第19話 強敵を狙う

 強敵を狙う


 〜〜〜マリィ

 特別教室


 夏虫も静かになってきた教室でクラリス達に宣言する。


「皆の適性から見てダンジョンを探しての討伐、ダンジョン狩りが良いと判断しました!アレスの北西、聖者の試練を見つけた辺りに行くので防寒装備には注意です!」


 かなり遠距離への遠征だ。

 フレイとイレイザが驚いている。

 今までは、近場で済ませたが、そろそろ開拓場所の選定を狙ってるのだ私も。


「妹から聞いていたけど、かなり突飛な所を狙うわね真意は開拓への助走が大きいのかしら?」


 クラリスはエリスのお姉さんで話を聞いていたのだろう。

 金の眼を細めて冷静に副目的を断定した。

 これは頼もしい!


「俺の情報からしても、あんたのレベル10昇格は近い…状況が一気に動くぞ、新たなドラゴンキラーが狙うは、新たな港!楽しいぞ!忙しくなるな!」


 独自の情報で勝手に興奮し始めたのはロックだ。

 金髪を掻いてメモに色々書きなぐっている。


 フレイとイレイザは顔を見合わせて置いてけぼりだ。


「ええー早くない?みんなレベル上がるの早いし状況変わりすぎ!?」

「こういうこともあるかな?がんばろう?」


 励まされるフレイと励ますイレイザに伝えておく。


「今回の最重要人物は君たちだよ!君たちを見て思いついたんだから!」


 ズバリと指さす!二人は固まったが頑張ってほしい。


 一気に作戦の説明を始める。

 

 「今回の目標はアレスの北西にあるギザギザした崖の海岸でダンジョンの撃滅だよ!」


 皆を見回す。


「時間短縮のために、運搬用フロートに皆を乗せて、私が引っ張って低空を飛んでいく!」

 自分を人差し指で指差してそのまま、力こぶを作る。

「専用のコンテナはあるけど入らない荷物の固定はガッチリやる様に!」

 吹っ飛ぶからね!と警告

「アレスで物資を補給するから、アテナからの物資はアームキャノンの弾薬以外最小限でいく。」

 アームキャノンの弾薬は大事!

 生産地のアテナでも高いからアレスに行ったらどうなるか…




「暖房はフレイにお任せする!凄く重要で向こうはめちゃくちゃ寒いだろうからあたたかくしてほしい。」


「現地での索敵はクラリスのバイクで変なところに隠れてるダンジョンを見つけて!」


「事前にアレス北西周辺の情報をロックには調査を任せる!」


 皆にお願いすることを一気に話していく。


「あの~、私は?」


 イレイザに聞かれるのでにっこりと答える。


「ダンジョンを破壊してもらうよ!」


 イレイザ以外の皆から頷いてもらい安心する。


「ええ~!?無理じゃない?」


「出来るよ!過去の文献にあったから!」


 過去の文献の正確性を盾にして了承を確保する。(皆長生きだから…)

 過去の文献マウントは強いよ!

 長く生きてるいろんな人が、長く生きてる色んな人の日記にしたりされたりをまとめた物が、

 過去の文献だから!

 聖者の試練や勇者の剣盾もこれのおかげで正確な場所を発見した!

 強い盾はいい、強ければ強いほどいい!


 ~~~マリィ

 ダンジョン内最奥

 ロックの見つけた情報の通りだった!

 敵は掃除済み、水の地形で塩ドロップ!うーんこれは壊していい塩ダンジョン!

 周りは海だし、塩くらいは作れるよね。


 …


 この世界の海に塩ってあったっけ…?

 …

 まぁいいか!


 あれがダンジョンコア!魔物生むもの!ダンジョン自身!今回の敵!


 やっちゃって下せえ先生!イレイザ先生に頼む。オナシャス


「あれに消滅の光線を使えばいいんだね~?」


 イレイザ先生が一息吐いてから両腕を前にして告げる。


「消滅の光線!」


 真っ白な彼女が輝いてさらに白くなった。

 すると、周囲の光景は肌寒いアレス、北西の海岸に戻っていた。

 作戦大成功だ!ダンジョンコアを一撃で消滅させたのだ!

 さすがボス属性だ!戦闘をシューティングゲーム化させる系ボス属性。


 この調子で一気にやるぞ!


 =M this is C reader ダンジョンを発見 over!

 =Cリーダー デスイズ M ダンジョンを発見 ラジャ!

 =M this is C reader 座標を送る over!

 =Cリーダー デスイズ M 座標に向かう  アウト!


 その後はクラリスに見つけてもらってはダンジョンを攻略にいく。



 ~~~発火器

 ダンジョン内部


 マリィが剣と盾を装備してる。

 狭いところは大剣が不利だからと言っていた。

 ?

 なにか最強が何とか言ってたと思うけど状況には対応するのね。

 何故だか知らないけれど安心だ。


 段取りで失敗しては元も子もないというから状況に装備を合わせるのは大事だ。


 先頭を行くマリィが手を挙げた、接敵の合図だ。

 そのまま無言で剣を横に広げ構えると、一息に小鬼の眼前に踏み込んだ!

 首めがけて水平に振るわれる剣。

「殺」

[斬首] で小鬼を破壊!(いいね)

「ッ!」

 何かを叫ぼうとした小鬼の首が撥ねとび消えていく。

 皆無言で進んでいく。

 イレイザとかは妙にアワアワしてるが、慣れてないのかな?注視しておこう。

 するすると、進んでいくと扉を見つける。


「中ボスか、総員、アームキャノン準備」


 魔導鎧の全員が無言で砲腕を前に向けて進んでいく様は恐ろしげだ。


 扉に入ると、急に扉が閉まりイレイザが飛び跳ねる。

 ゆっくりと扉を見つめる目は不安げだ、僕も君が不安だ…

 強大な力に臆病なやさしい心、よくない…組み合わせだ。


 …


 部屋の中心の魔法陣に現れた豚鬼は両手剣に鎧を付けている!

 かなり強そうだが…


「砲撃開始!」 


 マリィが号令を上げると全員が一気にアームキャノンを撃ち込む。


 …


 前見た時も思ったけどやはり強い!

 この形式では相手になる敵がいるのか?

 ダンジョンキラーということなんだろうか?

 魔法陣の上で鎧の豚鬼が踊り力尽きる。

 倒れた恨めしげな顔から、演技ではないだろう。

 消えていく。


 後ろと前の扉が開いた。

 終わりということだろう。

 豚鬼が倒れたところには…マンガ肉だ!


 …


 危険度と報酬が釣り合っていないように思う。

 おいしいとは言えないかな。

 じっと観察していたマリィも、このダンジョンの点数を落としたようで、メモに何か書き込んでいる。

 クラリスさんは残念そうな表情だ。

 見つけてきた人だからね。


 怪しげな所を垣間見せながら、順調に探索は続く。(フゥン?)

 一度マリィが落とし穴にかかったが、宙に浮いたことで支板が発動して、普通に通り抜けてしまった。

 むしろ、後続が危険だったくらいだ。

 けが人無く、気が付けたのは幸運だろう。

 これにはマリィもヒヤリと汗をかいて先頭はロックに交代だ。

 楽しいのが好きなロックは次々罠を見つけてはチョークで罠の場所を書いていくポップな文字で物騒なことが書いてある。

 投石の罠にはこれを踏むと君の魔導鎧がへこんじゃうよ!

 とかマリィの目を真剣にさせていた。

 本職さんなのでは?と思ったらマリィが後で聞いて普通に趣味だった。



 大きな扉の前。多分パターン的にボス戦だ、ここでマリィから提案が入る。


「初撃で消滅の光線を狙ってみない?」


 どれほど、ショートカットをする気なのか!?

 うまくできたら、消耗無しで終了だがダンジョンの保護はいいんだろうか?

 ボスのアイテムをまだ見ていないと思う。


「ボスのドロップを見なくてもいいんですか~?」


 イレイザが聞いてくれる。君のことは信じていたよ!


「ボスの査定は中ボスまでなんだって。あとは、来れる人が一気に減って、あー赤字ダンジョン?になるんだって管理するだけ損みたいな?」


 イレイザとフレイの白と赤の目に理解の光が灯る。

 ほかの二人は判っていたみたいだ。


 きっと、足跡が特にたくさん、ついてしまうダンジョン行きの街道は、街道の形を残すのも手間なんだろう。

 足跡は残すようだけど、街道の形をなくすのは嫌がる。


 ボス部屋に侵入すると、大きな魚人ボスが演出なのか魔法陣の上からゆうゆうと浮かび出てくる。

その間にイレイザの消滅の光線がダンジョンコア狙い対策?の障壁を消し去ってダンジョンコアに命中!

 無法だなこれ…


 風景が海岸に戻った…


 何か、矛盾が起きたのかボスも召喚が半分で終わってしまい。

 下半身が地面に埋まっている。

 いや…飛び出てこないし地面でなく、向こう?に有るの?

 倒してもドロップ有るの?向こう?に落ちない?


 まぁ、ダンジョンをバグらせたマリィの責任だから、マリィが処理するだろう。

 剣を上段に構えたマリィが飛び上がり、胸像状態で何もできないボスへ攻撃する。


「勇者の剣よ」(逆らわないで)

「砕けろ」


[貫通] [兜割] で巨大魚人を破壊!


 巨大魚人を開きにして消し去った。(美しい!)

地面ごとざっくり開きにして大雑把だな!?

地面に深く食い込んだ筈の剣がスルリと抜けて恐ろしい。

 ドロップに塩がバラバラと落ちるが、本当に微妙なダンジョンだった!


「おつかれ!」


 マリィがちょっと残念そうな顔をしている。


「最初はこんなものだろう!イレイザのスキルはヤバいな!隠蔽工作はしておく」


 ちょうどそこにすべてを貫きそうな勇者の剣があるからな!と笑っているロック。

 有名だからな!と面白いことに関われて愉快そうだ。


 ~~~発火器

 全11回のダンジョンアタック後


「頭が痛いな。」


 クラリスが急展開にコンテナを覗きながら青い髪を抑える。


 最初はひどいダンジョンだったけど、追加で合計10カ所ほどを突破。

 5カ所イレイザビームをしてその日は終了した。

イレイザビームとアームキャノンの威力で高速で撃破だ!

 付近の未探索は全滅したんじゃないだろうか?

 残した6カ所も最奥ボスを倒したから、しばらく大丈夫だ。


「フククハハ!これは面白いな!」


 ロックはコンテナを覗いてひたすら愉快そうだ。


 ダンジョン探索の結果としては、

 上等なところが3カ所 鉄鉱石が1 石炭が1 魔法石が1 どれも必要だ。

 普通なところが1カ所 塩や肉だが、低階層の雑魚だったので。

 残念なところは5カ所 潰した。最初のを含みだ。

 すごいところが2カ所 金や、宝石が出てきた。

宝石は単純に美しい上に魔道具のコアだ!

金は貨幣材料として国が貨幣と同等の価値で買い取ってくれる。

重量に対する価値が高く、納税に有利だ!


 運搬用フロートの専用コンテナに入ってる金塊や宝石を覗き込んでイレイザとフレイが目を輝かせる。


「「おお~!」」


 放置されていたからか上等なところが多い!このダンジョン探索、大成功だ!

 水に塩が即流れていくところも多かったが…


 大量のダンジョンアタックの結果、皆のレベルは8になった。


 マリィはレベル10に成った!

これで、君は開拓司る大戦士だ。

 実は、このダンジョンアタック前に大戦士前でも有効な開拓申請は出してあるので、ここはもうマリィの土地予定地だ。

 有効なのは申請から3年以内に大戦士に成れた人で、何でこんな猶予が有るのかと言うとレベル10に上がる人は上がる時は、すぐに上がるからだ。

すぐ上がる人に発破をかける制度だ。

 今までの様子を見るにマリィが仲間にした、このクラスメイトたちも開拓役含みその部類かもしれない。


 この場所はダンジョンさえ削っていれば、天然の良港に成ることだろう。


 次の日に、空からおおきめな綿がフルフルと降ってくる。

 これは…雪だ、こんな所にいるとよろしくないだろう。

 雪が降る中皆に囲まれた白い少女がとても印象的だった。

 頼れる仲間と一緒にいる限りは大丈夫だろう君は幸運だ。


 ゆきがふってきたから、かえろう。


[確認]金塊_金属製_装飾に優れる_高価値


[確認]宝石_魔力製_魔道具のコア_高価値

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る