第16話 バレンタインアクシデント
〜香菜視点〜
今日も学校に行かなくてはならない。義務ではないけれど、単位を取らなくては留年する危機が私に待ち寄せる。留年してしまっては、今後の家計にかなり響くであろう。
私の憶測だが、最近兄妹仲が悪くなっている気がする。何があったのかは私はわからない。なんにも教えてくれないんだもの。私は気になってしょうがないというのに。
あれから時は過ぎバレンタイン。私は朝早くに起きて(今回は寝ぼけてない)、ショコラを作った。青杜に見つかったら大変なので、スピード勝負。でも、丁寧に
「…よし。完成。」
学校に持っていく前に、少しだけ冷やしておこう。冷やしたほうが断然美味しい。
それより、学校の準備しなきゃ。
っと、時計を見ると…
6:45?!
まずい。朝のうちにやらなきゃならない課題が今日の朝までなのにもう間に合わない!!朝食は仕方ないからコンビニでおにぎりでも買おう。
私は急ぎすぎて冷蔵庫に入れたショコラの存在を忘れて家を出てしまった。
〜晶人視点〜
あぶねえ。早めに目が覚めちゃってシャワー浴びてちょっと課題やろうかなとか思ってたら香菜も起きてきてた…咄嗟に隠れちゃったよ。
にしても、今日何でそんなに早いんだ?てか、珍しくなんかスイーツ作ってたような…?あ、そういえば今日バレンタインか。香菜も誰かに手作りをあげるつもりなんだな。まあ、どうせ俺ではないけどね。まさかの兄貴とか?でも、兄貴、毎年下駄箱にミニショコラ入ってるって言ってたっけ。え、まじで兄貴にあげてんの?いやいや。香菜が作ったものがなにかもわからないのに決めつけるのは流石にダメでしょ。
『…よし。完成。』
どうやら完成したらしい。冷蔵庫を開ける音がしたな。ショコラだから冷やすのか?
にしても、香菜随分と急いでるな。おおおおおお。めっちゃ焦ってる。すげえな。
寝てる人の迷惑を無視か?いや、そんなに音は立ててないか。
この感じ、コンビニ飯だな。まだ6:45だぜ?おおっと、い、いってらっしゃい。
…ん?香菜、ショコラ、冷蔵庫から取り出すの忘れてね…?
…っはは。こりゃ、面白い展開になりそうだぜ…同時に俺は破滅だぜ…。
〜青杜視点〜
今日はよく眠れたな。なんだか、1階がドタバタしていて騒がしいな。こっちのことも考えろっつの。とりあえず、シャワー浴びて着替えよう。
ふー。スッキリした。それにしてももう誰か学校へ行ったのか。まだ7時前なのにとても早いな。よし。冷蔵庫にあるキンキンに冷えた水飲むか。
俺は冷蔵庫を開いた。と同時に、ある物が目に写った。
「ショコラ…?」
少し中身を覗けばすぐにわかった。だって、俺が毎年もらっていたものだったからだ。…ということは、この家の中に俺に毎年ショコラをくれていたやつがいる…?
作りそうな人といえばやっぱりあの香菜と晶人だよな。でも、今どき男が男にバレンタイン贈るなんてざらにあるよな…?もちろん、友チョコとかな?!でも、可能性として、香菜が俺にショコラを作ってる…なんてこともありえなくない。
とりあえず、持っていこうかな。もしかしたら、香菜の好きな人にあげる用だったかもしれないしな。俺が手助けするってことで。感謝しろよ?香菜。
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