閑話 大剣試し切り編
~~~マリィ
街道脇の空き地でニヤけながら大きな包みをほどく。
鋭く研磨された巨大な緑色の結晶に、柄の付いたものを手に取り掲げてみせる。
「何度見てもカッコよい武器だァ!」
おもむろに頭上で剣をブンブン振り回し始める。
まるで大剣で必殺ゲージを貯める動作だぜ。(必殺技なんてない)
横から見ているマリアが心配してくる。
「はしゃぎすぎて怪我をしないように!」
忠告を尻目に、動作の確認をしていく。
袈裟にふってから逆袈裟にふる。
「重ね撃ち」
[ダブルクレセント] で岩を破壊!
光る斬撃が二本飛び地面に跡を残しながら岩を砕く!
おお! 岩が簡単に砕けるぞ! 強い! 強い! 短剣とは全然違うゾ!(全部必殺だ)
「今日も強靭! 素敵に無敵!」
ごろの良いセリフを叫びつつ。
調子に乗って覚えているスキルを連発する。
あ~、2段ジャンプからの振り下ろし?
体を剣の勢いに流されながら墜落し、地面へと剣が激突する!
「撃ち下し」
[メテオストライク] で足場を破壊!
う~ん、小さな丘を吹き飛ばしてしまった。整地に便利??? 土嚢作りに便利かな?
えー、剣を縦ー、横~の小ジャンプっと。
すると、体が岩の側面へと回り込んでいく
「流し撃ち」
[スラッシュスラスト] で岩を破壊!
少し先にあった岩をなで斬りにしながら飛んでいく。
まるで大剣に引っ張られているようだ!
街道がみるみる遠くなっていく。
マリアが走って追いかけてくる。
心配性だな?
でもやけに飛距離があるな?
というか大剣に引っ張られている。
林の中まで突っ込んでいて枝やらがペチペチ当たって痛い
小さな木をひき潰している、こんなの事故不可避だよ…
スキル中だからか、手放すこともできない!!?
あれ?これってどうすれば…???
とりあえずブレーキだブレーキ!
足を地面に突き立てる! けど止まらない!?
「なんで止まらない!? なして止まらない????? こんなはずでは」
ザリザリと音を立てながら、新しく購入した鉄芯いりのブーツが腐葉土の地面に食い込む。
やっと止まったと安心したのも束の間、スキル動作だったのか?使い手にとっては無慈悲な追撃スキル発動、だ
勢いよく輝く剣が振りかぶられて、光と共に振り回される。
知らんスキルだマズイ……。
待機時間切れで発動しちゃう!?
とりあえず、剣の振りを無理矢理に足元へ向ける。
口が勝手に動いた。
「乱れ撃ち」
[ブランディッシュ・バスター] で木の集団を破壊!
複数の光の剣が地面を切り刻んでいく。
切り裂かれた地面に光りが染みわたって……。
衝撃波で周囲の林が吹き飛び、マリィは大量の木片交じりな腐葉土の雨を浴びる。
「うえええ! ぺっぺ! 口に入った! 苦い!」
しばらく、自作のクレーターのなかで、座り込んでいるとマリアが駆け込んできてヒールをかけてくれる。
「強力だけど、制御できていないから、制御できるまでは大剣での実戦は禁止ね!」
あきれた目で見られながら言われるが粘り強く交渉する。
「実戦の合間に、練習したいんだ~、帯刀したままじゃだめ?」
「そんな大きな武器邪魔でしょ!部屋に置いて来なさい!」
「やだもん! つよいんだもん! これで勝つもん!」
購入したばかりの大剣はこうしてお蔵入りとなった。
――確認――
[確認]アイゼン_鉄製_北国の靴_滑り止め付きの足装備
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます