3.第1日 地下街からの脱出!

 何故か地下商店街の中に6番出口が見当たらないのです。ボクたちはぐるぐる、ぐるぐると何度もその地下商店街の中を周りました。でも、どこにも6番出口がないのです。地下商店街はそんなに広いというわけでもないのですが・・・でも、どこを探しても6番出口が見当たりません。


 どうなってるの?・・・こんなバカな?


 ボクは地下街の中で天を仰ぎました。


 ボクたちはそんなに広くもない、この地下商店街の中で「6番出口が無い!」と、何故かまたもや迷子になってしまったのです。


 乙支路入口ユージロイルグ駅の地下街といってもそんなに大きなものではありません。出口も数か所しかないのです(日本に帰ってから調べたら、出口は1番から8番までの8ケ所でした)。日本の東京や大阪の地下3層や5層構造にもなった巨大な地下街ならいざ知らず、どうしてたった数か所しかない出口が見つからないのでしょうか?


 どうなってるんだぁ・・・ボクの悲痛な叫びが地下街に響きます。でも、そんな叫びをあげても、出口は見つかるはずもありません。


 ボクはなんだか意地になってしまって、昭和レトロな商店街を何度も何度もぐるぐるとまわっています。そんなボクをアホバカ妻はあきれて見ていましたが・・・商店街から外れたところに横道を見つけて、「あなた、こっちじゃないの?」とボクを手招きしました。


 「そんなところに出口があるわけないよ」と言うボク。


 「行ってみないと、わからないじゃないの?」と言うアホバカ妻。


 あんな道に入ったら、さらに迷ってしまうじゃないか・・・


 そんな僕の思いとは裏腹にアホバカ妻はどんどんと、その横道の中に入っていきます。アホバカ妻を放っておくわけにはいきません。ボクはあわてて跡を追いかけます。


 すると・・・なんということでしょう。その横道の先に、6番出口があったのです。


 「ほら、やっぱりここでしょう?」と胸を張るアホバカ妻。


 えっ、なんで・・・と呆然とするボク。


 えっ、どうして、こんなところに6番出口が?・・・ボクの頭に疑問符クエスチョンマークがいっぱい点滅します。


 でも、今はそんな疑問を解明しているときではありません。とにかく、6番出口から外に出ないといけません。・・・ボクたちは急いで6番出口から地上に出たのです。


 そして、6番出口から出たボクたちは、無事に宿泊先である" Sky park central Hotel "に到着したのでした。


 こうして、アホバカ夫婦はやっとホテルにチェックインすることができたのです。それは、金浦キンポ空港に到着してから、かなり時間が経ったころでした。


 さて、さっきも書きましたように、乙支路入口ユージロイルグ駅の地下街といってもそんなに大きなものではありません。日本の東京や大阪の巨大な地下街ならいざ知らず、どうして出口が見つからなかったのでしょうか?


 ボクは日本に帰ってから、どうして迷ったのかを調べてみました。そして、謎を解き明かしたのです(笑)。ボクたちアホバカ夫婦が、出口が8ケ所しかない乙支路入口ユージロイルグ駅の地下街で迷ったのは、次の二つの理由からでした。


〔理由1〕

 近況ノートの地図を見てください。この地図は日本に帰ってから、ボクがインターネットで調べたものです。地図の左上の緑色の部分が問題の乙支路入口ユージロイルグ駅です。


 で、ボクたちは出入口の3番から地下街に入って、6番から出ようとしたのです。3番と6番には赤い丸を付けています。


 さて、ここで問題になるのは地下街の形なのです。地図をよく見ると、駅から長い通路が支線のように伸びていて、その先がさらに分かれて3番と6番の出口があります。このため、3番から地下に入ると道なりに進めば、乙支路入口ユージロイルグ駅までは迷わずに行けるのですが、今度は乙支路入口ユージロイルグ駅から6番出口に出ようとすると、どの支線の通路に入ればよいのかが分からないのです。


 さらに、地下街がこんな形状になっているとは知りませんので、支線の先に出口があるなどとは全く思いつきもしなかったのです。


 今は支線にも出口の番号が表示されているのかも分かりませんが、当時はそんなものはなかったので、ボクたちはすっかり迷ってしまったというわけです。で、アホバカ妻はたまたま支線の一つを見つけて、ボクたちがその中へ進んでいくと偶然にも6番出口があったという次第です。


 ちなみに、ボクたちの宿泊先である" Sky park central Hotel "は地図の右下にあります(青い楕円で囲っています)。


〔理由2〕

 これも日本に帰ってから判ったのですが、ボクたちが迷ったこの地下街は乙支路入口ユージロイルグ地下商店街と呼ばれているものでした。近況ノートの地図では、駅の右側に「乙支路入口地下ショッピングセンター」と書かれています(青い楕円で囲っています)。


 さて、ボクたちは全く知らなかったのですが・・・ソウル市庁から有名な東大門トンデムン市場まで、一本の地下道が繋がっていて、乙支路入口ユージロイルグ地下商店街はその一画をなしていたのです。つまり、ソウル市庁駅の地下通路や、明洞ミョンドンの入口にある乙支路入口ユージロイルグ駅の地下通路、そして東大門トンデムン市場の入口にあたる東大門トンデムン運動場駅の地下通路などが、すべて一つの地下道で結ばれていたのです。


 このため、乙支路入口ユージロイルグ地下商店街には、ソウル市庁駅方面に行く人や東大門トンデムン運動場駅方面に行く人の大きな流れができていたのです。また、地図をご覧になればお分かりになるように、乙支路入口ユージロイルグ地下商店街の周囲には大きなオフィスビルがいっぱいあります。このため、多くの人々が乙支路入口ユージロイルグ地下商店街を商店街ではなく、単なる通路として利用していたのです。


 ボクたちはそんな大きな人の流れに巻き込まれてしまったという次第です。


 でも、これらは全て日本に帰ってから知ったこと・・・


 そのときのボクたちは知る由もありませんでした。


 とにかく・・・こうしてドタバタしながらも、アホバカ夫婦はやっと宿泊先である" Sky park central Hotel "に到着したのでした。 


 皆様も韓国に行かれた時はお気を付けくださいませ。地下街は注意しないと、結構難しいですよぉ・・・


(近況ノートの写真)


 近況ノートはこちらです。

 https://kakuyomu.jp/users/azuki-takuan/news/16817330660691734937


 近況ノートの写真の上は、日本に帰ってから調べた前述の地図です。ボクたちが迷ったときに、この地図があったらよかったのですが・・・そううまくはいきませんでした(笑)。


 近況ノートの下の写真は乙支路入口ユージロイルグ駅の3番と6番の出口の写真です(左が3番、右が6番)。当日は雨が降っていましたので、翌日、出かけて行って写真を撮りました。地下鉄の駅への出入り口と言っても、日本と変わりませんので、こんなところの写真を撮っても仕方がないのですが・・・まあ、記念です。この3番出口を見たときは、これでもう迷わないで済むと思ったのですが(笑)・・・

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