第6話 かっこいい義兄たち
なんとかすべての授業を終え、青杜に帰ろうと言おうとした時、私は(予想はついてたけど)女の子軍団に囲まれてしまった。
「ねぇ?なんであの青杜くんと手、繋いでたのかなぁ?あんた、青杜くんの彼女気取りしないでくんない?青杜くんは、皆のもの。今やってる行為、泥棒だよぉ??」
ああ、これはいじめに繋がるやつかな?でもやっぱり、いじめをするには複数人必要なのね(笑)だっさ。まだ女らがなんかごちゃごちゃ言ってるけど耳に入ってこない。あー、こういうときに青杜来てくんないかなぁ。
「おい、お前ら!」
皆が皆、声がした方向を見ると、それはまさに青杜だった。
「あ!青杜くぅ〜ん!!」
「そこにいる女、桜田だろ?」
「そうだよぉ?桜田さんだよぉ?」
「お前ら、桜田に何した。」
「別にぃ?何もしてないよぉ?ねぇ?桜田さん?」
私は笑って誤魔化そうとしたけど、青杜の目は、『自分の思いに素直になれ。』と私に訴えてるように見えた。私は、うざいと思っていたから、皆に今後何言われようと私の青春はもう終わったなと悟り、私は女らにこう言った。
「うざい…。うざいんだよ!!!!私が青杜と仲良くして、付き合って、何が悪いってんだよ!!てめえらに関係ねえだろうが!!!!」
私はついに言ってしまった。私の今までのキャラは大崩壊に終わっただろうな。
「は?あんた、誰相手にその口聞いてんの?あんま舐めてんじゃねえぞ。」
女が私の胸ぐらを掴んできた瞬間、青杜がこう言った。
「おい!いいのかぁ?そんなことして。桜田、だせえけど元ヤンだぜ?何されるかわかんねえ相手の胸ぐら掴んで、大丈夫か?」
「え、あ、ご、ごめんなさい。」
女らは全員私のもとから消え去った。まあ、青杜が言ったこと、全部嘘なんだけどね。そんな薄っぺらい嘘で怯えるって…ほんと、だっさいね。私よりダサいかも。
「香菜。大丈夫か。」
「うん。大丈夫。ナイスでしたね。」
「別に、お前を助けたわけじゃねえからな。俺の今日の役割を果たしただけだからな。」
「うん。わかってるよ。ありがとうね。」
私が青杜にお礼を言うと、青杜の耳が赤くなった。え、照れてんの?可愛いな。
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私達が家に帰ると、お義父さんとお母さんは、どこかにでかけてしまったようで、いなかった。だが、晶人はいた。
「おかえりなさい、偽カップルさん。」
「た、ただいまです?」
「今日は…散々な一日だったぜ…。」
「兄ちゃん、それ毎日言ってるじゃん。今日は何があったか聞かせてよ。」
青杜は、耳を真っ赤にして、
「香菜の友達の無茶振りで…香菜と…キス…しちまった。」
と言った。
晶人は、これでもかというくらい、目をまん丸くして、まじか、と言った。
でも、この目をまん丸くしている晶人は、明日から無期限カップルになる。
こんな事があっていいのだろうか。
「汗だくだから、俺は風呂に入ってくる。晶人、父さんの代わりに飯作っておけ。
今日は…香菜のリクエストで構わん。」
「りょうかーい!じゃあ、これから一時間ぐらいかかるんだよね。それまでに、冷めない料理作っとくね!」
「おう。」
青杜は、着替えと、バスタオルを持って、お風呂場に向かった。
「さ・て・と。香菜、何が食べたい?」
今の気分は麺類だ。特に焼きそば。だが二人は、脂っこいものは大丈夫だろうか。
二人はとても細く、その上、細マッチョだ。肌もとても綺麗だし、夜のこの時間に焼きそばなんか食べて、大丈夫だろうか。私は大歓迎なのだけど。
「焼きそばが…食べたいです。」
晶人は、ニコっと笑って、
「焼きそばね!了解!体の負担にならないように、油少し少なめで作るから、ソファとかでゆっくりしてて。」
と言った。
「ありがとう。」
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約1時間後
「お、いい匂いがするな。この匂いは、お前特製の焼きそばか?」
「さっすが、兄ちゃん。そうだよ。野菜たくさん入れたし、油は少なめ、魚肉ソーセージも入れたし、きのこも入れたよ。」
「これで、この後の筋トレも捗りそうだな。」
「今日は2時間コース?」
「うーん…。昨日が2時間半コースだったから、今日は1時間半コースでいいんじゃね。」
「了解ですー」
私は二人が筋トレをしている間、課題の消化かな。
「じゃあ、いただきまーす。」
私は焼きそばを口に入れるととても驚いた。何だこれ?!美味すぎるぞ?!
晶人に、そんな料理の腕があったとは。美味しすぎて、一気に食べ終えてしまった。
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