第9話
軽音部に入部することを親に言ったら、最初は驚かれたが俺がやりたいことを見つけたから安心したのか「そっか」と一言だけ言い、「じゃあ今度ギターを買いに行かなきゃね」と言ってくれた。俺のやりたいことを否定せずにやらせてくれる親には感謝だ。
とある日の放課後、俺達軽音部は三年生の教室に集まっていた。
今日やることは部活の顔合わせだ。俺達バンドメンバー五人が教室に入ると既に他の部員たちは集まっているようで、各々話していた。先日教えて貰った佐伯先輩にそのバンドメンバーや、寧々さんや同級生も既に集まっているようだった。
「よーし、皆集まってるみたいだね!じゃあこれから新年度の軽音部の顔合わせ兼発足会を始めます!」
佐伯先輩が前の教壇に立ち、大きな声で顔合わせの始まりを誓言した。その声に合わせたように全員でお願いしますと挨拶をした。
「まず最初は自己紹介をしてもらおうかな。名前と担当楽器を各々言っていって・・・後は簡単な一言を言っていく感じで!じゃあ三年生から順に行こうか!まずは私からね!私は三年生の佐伯凛(さえき りん)です。軽音部の部長です!担当はギターでコーラスとしても歌うこともあります。好きなことはギターを弾くこと!今年の目標は私たちのバンドで大会を優勝すること!よろしくお願いします!」
佐伯先輩が元気に挨拶を終えると大きな拍手が起こった。最初の自己紹介としては完璧の物だったからだ。
彼女の自己紹介を聞いた俺は、教壇に立っている彼女が凄くまぶしく見えた。あんなにキラキラとした目で自分の目標を言えるなんて・・・いつか俺も先輩みたいになりたいなと思う瞬間でもあった。
そのままどんどんと自己紹介が進んで行き一年生の番になった。一年生最初の自己紹介は寧々さんだった。
「橋本寧々です。担当楽器はベースです。一応バンドのリーダーになったので頑張ろうと思います。私の目標は、そうですね・・・そこの美月咲桜を超える事です。よろしくお願いします。」
短い自己紹介だったが彼女の自己紹介で教室内はしん・・・と静まった。咲桜を超える?どういうことだ?二人は親友のはずだが何か因縁でもあるのだろうか・・・静寂の後にまばらだが拍手が起こり流されたが、上級生はこそこそと話しているが当然だろう。
その後は特に何もなく当たり障りのない自己紹介が続き俺の番になった
「小野葉月です。担当楽器はギターです。何もわからずにこの部活に入りましたが精一杯頑張ろうと思います。よろしくお願いします。」
俺が自己紹介を終えると拍手が起こったため、俺は席に着いた。良かった・・・噛まずに言えた。
最後の自己紹介になり咲桜が席を立った。
「美月咲桜です。担当はギターですがある程度の楽器は全てできることが自慢です。目標は全国に私達のバンドの名前を知らしめる事、後はそこの寧々には負けないことです。よろしくお願いします。」
咲桜の自己紹介が終わるとまた教室内は静まることになった。
まあ寧々さんに負けないというところはまだわかる。いや、分からないけど理解はできる。問題はその前に言った全国にバンドの名前を知らしめるとはどういうことだろうか。彼女はそんな高い目標を掲げているのか?
一年生二人のバチバチが繰り広げられながら自己紹介は終わりななった。
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