第8話 事故でしょこれ
昼休み。
「桜田さーん」
声のする方を向くと、
ファイルを持って、こちらに歩いてきた。
「私この後、急ぎの用事があるので、申し訳ないんだけど、このファイルたち、
「了解です。」
私は、高く積み上がるファイルを預かると、柏木さんはきをつけてねー!と言いながら走って行った。
確か、門松先生の職員室って…3階だっけ?じゃあ、階段下らないといけないのか。大丈夫かな。ほぼ前が見えない状態だけど、足滑らないかな…
私はそう思いながらも、階段までスタスタと歩いた。
そこで、誰かが先生が階段を登ってきたようで、
「お、係か?頑張ってんな、桜田。でも、大丈夫か?」
と感心され、同時に心配心を抱かせてしまった。この声は、
「大丈夫です、先生。ありがとうございます。」
私はそう言って、階段を順調に降りていった。
階段を全部降りていって、少し安心しながら、あと数メートルのところにある職員室まで慎重に向かっていたのだが、廊下で遊んでいた男の子たちにぶつかられてしまい、私は尻もちをついてしまった。
「いっててて…」
「あーすんませーん。」
そんな軽い謝罪だけで、どこかに行ってしまった。ちょっとイラッときたけれど、
尻もちをついただけで怪我はしてないので、まあいいか、と思って散らばったファイルたちを集めて再び歩き始めた。
ようやく職員室に着いた。
コンコン。
ガラガラ。
「失礼します。2年4組の桜田香菜です。門松先生はいらっしゃいますか。」
女性の先生、
私のクラスの国語の担当だ。
「ごめんね、桜田さん。今、門松先生、お昼ごろから出張行っちゃってて、いないのよ。なにか用だった…あー、その大量のファイルを渡しに来たのね。私が先生の机に置いておくわ。そういえば、昨日も来てたわよね?当番の日は明日じゃないの?」
「もう一人の子は、今日急ぎの用事があるとのことで、私が代理で来ました。明日は元々私の予定ですが、柏木さんに代理で任せるか悩んでいますが、私が恐らく来ると思います。」
「そうなのね。あまり無理しないようにね。ごめんなさいね、引き止めちゃって。
ありがとうね。」
「はい、失礼します。」
ガラガラ。
よし、任務完了。…あ!いけない!今日、委員会、当番じゃん!やばいやばい。
私は、普段走らない廊下を走った。
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「あ!桜田さん!ちょうどいいところに来た!」
「え?」
「私、今手が離せなくて、『皆からのお便り』整理しておいてくれない?全部とは言わないから。昼休み終了5分前には日誌を書いて、仕事終わらせてね。よろしくね〜!」
『皆からのお便り』というのは、この高校の生徒から、『こんな本が読みたい』『これを受験用に役立てたい』などの要望を生徒のスマホやパソコン、もしくは図書室のパソコンから私達の元へ届けることができるものだ。整理というのは、一番多い要望や、同じ要望、似た要望、あまりない要望(珍しい要望)、少ない要望などに分別して印刷をする。それを、司書さんに渡す。私は、今から、渡す前の『整理』の作業をする。
「へえー…今はアニメ関係の要望が多いんだなぁ…。」
今集まっている要望は、全部で200件らしいんだけど、今ざっと100件ぐらい見ると、この高校にはアニオタしかいないのかと言いたくなるぐらいアニメ関連の要望が明らかに多い。アニメ関連というと…漫画だね。この高校には雑誌も置いてあるし漫画も大量に置かれている。金欠でも、この高校に来れば、大体の物は揃っているので、その漫画目的に、この高校に入学してくる生徒も少なくないそう。漫画大好き人間にとっては、第二の家みたいな、趣味部屋みたいな感じなんだろうね。私は、漫画はまあまあ見るけど、主に小説を読む。主に、ね。
「…よし。終わった…と。」
時計を見ると、13:10。ちょうど日誌を書いて、仕事を終わらせる時間だ。
私は日誌を開いて、ペンを持った。
「桜田…お便り整理…っと…おっけ。」
私は涼しかった図書室からあっつい廊下へと出た。
________________
放課後。
私は、今日中に提出しなくてはいけないプリントを出すため、
なぜかと言われれば、栗下先生が前働いていた学校で、その学校の女子にセクハラをしてクビになったらしい。でも、今は何も起こっていないようだし、大丈夫であろう。
コンコン。
「失礼します。2年4組の桜田香菜です。栗下先生いらっしゃいますか。」
「桜田さんじゃないですか。あれですか?提出期限が今日の課題プリントですか。」
「はい、ぎりぎりになってしまい、すみません。」
「大丈夫ですよ。じゃあ、ちょっとあちらに来てくれますか。」
「え?あ、まあいいですけど。」
私は、栗下先生に着いていった。
どこまで行くんだろうと思っていたら、いきなり栗下先生が止まった。
部屋の名前を見ると、
『資料室』
と書いてあった。多分あれだろう。課題プリントをしまって、明日のプリントをくださるんだ。すると、先生は私を押してきた。
「せ、先生?何してるんですか?」
「お前さ…可愛い顔してるよなぁ…?胸も成長してて…エロい体しやがって…俺に触れと言わんばかりだなぁ…?じゃ、お前のお望み通り、とことん触ってやるよ…」
嫌だ、嫌だ…!!もう誰でもいいから誰か来て…!!!
バンッッッ
「あぁ?!誰だ?!」
「先生。それ、セクハラっていうんすよ?犯罪っすよ?俺知ってますから。先生が前の学校でセクハラしてクビにされてこっちに来たこと。女をいじめるのは、先生として、大人として、人間としてどうなんすかねぇ?」
「俺が力づくで先生のこと、ぶっ倒してもいいんだぜ?なんせ、俺は、空手と柔道習ってたからなぁ?どうする?俺に殺られるか、それとも、女を開放するか…。」
「くっそ…!!」
私は、栗下先生から開放された。
「香菜!大丈夫だったか…ってあ、あの…ごめん!」
晶人の顔がとても赤い。
「俺らが見ちゃいけねえやつだな…はは…」
「え?」
私は、なにかスースーするなと思ったら、胸元が開けていた。
「っ?!?!?!?」
私は急いで、着直した。それにしても、青杜と晶人、ちゃんと男の子なのに、
ちゃんとしてるんだな。
「き…着たか…?」
「う、うん。ごめんね、恥ずかしいところ見せちゃって。」
「大丈夫だ。それより、最悪の事態に陥る前に俺らがこれてよかった。」
「ありがとう。でも…どうやって…」
「ははは。内緒☆」
そんなところが、晶人らしい。
________________
今日は災難だったなぁ…色々と。でも、男の兄弟がいるって…
ふふ。心強いんだね。
「なあ、香菜。」
「ん?なに、青杜?」
「お前さ…晶人と付き合い始めて…その…晶人の方が笑顔多いなって思って…」
「え、そ、そうかな?!」
「俺のときは…笑顔…あんまなかったよな…」
青杜…もしかして悲しんでる…?それとも…嫉妬…?
いやいや!青杜に限って、嫉妬なんて絶対ない!むしろ、ありえない!
だし、今、晶人と付き合ってるし?!そんなことを心のなかでブツブツ呟いていると…。
「?!」
青杜がいきなり私の唇にキスをしてきた。
「え、ちょ、ちょっと!!」
「あ?お前は俺の奴隷だろ?」
ず、ずるい…。確かに、奴隷になると言ったけど、そんな急にされたら、
て、照れるじゃん…!!
ドアが少し開いていた。まずい、晶人に見られていた。
誤解を解かなきゃ!!私は、青杜を振り切って、晶人のもとへ走って向かった。
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