゃあ次は今年度の予定を伝えます。」
空気が重いと感じたのか、部長がパン!と手を打ちながら言う。先輩はいつも場をまとめてくれるので本当にリーダーに向いている人材だ。
その後は本当に特に何もなく、淡々と予定が言われていった。
軽音部の活動は、放課後のバンド練習、文化祭でのライブ、部活内での講評、そして大会があるようだった。
放課後のバンド練習は一日に二つのバンドが時間を区切って入れ替わりで練習をするようで、あまり練習時間は無いようだった。もしもっと練習をしたいようだったら、近くにある市役所に行けばそこには防音室があるためそこで練習をできるようだ。
文化祭でのライブは夏ごろにあるらしい。一年生はそこで初めて大きな場でのライブになる。三年生の先輩たちは後夜祭もライブをするらしい。後夜祭のライブは毎年目玉イベントらしく、特に力をいれるらしい。
大会は年に二回あり、一年生は九月と二月に大会に出るらしい。もし大会でいい成績が残せるようだったら審査員の方から声を掛けてきて、もっと大きな大会に出ることができるらしい。
咲桜はきっとこの大会を最も重要視しているだろう。それは寧々さんも同じだと思う。
そしてもう一つ大事な行事がある。
それはGW中に行われる合宿だ。
毎年近くの旅館に一泊二日で泊まり、一日中練習をするらしい。どうやら旅館の女将さんが大のバンド好きで旅館内に防音室や、機材を用意しているため有名なバンドの人たちも利用することがあるほどだ。俺達の高校の軽音部は毎年そこを利用させてもらっているらしい。初めての行事が泊まりかけで行われる行事なのはびっくりしたが楽しみなのは変わりない。
「あ、大事なことを忘れてた!一年生の皆はバンドの名前決めてね!できれば今日中に決めてくれると助かります。私と先生は今日は完全下校の時間までいるから、決まったら職員室まで来てください。それじゃあ、今日は解散!お疲れさまでした。」
お疲れさまでした!と各々と帰っていく人もいれば、これから練習がある先輩は楽器を背負って出ていく先輩と様々だ。
ピーターパンシンドローム 羽根とき @goma1125
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