第18話 いざ。

――――俺と付き合ってくれませんか?


 私は思考停止した。今、告白…されたんだよね?榎本くんから。え、なんで?


「え、ちょっとまって。なんの冗談?」


 私がそう言うと、榎本くんは私の手を握ってきた。


「冗談じゃないよ。一年の頃からずっと好きだった。付き合ってほしい。」


 いや…冗談じゃなくても無理だよ…だって私は…


「私、好きな人がいるんだ。だから榎本くんとは付き合えない…ごめんなさい…」


 私が榎本くんの手を離すと、榎本くんはハグをしてきた。


「え、ちょっと、榎本くん?!」

「桜田さん、いや、香菜ちゃん。俺じゃ…だめ?」


 ダメも何も、私が好きなのは青杜だから…


「ごめんなさい。どうしても、榎本くんとは付き合えません。榎本くんにそういう感情を持ったことはないし、そういうことを思ったこともないの。だから、ごめんなさい。」


 私は駆け足で教室を出た。そこには青杜が立っていた。


「あ、青杜?!」


 今、青杜を余計意識してしまっているから、何も言葉が出ない。


「ちょっとこっち来い。」


 私は青杜に腕を引っ張られた。




「な、なによ?!」

「あ?なに、じゃねえよ。何で他の奴らに告られてんだよ。」

「し、知ったこっちゃないでしょ?!」

「俺に渡すもんあんじゃねえの?」

「え…?」


 青杜は、カバンを指して、ショコラ、と言った。


「あれ作ったの、お前だろ?毎年俺の下駄箱にこいつ入れてんの、香菜だろ?」


 くっ…とうとうバレてしまった…もうここは正直に言うしかないよね…


「そ、そうだけど?それが何よ。」


 青杜は、ふっ、と笑って、私にこう言った。


「桜田香菜は、渡辺青杜、つまり、俺のことが好きだ。」


 私は下を向いてしまった。図星だからだ。やっぱりバレてたのか…


「そ、そうですよ!私は…」


 だめだ、恥ずかしくて直視できなければ告白すらできない。


「へえ?言えねえんだ?恥ずかしくて言えねえんだな。仕方ねえ…」


 私が、え?と言うと青杜は私に言った。


「俺も…その…桜田香菜が大好きだ。付き合って…ください。」


 まさかの、青杜からの告白?!まって、嬉しすぎるけど…晶人はどうしたら…?


「私で良ければ付き合ってください…!でも、晶人の件はどうしたらいい…?」


 青杜が私の頭をぽんぽんして、


「そいつに関しては、気にしなくて大丈夫だ。今日から香菜は俺の彼女だ。」


 こんな言葉を聞くとは当初は思いもしなかったけど、今までの人生で最高に幸せだ。さっき青杜は『気にしなくて大丈夫だ』とは言ったけど、私は一回晶人と話をして、恋人関係を終わらせたい。私がそう言うと、青杜はいいよと言ってくれた。


 今日の夜は、決着(?)の日だ。

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