第13話 俺もそろそろ変わらなきゃな

 〜青杜視点〜


 晶人に怒られて、自ら遊園地に皆を誘って、行ったら行ったで、俺の心は

 暴走し、結局俺の最終の目的だった観覧車でのキスを叶えるために、強引に誘い出し…いや、連れ回して、乗って、キスして降りて、また怒られて、不仲という結末。


 俺はこれからどうすればいい?もう、空気的に、香菜には近づけない気がしてきた。

 あ。あの方法を試すか。



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「なあ、祐人ゆうと。ちょっと頼みがある。」

「お前が?何お前。人格変わった?」

「失礼だな。」

「で?なんだよ?」

「お前さ、クラスのLIMEグループ入ってるよな?」

「え。んまあ、入ってるけど。」

「まずそれに俺を招待しろ。」

「グループ絡みが大の嫌いで、あんなに入るの拒んだあのお前が?!」

「お前のその顔ムカつくんだけど。」

「びっくりしたんだよ。いいぜ。お前誘ってやる。」


 祐人は、すぐに俺をLIMEグループに招待してくれた。

 そのグループには、33人いた。俺のクラスは33人。俺が最後の入居者ってわけだ。

 俺が入った瞬間、メッセージの連鎖が絶えない。


『青杜?!お前、ようやく入る気になったか!!』

『青杜くんだ!これでLIME交換できる!!』

『っしゃあああ!!クラス全員揃った!!!』


 俺が読めたのはこの3つだけ。どんだけ速いスピードで皆文字打ってんだよ…。

 そうなると、今ハヤってる、インスマグラムだっけか?でアイドルがたまにやってるインスマライブのコメント、全て拾えないのは当然だな。


「このメッセージの絶えないっぷり…。お前はもうグループに入れたんだな。」

「ありがとうな。」

「おうよ!」


 俺は、LIMEグループで香菜を追加した。試しに…なにか送ってみるか?

 俺はとりあえず、香菜のトーク欄に、よろしくスタンプを送って、スマホを閉じた。



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 俺は普段スマホを触らないが、珍しく放課後にLIMEを見た。

 既読がされているかの確認をした。


「既読は…されて…る!!!!」


 よかった。俺のメッセージは届いていた。これからは、香菜に話しかけれないときでも、LIMEで話すことができる。あ、でも迷惑にはならないだろうか。いや…俺はそういうタイプじゃない。大丈夫。…うん。


 俺は、安心しきった気持ちで、荷物を持って、教室を出た。


 それにしても、廊下は暑い。教室とは大違いだ。でも、廊下にまでクーラーを設置してしまったら、外とのギャップに、体を壊してしまう。暑いが、仕方がない。



 俺は、帰宅部なので、帰宅するだけ。逆に帰宅をしないと、毎日部活をしているとは言えなくなってしまう。少しだけ、祐人の所属しているサッカー部でも見に行くか。


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 サッカー部の試合を見ていたら、いつの間にか18時になっていた。そろそろ帰らないとな。香菜と一緒に帰りたいけど、多分晶人と一緒に帰ったであろう。一人家に帰って、父さんと鉢合わせるのは嫌だから、どっかで夕飯でも食うか。


 俺は、駅ビルに向かった。


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 俺が来たのは、某ハンバーグ店。ここのチーズinハンバーグはとてつもなく美味しい。この店に来たら必ず食べるものだ。


「いらっしゃいませぇ〜!何名様ですかぁ〜!」

「…一人。」

「一名様ですねぇ〜!一名様ご来店でぇ〜す!!」


 なんなんだ、この店員。酒でも入ってんのかと疑いたくなるぐらいのハイテンションだな。


「こちらの席にどうぞぉ〜。メニューはこちらから、注文はこの注文ベルからお願いしまぁ〜す!ごゆっくりどうぞぉ〜!」


 ハイテンションで、少しギャルそうな女だが、接客はちゃんとしている。

 でも、こんな人初めて見たな。


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「ふぅ…。」


 腹いっぱいだ。値段は、750円だ。なんとも安い。さっさとここから退出しよう。

 俺は、レジに向かった。



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「おお。綺麗な星だ。」


 今は19:30。そろそろあの二人も帰った頃であろう。そう思ったのだが…

 俺の目線の先に、あの二人がいた。ふたりとも笑顔だった。

 そう。あの笑顔を、俺には一切見せなかった。こうして笑顔が見れても、あの笑顔の宛先は、晶人。俺にじゃない、当然だが。


 いーやまてまてまて。こんな駅の中で、キスするか?アイツの精神、どうなってんだよ。無敵かよ。まあいいや。何も見てませんよというかのように普通に帰ろう。

 また明日、作戦を立てよう。

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