第36話 エレノアの資産管理説明会
総合商会のローナ支店、たくさんの机の並ぶ大会議室にて。
エリスのお願いを聞き入れたエレノアは、折角だからと大々的なイベントを開催。大会議室はお金の使い方に失敗している傭兵達ばかりでは無く、エレノアの話から総合商店のもうけの秘訣を見いだそうとする商人達で埋まっている。
「今回は私の資産管理説明会に来てくれてありがとう! 皆集まってくれて嬉しいかも!」
大会議室に設けられた司会席に座る金髪碧眼のエレノアは、胸の前で両手を握りイベントに集まってくれた説明会の参加者に感謝した。
説明会の参加者達からの拍手や礼の言葉が、次々と飛び交う。
手を前に出して観衆を鎮めたエレノアは自分で確かめるように、説明会の要点を最初に語る。
「この説明会は資産の管理について三つの段階で説明するかも。一つ目は、現状の収入を知る事。二つ目は、現状の収入から運用可能な資産を知る事。三つ目は資産運用上の注意点の事。かも」
言葉をメモにとる者や、近くに座る知り合いに相談する者などなど、様々な反応が返ってきたことにエレノアは満足そうだ。
「まずは、現状の収入の知り方について皆にも実際にやって貰いながら、説明するかも!」
「この紙とペンでやって貰うのでぇ、後ろの人に回してくださいねぇ~。ペンと紙は持って帰っても良いのでぇ、どんどん活用してくださいねぇ~」
助手兼護衛として立っていたボウケンジャーの小隊リーダー、ポーラがペンと「入金」「出金」と左右に分かれた表の描かれた紙をどんどん渡していく。
全体に紙とペンが行き渡ったのを確認したエレノアは頷くと、紙に書かれた表について説明する。
「これは入出金管理表です! この町ローナを切り拓いたマリィちゃんが考えた凄い表だから、皆もこれを使えばお金をしっかりと管理できるかも! やり方は簡単! 入金の表に収入を書いて出金の表に出費を書くだけ! 入金の合計から出金の合計を引けば、現状の収入が分かるよ! これを書く癖を付ければ、使いすぎな時に一目で分かるから、お金が足りなくて焦ることが減るかも!」
説明を聞いていた参加者達が首を傾けながら表に書いているのをウンウンと頷きながら満足しているエレノアに、紙を配り終えたポーラは問いかけた。
「商人連中もいるみたいですけどぉ、良いんですかぁ? エレノア様」
「もちろんかも! 帳簿を素早く処理して貰って商売にどんどん挑んで貰えれば、取引の機会も増えて願ったり叶ったりかも!」
「そういうものなんですかぁ」
ニッコニコなエレノアの返事に納得したポーラは、あーでもないこーでもないと呟きつつ傭兵と商人が混じって数字を書き込んでいる様子を面白げに見つめた。
#####
自分の城である工房に帰ってきたエリスは早速貰ってきた紙の初期状態を思い出しながら紙に写し書きつつ、軽く書いてみた現状の資金状況について首を傾けた。
「不思議です。無駄なお金なんて使っていないのに、資金難になっています。どういうことなのでしょうか?」
彼女の書いた入出金管理表を見れば、とんでもない額のお金を装備政策の実験に費やされている事が分かるが、本人としては削るべき場所ではないらしい。
どんなにやり方を変えたとしても、本人の意識が改革されない限りは意味が無いと言うことである。
同じくエレノアに泣きついたバレットも機械槍の購入資金を全く削らないので金欠になり、二人仲良くダンジョン巡りをする羽目になるのは別のお話。
――あとがき――
このお話はこれで完結とします。
ここまでお付き合いくださり、ありがとうございました!
もし良ければ、同じ世界観の【強すぎるおねえちゃんと一緒】もよろしくお願いします。
こちらがリンクです。
https://kakuyomu.jp/works/16817330661759864397
こちらのお話は、おねえちゃんが大好きな少年、クロがおねえちゃんことチェルシーや、お隣さんの才女ローズと共にガルド王国の周辺国を旅して周り、旅の障害を打ち倒して大戦士に至るお話です。
こちらのお話で出てきた要素も所々に配置しているので、ニヤリとできるかも?
そして新作、はじめました!
こちらはダンジョン周回物です。呪いで喋れない上に鎧が脱げない鎧騎士君が呪いを解こうと解呪のアイテムを求めてダンジョンを周回します。
魔導文明破滅から百年後の未来、今さら最強騎士が復活!? ~呪われた名無し鎧騎士、少女の祈りで覚醒。なお、迷宮周回&宝箱開封&OP厳選します~
https://kakuyomu.jp/works/16818093076598718096
もし良ければこちらもよろしくお願いします。
ゲームっぽい世界の屍姫にTS憑依した私は、チート鑑定能力[確認]で生き抜き、主人公と交代する。 ランドリ🐦💨 @rangbird
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます