2.第1日 昭和レトロな地下街で迷う!

 何が何だか訳が分からないとはこのことです。バスの路線図にあったのは『 Royal Hotel (乙支路入口ユージロイルグ駅) 』というバス停で、バスの中の案内も「次は Royal Hotel」だったのに、それに従って降りたバス停は「ウリ銀行(ジョンノ支店)」だったのです・・・


 そんなアホな? 一体どうなっているの???・・・


 ボクの頭の中がパニックになりました。アホバカ妻も呆然としています。ソウルに着くや否や、訳の分からないことばかりです・・・


 本来ならば、ここでスマホをインターネットが繋がるようにセットし、ネットの地図とGPS機能を使えば、宿泊先の" Sky park central Hotel "までの行き方が分かるのですが、あいにくその時、にわか雨が降っていました。このため、傘をさして荷物も持っていましたので、ボクはネットのセッティングができませんでした。


 さて、外国で道に迷うことほど、心細いものはありません。


 バス停には誰もいませんでした。こんな時には、地図を出して片言の韓国語ででもいいから、道を歩いている誰かにホテルへの行き方を聞くのが一番いいのですが、あいにくの雨で通行人もほとんどいません。また、たまに通行人が現れても誰もが傘をさして急ぎ足で歩いており、ちょっと呼び止められるような雰囲気ではありません。さらに、雨のせいかタクシーも走っていないのです。


 アホバカ妻はまだここが" Royal Hotel " の前だと信じて、ホテルを探していましたが、無いものはあきらめるしかありません。


 なんと、ボクたちはソウルに到着早々、ホテルに荷物も置いてないのに道に迷ってしまったわけです。・・・雨も降っています。頼みのインターネットも使えません。もう踏んだり蹴ったりとはこのことです。まさに最悪の事態です!


 しかし、アホバカ妻と二人で雨の中に呆然と立っていてもどうしようもありません。


 宿泊する" Sky park central Hotel "に電話して行き方を教えてもらうことも考えたのですが、「今どこですか?」と聞かれたときにどう答えたらいいのか分からないので電話は断念しました。バス停の前に「ウリ銀行(ジョンノ支店)」があるにはあったのですが、外国の知らない街の知らない銀行の場所を起点にして道案内をされても分からないと思ったのです。


 とにかく、「ウリ銀行(ジョンノ支店)」よりも明確な目印になるものを見つけないといけません。仕方がないので、ボクたちはとりあえず歩道に沿ってぶらぶらと歩いてみることにしました。


 すると・・・雨の中を少し歩いたときに、偶然にも地下鉄の乙支路入口ユージロイルグ駅の3番出口が見えてきたのです。ボクたちのホテル" Sky park central Hotel "と隣の” Royal Hotel" は、乙支路入口ユージロイルグ駅の6番出口の近くにあります。ということは、乙支路入口ユージロイルグ駅以上の目印はないということになります。乙支路入口ユージロイルグ駅を基点にすれば、必ずホテルにつけるはずです。


 地獄に仏とはまさにこのことです。ボクたちは小躍りしました。


 後は乙支路入口ユージロイルグ駅の地下道に入って、6番の出口を見つけて地上に出るだけです。これは簡単です。いや、簡単なはずです・・・


 良いことと悪いことが繰り返す、コントのようなドタバタもこれでやっと終わりだと思われました。


 ボクとアホバカ妻は喜び勇んで、乙支路入口ユージロイルグ駅の3番出口から地下道に入っていったのですが・・・


 3番出口から地下に入って、少し行くと、まるで日本の昭和に戻ったかのような古い地下商店街が現れました。その地下商店街には、店先の通路に段ボールやら商品やらを雑然と並べて、衣類や電化製品などをむき出しで売っている、古めかしい商店がずらりと並んでいました。ソウルで『日本の昭和』という言い方はおかしいのですが、ボクにはその地下商店街は懐かしい日本の昭和の香りがするように思えたのです。近況ノートに地下商店街の写真を載せましたので、後で見てくださいね。


 さて、通行人はみんな、その地下商店街を通っていきます。日本でも地下の商店街は地下街の中のメイン通路になっていて、このメイン通路に面して地上に出る出口が設けられています。ボクとアホバカ妻も、きっと、この地下商店街の中に6番出口があるのだろうと思いました。それで、その地下商店街に入っていったのです。


 しかし、今度は何故か地下商店街の中に6番出口が見当たらないのです。ボクたちはぐるぐる、ぐるぐると何度もその地下商店街の中を周りました。でも、どこにも6番出口がないのです。地下商店街はそんなに広いというわけでもないのですが・・・でも、どこを探しても6番出口が見当たりません。


 どうなってるの?・・・こんなバカな?


 ボクは地下街の中で天を仰ぎました。


 ボクたちはそんなに広くもない、この地下商店街の中で「6番出口が無い!」と、何故かまたもや迷子になってしまったのです。


(近況ノートの写真)

 近況ノートの最初の写真は、ボクたちが迷った昭和レトロな地下商店街です。人が多いところはさすがに写真を撮るのが難しかったので、人通りが少ないところを選んで写真を撮りました。通路に雑然と商品や段ボールの箱が置いてあるのが、なんとも昭和です。


 一番上の写真は昭和レトロな地下商店街の洋品店です。洋品店の店頭で売られているスカートが5,000ウォンと表示されています(一番上の写真の右端)。5,000ウォンは500円です。ボクはスカートの値段はよく分かりませんが、安いのは間違いないようです・・・。


 近況ノートはこちらです。

 https://kakuyomu.jp/users/azuki-takuan/news/16817330660639826948

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