第15話 アズサ


「ドライブ行ってき…なにこれ?」

 ドライブにいこうとしたら、

「クランに入りたいって人が多くてさぁ」

 列をつくって人だかりができている。

「あの。手伝って?」

「はいはい、次の方!」

 ミアが仕切り出した。

「希望動機は?」

「俺もアイテムボックスが欲しくて!」

「却下!」

「あー、アイテムボックスが欲しい人は他のクランに行ったほうがいいですよ!うちはもう使ってないので!」

 ヒナが笑いながらいうと。

「マジかよ!」

「だれだよ!ここに来たらアイテムボックス取れるとかデマ流したの!」

 愚痴を垂らしながらはけていく。

「マスターもダメですよ?誰でも彼でも入れたら?」

「はい」

「そこらへんわかってます?」

「はい」

 マスターが絞られている。

「もうその辺でいいだろ?」

 助けてあげないとな。

「あ、あの」

「はい?」

「クランに入りたいですけど?」

 金髪碧眼の女の子が一人残っていた?

「クランに入ってもアイテムボックス手に入りませんよ?」

「はい!」

「えっと、動機は?」

「強くなりたいんです!」

「はい?」

「クランメンバーで上級ダンジョン制覇したんですよね?」

「それは、はい」

「みたところ三人でですか?」

「まぁ、はい」

「私を強くしてください!」

「えぇー!」

「はい変わって」

 ミアが変わると、

「スキルは?」

「刀術です」

「ダンジョン経験は?」

「初級しかまだありません」

「ならうちにピッタリね」

「はい?」

「はいるんでしょ?」

「はい!」

 女の子は元気よく答える。

「名前は?」

「橘アズサです」

「私はミア、こっちがヒナで、彼がレクト」

「私がクランマスターです!」

 マスターが、必死にアピってる。

「刀術ならレクトが教えれるわね」

「え?俺が教えるの?」

「よろしくお願いします」

 頭を下げられたらしょうがないか。

「うん、出来るだけ教えるね」

「はい!」

 いい子そうだな。


「アズサは刀は?」

「刀は高くて木刀です」

「んじゃ俺の刀を貸してあげるよ」

 刀を渡すと。

「ん!くっ!重いです師匠!」

「あ。ごめん」

「はぁ、はぁ、はぁ、」

「あー、これ魔刀だったわ」

「んじゃ木刀で真似してみてね」

「ふっ!」

「ふぅ!」

「ふっ!」

「師匠速いです!」

「マジか!」

 どうすればいいんだ?

「ギルドビルに行こうか」

「はい!」

 武器屋で一番軽い刀を買ってやる。

「こんな高いの…」

「いいのいいの」

 つぎは初級ダンジョンで。

「スライムは斬れるかな?」

「やってみます!」

「えい!」

 スライムは問題ないな!

「ゴールドスライム収集」

「えい!やあ!」

 二体も倒せた。カードは俺が持っていく。

「よし、こんどは多いから気をつけてな!」

「はい!」

「スライム収集」

「やあぁぁぁ!」

 なんとか喰らいつくアズサ。

「はあ、はあ、はあ、」

「はい、お疲れ様」

 水を渡して休憩させる。

「強くなってどうするの?」

「お爺ちゃんを楽させたいんです」


 父が陸軍、母は普通のOLだったハーフの私に優しくしてくれたのはお爺ちゃんだけでした。二人は離婚してすぐにお爺ちゃんに預けられたんです。能力者として学校にも通いましたが刀術なんて最初は喜んでましたが、刀は重いし、少しのことで折れてしまい、お金がかかります。それをお爺ちゃんが頑張って助けてくれたんですが、お爺ちゃんが腰を悪くしちゃって、卒業までずっと木刀で頑張ってきました。だから卒業したらお爺ちゃんに親孝行したいんです。


「うん!じゃあ、とりあえずお爺ちゃんの腰を治そう!」

「え?」

「家まで連れてってくれるかい?」

「は、はい」


 車でアズサの家に着くとお爺さんは寝たきりの状態だった。ポーションのアンプルを折って飲んでもらうと、お爺さんの腰はよくなったみたいだがリハビリが必要なようだった。そこは頑張って貰うとして、ポーションのアンプルを2本置いていく。痛くなったら飲んでくださいと伝えた。

「さてアズサはこれから強くなりたいんだよな?」

「はい!」

「じゃあ、明日も同じ事の繰り返しになるけど大丈夫かい?」

「はい!」

 よし、俺も付き合うから頑張ろうな!


 次の日からスライム収集特訓が始まった。

どう動かせば斬れるのかを考えながら斬ることと教えて。あとは斬り続けるだけ。

何体かゴールドスライムを斬っていたが気付いてないみたいだ。

 休憩時はアドバイスしながら、たまには俺が斬って見せる。

 一週間で成果が出て来た。最後には全てのスライムを斬れるようになっていた。

「これでアズサはだいぶ強くなったはずだよ」

「はい!ありがとうございます」


「よし。んじゃ、初級ダンジョン制覇しちゃうか」

「はい!師匠」

 初級ダンジョンも簡単に終わって、宝箱からは力のネックレスが出た。アズサにはピッタリだな。

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