第9話 誤解を解く

 コンコン。ガチャ。


「晶人…!!」

「…んだよ。兄貴と戯れてこいよ。俺より兄貴のほうがいいんだろ。」

「ち、違う!!さっきのは…その…事故?っていうか…」

「事故だったとしても、なんで受け入れたんだよ。俺が香菜の彼氏だろ。」


 そ、そうだよね。事故とはいえ、浮気…になっちゃうよね…これは、私自ら

 晶人にキスすれば…上書きできる…かな…?


 私は、そっぽを向いている晶人の顔をこっちに向かせた。


「なんだよ?」


 私は、晶人の唇にキスをした。


「は、おまっ!」


 晶人は、あっちを向いてしまったけど、晶人の耳は真っ赤だ。ふふ。可愛いな。

 あんなこと言って、めっちゃ照れてるじゃん(笑)

 そんな照れられたら、私まで…照れてきちゃったじゃん…!!


「香菜」


 晶人はそう言うと、私の唇にキスをした。


 これで…晶人と仲直りできたかな…?


 あ、もうこんな時間だ!お風呂に入らないと!

 私は、タオルと着替えを持って、お風呂場に行った。



 ________________________


 〜青杜と晶人〜


「兄貴。今、いいか。」

「ああ。」


 ガチャ。


「俺、見たんだよ。兄貴が香菜とキスしてるところ。兄貴さ、わかってるよね?

 もう俺の彼女なんだよ?もちろん、香菜が兄貴の奴隷なのは知ってる。でも、奴隷って言葉は、兄貴と香菜の関係には当てはまらないと思う。代わりの言葉は俺は言うつもりないけど、好き勝手に、自分勝手に香菜にそういうことしないでくれ。」


「ほんとお前…うるさい…うぅ…」


「は?兄貴…え、泣いてんの?な、何でだよ?」


「俺さぁ…こんな性格だから、彼女できたとしても俺は本気で女を好きになったことねえからキスとか今まで俺からしたことなくて…。でもさ、お前ら見てると…お前といた方が…ださくら…楽しそうなんだよ…。あんな顔、俺に見せたことなかった。あいつからのキスなんてなかった。でも今はお前が彼氏で…俺はあいつに従わせねえと…関係が続けられない…。もちろん、最初はださいだけの女だと思ってた。だけど、いざ話してみると、その…俺のキャラじゃねえけど…可愛かったんだよ…もっと一緒に、隣にいてほしいって思った。一生俺のモンになればいいのにって…夜考えたりしてた。ははっ…。あいつ、まじでハラハラさせてくるんだよなあ…(笑)危なっかしいっちゃありゃあしねえ。だけど、あいつは、人の手助けもできるし、課題はちゃんと出す真面目ヤロウだし…。ごめんな。俺の方があいつよりだせえわ…(笑)」


「男が、泣くんじゃねえ。もし、香菜のことが本気で好きなら、振り向かせたいなら、兄貴から変わるべきじゃねえのか?優しくしたり、助けてもらったら照れ隠しするんじゃなくて素直にありがとうの一言言うとか。兄貴は父さんに似過ぎなんだよ。すぐにでも直せとは言わねえ。もし兄貴が俺から香菜を奪ってきそうになったら俺は全力で兄貴から奪いに行く。悔しいと感じたら、兄貴自身が香菜を振り向かせるようなことをしろ。好きな女の子に振り向かせられないのが、男として一番だせえと俺は思うよ。これからの判断は兄貴に任せる。とりあえず俺は普段通りに、香菜の彼氏として振る舞う。…じゃ、おやすみ。」


 ガチャ。


「(こんな風に兄貴に説教したのは何年ぶりだろうか。幼稚園ぶりか?あーあ。これから俺ら、どうなっちゃうんだ?奪われるのか、奪うのか。どちらにせよ、香菜を悲しめるような真似はしねえ。俺にとって、めちゃだせえからな。ダサい男が一番だめだ。)」

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