第17話 まさかの人物から??

「あれ、ちょっとまって…?」


 カバンに入れたはずのショコラが入っていないのですがね?!なぜです?!

 え、まさかだけどカバンに入れ忘れたなんてそんなださいことしてないよ…ね…?


 私は記憶をさかのぼる。さかのぼったけど、私が冷蔵庫からショコラを出した記憶が…ないですと?!こりゃあまずいことが起きてしまいましたよ?あのショコラは青杜にあげる大事なもの。あれを青杜本人が見たらどうしよう…!!!

 そう思っていた矢先に青杜が来てしまった。


「よお、香菜。」

「お、おはよう。」

「そういえばさ、このショコラ、冷蔵庫に置きっぱなしだったぞ。ほらよ。」


 そう言って青杜は私にショコラを渡してきた。そこに穂波ほなみがやってきた。


「ねえ、香菜さ、もしかして同棲してんの?!」

「し、してないしてない!!同棲っていうかかぞ…」


 いや、全部言ったら女子軍団を敵に回すし、すべての事情は言えない。


「まあ、とりあえず!そういうこと!」


 穂波はえぇ〜?と疑いの目で私をすごい見てくる。うっ…。言ってはいけないとは言われてなくても、私自身が言いたくないと心の中で叫んでいる。


 私は青杜が私にショコラを差し出しているのを忘れていて、わ!ごめんごめん!と言って、受け取った。



 ___________________



 授業が始まったのだが、こんなにも集中できない授業は初めてだ。

 私は、下にうつむきながらはあーーーと言っていたら、隣の男の子、

 榎本夕生えもとゆうくんが、だ、大丈夫…?と心配してくれた。

 私は、うん、大丈夫…(笑)と言ったら、榎本くんは、俺ならこんな思いさせないのになと言って授業に集中してしまった。


 私は、え?と思っていたが、気にせずに授業に集中した。



 ___________________



「香菜〜〜〜」


 明るい声で私を呼ぶのは、柚葉ゆずはだ。そこには安定に彼氏さんがいた。


「なに?」

「はい!どーぞ!」


 そう言って渡してきたのは、チョコクッキーだった。


「ほら今日、バレンタインじゃん?ベスフレチョコ!友チョコの枠を超えたチョコだよ!」


 初めて聞いたな、「ベスフレチョコ」。多分、ベストフレンドチョコでしょうな。じゃあ彼氏さんには、「ベスボイフレチョコ」とか?(笑)それは流石にないか。

 バレンタインが終わったら、あっという間に受験生か。嫌だな。どこの大学に行くとかまだ決まってないよ…だし、今は私達三兄妹の問題も解決しなきゃだし。


「じゃあね!香菜!また明日!」

「うん。また明日。」


 私達はお互い手を振った。柚葉は、彼氏さんに、「今日どこ行く?」とか「やっぱゆーくん大好き!」とか言っている。全部聞こえちゃってるよ、柚葉。ちょとバカップルよねやっぱ。まあそこも含めて、柚葉のこと大好きなのだけど。


「桜田さん」


 私はいきなり名前を呼ばれたので、体がビクッとしてしまった。後ろを振り向くと、

 そこには榎本くんがいた。


「榎本くんじゃん。何してるの?」


 榎本くんは、私の方へと近づいてくる。え、え、なになになに。まさか、友チョコくれるとか?だったら普通に渡してくれればいいのに。


「桜田さんに渡したいものあって。」


 やっぱり友チョコ?


「これ。」


 そう言って渡してきたのはやはりチョコだった。というか、ブラウニー?


「あ、ありがとう。美味しそうだね。」

「あのさ、俺と付き合ってくれませんか?」

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