第14話 他の国の勉強

 他の国の勉強


 ~~~発火器


 僕を封印した件をマリィは気にしていたけど

 あの体だと大きすぎるし、攻撃されるから。

 僕は今のこの状況を気に入っている。


 僕がアレと同じオリハルコン製というのが少し気にかかるところだけど。

 仕方ない。


 アテナの街は学園を覆うように巨大な壁が円形に並んでおり、これはアイギスの盾と呼ばれているそうだ。

 その盾と学園の間は街になっていて、通りがぐるりと円形に出来ている。

 模様のように張り巡らされた小さな通りのその一つに総合商店のアテナ支店がある。

 小さいと言っても、アレスにある本店に比べてであり支店というには巨大だ。

 今回はアテナ支店の裏にある木製の庵がマリィの仮宿だ。

 奥にあるマリィの小部屋で、マリィとチカチカと話?をしていた。

 こうして、話し相手になれるだけでも光栄だ。


「でさーバレットの奴の新しい機械槍が二連銃口式っていってたよね~」

 バレット君の機械槍何本目だっけ、違いあるの? 

 チカチカと2回光っておく。

「だよね、連射モードがあるし、無駄だよね」


 話というには、マリィがひたすら話しているが、会話は成立している。

 チカ、チカチカと壊れた電灯じみた光景だが、僕は面白いと思う。

「で、アリスは無茶はダメっていうんだよな~」 チカ

「えっ無茶はダメに肯定?無茶かな?うーん、計画を修正するかな〜」


 明らかに危険な行動案に反対しておく。

 どうやら、僕はマリィの考えを変えるのに成功したらしい。


「命あっての物種というもんね、ご安全に!」 チッカ

 ヨシ!と返答する。光るだけなのでフィーリングだ。


 たわいもない話をマリィが続ける。

「エリスが言ってたけど、このアテナの街にはドレッドノートっていう巨大魔導鎧ってのが~」

 チカっと語り合う。

 何度かは僕の死因だったのに、大して気にならない。


 後から街と敵の関係を聞いたけど


 僕の存在は死神そのものだった。


 仕方ない。



 そうしているとマリアが勉強を教えにやってきた。

 マリィ以外には僕のことは秘密だ。

 ドラゴンを封印した魔道具なんてどんな扱いになるかわからないから。

 という風にマリィは言ってた。

 どこかに封印してほしいという僕の意見は却下された。


 異世界の勉強を横で聞いているのも面白い。


「今回は中途半端だった他国、特に東側の事を教えるわ」


 アリスから根回しがあったのか、マリアの顔は引きつっている。

 これも仕方ないね!


「東のエリン森林同盟は、同盟各国の軍隊が半壊したことでかなり焦っているの」


 森に焼き討ちをしたと聞いている。

 仲良くすればいいのに。


「王国の東はエリン森林に遠慮して、大都市を作っていないのが裏目に出たわ。」


 ?

 同盟ではなく、森林自体に遠慮したのか。

 興味を惹かれる。


「森林に遠慮したの?国じゃなくて?」


 マリィが我が意を得たりな質問をしてくれる。

 ありがたい!


「森はダンジョンが少ないのもあるけれどエルフという種族の物なの」


 エルフ…ファンタジーな話には大体出てくるやつだね。

 今は僕もファンタジーだけど。


「長寿な種族で、レベル無しでも何百年と生きるそうだわ。寿命の長さの力は王国の戦士たちが証明してる。敵対すれば危険ね。」


 話が逸れたわねと続ける。


「その結果、王国の東方面に焦ったエリン森林同盟が侵食してきてるわ」


 大都市が無いから、現役の戦士が少なくて追い返し難いって事かな?

 僕も、鳥のせいで小さい都市に近づいたときは焦った。

 凄いご老人達が飛び出してきて誘導してたけど彼らは無事だろうか。


「まとまった部隊は撃破してる、けど逸散した連中は盗賊になってるわ」


 僕も大概だったけど、これはまた…


 侵略に来て、負けたら盗賊になる…迷惑なやつらだと思う。


「じゃあ!盗賊退治がたくさんある?」


 んん?

 なにかマリィがこれ勉強したところだ!みたいな顔をしている。


「あるけど、それがどうかしたの?」


 雲行きが怪しいぞ。


「それじゃあ、いこう!」


 そのまま、支店の交渉部屋でエレノアからも


「気を付けていってらっしゃいかも!」


 マリア!止めてくれ!


「人助けね!行きましょうか!」


 そういうことになった。


 ~~~戦場入りする、二人と一つ


 驚くような速度で戦場に向かっている…

今回はボウケンジャーのお手伝いで盗賊相手に追撃。

きっちり、倒しておきたいらしい。

各個撃破しないと今は盗賊だが、もとは軍隊だ。

集まって連携してきて厄介だそうだ。


目標はボウケンジャーが追い込んだ盗賊たち、らしい。

連日、爆撃したのか。

立てこもっている遺跡がボロボロだ。

 

 マリィの機動力と、最近覚えたマリアの加速の奇跡の合作ですぐに到着。

マリアを背負ったまま、戦うんだ…ライドされる方かな?

マリアは金属製のゴーグルにきんきらの装飾付きな白い法衣がミスマッチだ。マリィに乗るためには仕方ない。


 アレか?


「例のドラゴンキラーか!噂は聞いている!戦場では無抵抗の敵はいないぞ!残念だったなドラゴンキラー!」


 すごい大声だ、そういう能力かな?


 …なんで盗賊の噂になってるんだ?

 僕が無抵抗で倒され続けたから、それが止まったのが目立ったのか…

 悪人相手でも、人相手は初めてと聞いてる。

 大丈夫なのかn?

            タァン!


「狙撃モードで頭に当たった!ぶーてほー!」(美しい!)


 大丈夫そうだ。

 武器の進化は人の罪悪感を鈍らせるという。

距離の法則?だったか。


 今更だけど、この武器って進化してるのかな、槍と銃って別々の方が良いような…


「遊んでないで索敵するわよ!加速の奇跡は緊急撤退用に温存ね」


 奇跡は回数制らしい、何かのレトロゲームで聞いたかも…

 不思議と僕はマリィより先に敵を見つけている気がする。

 いるだけで、ちょっとしたお守りでしかないけど。(オリハルコンは壊れんぞ?)


 僕はそんな記憶も何もないはずなんだが不思議な事だ。

 アレに攻撃するときも確信があった。


 敵だと。


 超能力かな?


「次の敵はどこだ!?あっちか?そっちか?」


 マリィが暴走気味だ…

槍を肩に掛けて腰から剣を抜き、遺跡を破壊してる。

その姿はまるで怪獣だ。

 …アレかな?

 友人の手助けをするか。


 意識を向けると、その方に体…?が揺れるので目ざとくマリィが気が付いた。


「あっちか!」


 素早く、剣を納刀して、機械槍を向けるマリィ。


「一当てしたら障壁の奇跡を使うから、残りは壁で轢いちゃいましょう。」


 恐ろしい提案をするマリア。


 僕が見つけた3人の集団は1か所に集まっていたのが災いし、マリィの射撃は凌いだけどマリィの速度でマリアの障壁の奇跡に激突して。

 遮蔽にしていた遺跡の壁ごと潰された。


 黙とうだ。


 今回、倒すべき敵は全滅した。


 お疲れさま。






大きな声の人:マリィの速さと長い前準備の必殺剣の噂しか知らなかった。

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