第5話 彼氏お披露目会
ついに…。ついに、門のところまで来てしまったーーーー!!!!
ああ…うわああ…こんなにも学校が鬱になることは初めてだ。いやでもそんなこと言ったら、青杜に失礼か。
「青杜…まじで頑張ってね。今後の友達関係継続は青杜に掛かっている!!」
「ふざけんなよお前ガチで。ただのクラスメイトだったら絶対やってねえからなこんなの。義妹だからやってあげてんだ。もっと俺に感謝しろよ?ま、明日からお前には俺の奴隷地獄が待ってるけどな!」
「わ、わかってますよ!そんなの。」
「香菜〜!!!」
この声は、穂波だな。早速来ましたね。まじで頑張ってくれよ、青杜…!!
「おはよ〜穂波。」
「あれ?渡辺くんじゃん。珍しいね、香菜と一緒に登校だなんて。」
「そんなに珍しいかな…?」
「珍しいよ!あ、そうだ。今日こそ彼氏紹介してくれる約束だったよね!
会わせてよ!」
よし。やっとこの時が来た。シミュレーションはバッチリだ。私が青杜の二の腕を軽く掴んで、『今まさに目の前にいる、この青杜くんが私の彼氏だよ〜!』って言う。頑張れ、香菜!
「実はね!あの…」
「香菜の彼氏の、渡辺青杜です。」
え、?ちょっと待って。リハーサルと違うんだけど…?
私が困惑してると穂波が目をまん丸くして、
「えーーーー!!?!?!?!?!??」
と叫んだ。
「ちょ、穂波。うるさいってば…!!」
「いつから?ねえ、いつから?!」
「いつからと言ってもつい先月ですよ。な、香菜。」
「そ、そうなんだよねぇ〜!」
「うわぁ、いいな〜!っていうか、渡辺くん、普段だったらすっごく冷たく
告白とか断るのに、なんで香菜はOKしたの?」
青杜は、少し考える素振りを見せると、私と恋人繋ぎをして、
「今まで、いろんな女子たちをフッてきたのは本命がいたからですよ。やっと、本命に告白できた感じです。」
と言った。まだ、恋人繋ぎをしたままだった。なんだろうこの気持ち。ただの義兄なのに、なぜこんなにもドキドキしてしまうんだろう。
「こんなにも彼女思いな彼氏、なんで紹介してくれなかったのかな〜?香菜ちゃん?私に奪われるとでも思ったのかな〜?奪うわけないじゃないの。じゃ、また教室でね〜じゃあね〜」
第一ラウンド勝利だああああああ!!!!!まっじで緊張した。計画外なことしてきたし、変にドキドキさせられたり…!!!!
「なんで…恋人繋ぎなんてしたの…?計画になかったじゃん。」
青杜は、耳を真っ赤にして、
「…反射。」
と言った。
は、反射ってことは、無意識にやったってことだよね?!
何なのこの展開!!!!意識しちゃうじゃないのよ!!!
「ほら。教室行くぞ。なんだっけ。仙人だったか?仙人はどこにいるんだ。
早く会わせろ。そしたら任務完了だ。」
「青杜さん。お手数ですが、お二人に顔を合わせたら終了ではないんですけど…。昨日も言った通り…あの…一日彼氏役なんで…そのへんよろしくね…?」
「あーそうだったか。すっかり忘れてた。ったくよぉ。そういう”一日”だったのか」
「そうなんだよね…。ごめんね。でもほんとに今日だけだから。」
青杜は、ん、と言って、一緒に下駄箱に向かった。それも、恋人繋ぎをしながら。
___________________
青杜は、とても冷たいのに、顔がかっこいいから何故か人気者で、青杜は
私と恋人繋ぎをしていることを忘れているのかもしれなく、さっきからずっと
青杜ファンの女の子たちがキャーキャー騒いでいる。まあそうだよね。あの女の子たちの中に、青杜に告白した人だっているんだよね。なんで桜田が選ばれてんのって思うよね。そう思うのも無理はない。
「おはよ〜!青杜くん!今年、青杜くんにバレタイン作りたいんだけど作ってもいいかな?!」
「はぁ?そんなのも人に許可貰わねえとできねえのか?勝手にしやがれ。」
その言葉に女子たちはきゃー!!と黄色い歓声を挙げている。わ、私だって、
青杜にミニショコラあげるんだから…!
青杜が教室の扉を開けた瞬間…
「青杜ー!おはよう…って、え?桜田さん…?お前、いつの間に桜田さん彼女にしたんかよ?!まじか?!」
「まあな。」
私は青杜に連れられて、青杜の席まで来てしまった。
「HRまでの演技はこれで終わり。お前はあっち行ってろ。」
「わ、わかった。」
やっぱり、いつもの青杜は冷たいなぁ。何でモテるのか不思議なぐらい。
そういえば、まだ柚葉来てないのかな。いつもだったら、HRの1時間前ぐらいには来てるぐらい早起きな人なのに。彼氏さんが寝坊したとかは・・・ありえるな。うん。
ほんとに世の中は怖いもので、噂をしていると柚葉は彼氏さんと一緒に教室へ入ってきた。
「じゃあ、また昼休み、ゆーくんの教室行くね〜!」
柚葉が彼氏さんに手を振りながらじゃ〜ね〜!と言って、二人のイチャイチャ見せびらかしは終了した。私は、誰よりも早く青杜の席へ行った。
「ねえ。青杜。」
「んだよ…せっかく音楽の世界に飲み込まれてたってのに…なんだよ?」
「柚葉…あの、仙人が来た。」
「彼氏お披露目会開始ってわけだな、お前が言いてえのは。」
「お披露目会って…まあそうなるか。よろしくお願いします。」
「ターゲットはあと仙人だけだもんな。行くか。」
私は青杜の横に並んで、柚葉の席へ向かった。
「ねえ、柚葉。」
「あ、香菜じゃん。おっはー」
「彼氏紹介する話…覚えてる?」
「覚えてないわけがないでしょうよ。今日か明日かとソワソワしすぎて夜しか眠れんわ。」
「…ただの健康ライフをお過ごしの方なんだけどね。で、私の彼氏は、この人です。」
「渡辺青杜です。先月からお付き合いさせていただいています。」
「渡辺くんが彼氏か…。なんか、美男美女カップルって感じでお似合いじゃない?ありがと、紹介してくれて。」
「あ、うん。これでもういい…よね?」
「うーん…そうだなあ。渡辺くんと香菜が、キスしたらもういいよ。」
は?!キス?!ちょちょちょっ!!!昨日来たばっかりの義兄と?!クラスメイトと?!青杜の顔を見ると、表面上ではニコニコしてるけど、絶対私と同じ感情持ってるな…。青杜は一体この場をどう乗り切るんだろう?というか、ここじゃなきゃダメなのかな?かといって、3人だけの場所に移動して、キスするのもそれはそれでおかしいもんな…。さあ、どうする、青杜?!
「香菜。こっち向け。」
「え?」
私は言われた通り、青杜の方を向くと、顎に手を添えられ、キスをされた。
嬉しかったのだが、それと同時に最悪な出来事が起こった。担任の先生が教室に入ってきてそのシーンを目撃し、クラスメイトは青杜が女といるのが珍しいということで青杜の方に目を移していたら、キスを見てしまったんでまあ混乱混乱。
「あ、青杜ちょっと…!」
私がそう言うも、青杜のなにかが暴走し始め、ついにはハグまでしてきた。そんでまた、熱いキス。もう私は放心状態だよね。青杜に身を任せたよね。
見ていられなくなったのか、先生が私達を止めてきた。そこでようやく、青杜が自分のしたことを知り、赤面。ちょっと可愛かったけどね。でも…
このあとの学校生活、どうなっちゃうのーーー?!?!?
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