4、挨拶

 

 ・・・さぁ、ここからが正念場だ。


 今、目の前に広がる景色は途轍もなく尋常とは言い難かった。


 まず、右横には唐島から来た姫、左横には華島から来た姫が座っている。あまり頭を動かすとはたしないので慎んでいるが、二人ともとても美しく、可愛いらしい。

 華島から来た姫は、凛々しく、美しかった。輪郭はしっかりとしていて、顔の部位パーツはまるで絵に描いたような配置である。切れ長の目は隙を見せず、すらりとした体型で背が高い。一見男のようだが女らしいところも醸し出している。自分とは比較にならないほど全てが完璧だった。


 唐島から来た御方は、華島の姫やヴァイスと違い、統治者の直系ではなかった。何故ならば、赭国の首都である唐島の統治者は王族だからだ。王族に王族を嫁がせるのはよくないということから唐島の姫は王の右腕の直系と決まっている。


 その御方は、華島の姫とはまた種類が違った完璧な姫であった。華島の姫は「かっこいい」というイメージであったが、此の姫は「儚い」というイメージである。輪郭は丸く、角があまりない幼い顔立ちで、金剛石ダイアモンドを嵌め込んだような目は、思わず吸い込まれそうな透明さである。



 

 そんな個性豊かな三人が並んで座っているのは下座だ。上座には、王族の面々が揃って並んでいた。ご丁寧に目隠しの布まで張られているため顔立ちなどは詳しく分からないが、おそらく左側からシュタットリヒ王、イスペリアベス后、ガイアルディア王子、インポザント王女の並びだろう。


 そんなことを考えているとシュタットリヒ王とおぼしき人物が重々しい威厳のある声を発した。


 「これより登殿の義を執り行う‼️」




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