第26話 新たなカード


 最近ようやく来なくなった国の使いっ走りが泣きながらうちに来た。どうやら動画の件で異動になったらしい。かわいそうに。

「最初からこんなことしなければよかったのに」

「しょうがないでしょ!うちの部署からの命令だったんですから」

「んで?今日はどうしたの?」

「いや、謝っとこうかなぁと思って、すいませんでした」

「いえ、気にしないでください、仕事ですものね?分かりますよ」

 とマスターが口にすると、

「わかってくれますがーあぁぁぁぁ」

 と泣き出す始末。帰ってくれないかな。


「これですいませんけど帰らせていただきます」

「もう来なくていいですからねー」

「そんなこと言わないでくださいよ!」

「まぁまぁ。またどこかで」

「それも酷い!」

「またきますからねー」

 と去っていった。


 ほんとに大変な人だな。


「さて、ダンジョンに行ってこようかな」

「え?どこの?」

 最近上級に上がった中級ダンジョンにだ。

「ギルドビル近くの」

「あぁ、あの上級になったやつね」

「私も行くー」

「師匠私も」

 結局この四人か。


「ねぇ、師匠?この前のギルドビルでギルドはどうなったの?」

「あぁ、ギルドはそのビルを取り壊して新しいビルに移転したよ」

「近くのビルらしいね、ギルドも金持ってるじゃん」

「あんだけ壊されたらそりゃ仕事できなくなるって」

「それもそっか」

 などと話していると駐車場に車を停めて新しいギルドビルに入って行く。

「なんか変わらないねぇ。でもさすがにレストラン街とかはなくなってるね」

「またそのうち再開するんじゃないか?」

 ギルドの中はガランとしていて本当に簡単な機能しか維持されていないようだ。

 

 ステータスを久しぶりに更新してみる。


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瀬古 礼玖人セコ レクト25歳

 レベル63(268)

 力 B(SS)

 体 A(SSS)

 速 B(SS)

 知 B(SS)

 魔 B(SS)

スキル 収集 分別 焼却 アイテムボックス 刀術 剣術(火焔魔法 水氷魔法 風雷魔法 土木魔法 神聖魔法 光魔法 闇魔法 影魔法 精密鑑定 回復魔法 合成 錬金 隠蔽)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 だいぶ上がったな。

 まぁこの調子で行けばいいか。


 ヒナもミアもアズサもそれなりに上がっているだろうな。

 さて、上級ダンジョンにでも行くか。

 

『ゴールドスライム収集、焼却』

 ふぅ、アイテムボックス三枚か。

「そんなに集めてどうすんの?」

「考えてないな」

「そうだろうと思ったけどさ」

 ヒナが笑って言ってくる。

「レアモンスター狩ってるだけだもんね」

「当たり」

 ヒナがガッツポーズをしている。


「レアモンスターがドロップするやつには錬金素材もあるからなぁ」

「へぇ。前みたいなマジックバックとか?」

「そう、ポーションとかな」

「そうなんだ」

 拡張をつけてエリアポーションとか実用的だろうな。

「だからここでもでたら嬉しいかな」


「よーし、んじゃここでもレアモンスター倒しまくるぞー!」

「「おぉー!」」

「お、おぉ」

「んじゃあ呼んで」

「分かったスライム収集」

「あーここじゃ意味なかった」

 スライムの塊を切り倒して行くがその中に虹色に光るスライムがいた!

「そのスライム待て!」

 逃げるのが早い。

「クソっ!レインボースライム収集、焼却!」

 目の前に現れた虹色のスライムは溶けてドロップへと変化する、カードの『才能開花』になった。

 なんだこれ?

 カードを破いて使ってみると、『粉砕』を覚えた。

 なるほど覚醒と同じか。


 よし。この調子でレアモンスターを潰して行くぞ。



「デスディグ収集、粉砕」

「うわ、グロっ!」

「やばいねそのスキル」

「流石師匠」

「あぁ、グロいなぁ、これは硬い敵の時に使おう」

 粉砕は燃えないごみじゃないとね。

 でもドロップに直ぐ変わるから大丈夫。

「お、これも錬金素材に使えるな」

「おぉ。よかった」

 鋭利をつける爪か、錬金素材になるな。


 十層、二十層と進んでいき、三十層も攻略し今日は終わりにする。

「はぁ、しんどかった」

「そうか?」

「だって全部の層で集めるから息つく暇もないでしょ!」

「だったら俺のスキルで」

「師匠がスキル使うと私達が何も出来ないですよ」

「そうだろ?だから一人で十分なんだって」

「そう言う言い方はないでしょ?同じクランなんだから!」

「はい」

「でも実際そうなんですよねー」

「わかるぅ、レクトが強すぎな件」

「ミアもアズサも意思が弱い!レクトについていければ私達だって自ずと強くなれるでしょうが!」

 そう言う考えもあるよな。

「そうか!これは試練!」

「そう試練なのよ!」

「燃えてるとこ悪いけど出発するからシートベルトお願いねー」

「「「はーい」」」


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