第14話 マスター


「今帰ったよ」

「おかえりマスター!」

「どうだった?」

「途中から意識がなかったよ」

「でしょうね」

 クランの資金としてはだいぶ潤ったでしょ!

「あ、これおみやげね」

「「「わーい!」」」


「ダンジョン攻略は順調?」

「いま八十層ですよ」

「え?もうそんなに行ったの?」

 ビックリするマスターだが。

「レクトのスキルと相性が良すぎるのよ」

「なんなら明日にでも上級ダンジョン攻略できるわよ?」

「そんなに凄いのかい!」

「それにレクトが刀術手に入れてからは凄いんだから」

「刀術!すげー!レクトさん!刀術って難しいですか?」

「ケントにはまだ早いかもな」

「そうですか、剣術頑張ります」

 魔刀雪中は本当に良い刀でしかもカッコいい!使いやすいし良く斬れる。


 さて、明日に備えてゆっくり寝るかなぁ。

「レクトはもう寝るの?」

「あぁ、明日はダンジョンだろ?もう遅いしねるよ」

「そう、おやすみなさい」

「おやすみー」


 屍ダンジョン九十層、ドラゴムゾンビ。

「ドラゴンゾンビの核収集」

 大きな核が目の前に出現する。

 魔刀雪中で真っ二つにするとドラゴンゾンビはケムリになって消えていく。

 ドロップ品は宝石と魔石。宝箱にはカードが三枚。刀術、アイテムボックスが二枚。

「また増えた」

「まぁ、死蔵だな」

「さぁさっさと百層までいくわよ」

「「おう」」


 百層、ボス部屋。

「今までと雰囲気が違うわね」

「プレッシャーがすごいわ」

「そう?開けるよ」

 扉を開けるとゾンビが大量にいた。

「「きゃーーーーーーーーーー!!」」

 耳が痛いが奥にいるのはリッチか!

「リッチの核収集」

 真っ二つにすると、ゾンビ達もいなくなる。

「もう大丈夫だ」

「もうヘロヘロよ」

「私も一番ビックリした」

 ドロップ品回収すると杖だった。

 ミアは使わないというので死蔵。

 宝箱には巻物とカードが二枚。

 巻物を鑑定すると一閃という刀技だったので俺がもらい、カードは二刀流と魔力回復だった。二刀流はヒナが、魔力回復はミアがとった。


 そしてオーブに触り、上級ダンジョンを制覇しました、帰還しますか、無くしますか。

 と聞かれて帰還と答える。

一層に戻って来たのでダンジョンを制覇した事が鳥居に刻まれた。



「流石に換金に行かないとね」

「だね」

「気が重いよ」


 車でダンジョンビルに向かい駐車場に停める。

 ビルの中に向かい受付に大量にあるのでと言うと総動員してくれて上級ダンジョンのドロップ品を運んでいく。


 総額八千五百八十万円を三等分してもらいカードに入れる。マスターからはここ三年はとりあえず稼ぎは自分達のものにしてくれと言われたのでそうした。


 当分は攻略はおやすみかな?


“コンコン”

「レクト君いる?」

「はい。マスター?」

「あの大変言いにくいんですが、アイテムボックスのカードをどこで取ったか教えて欲しいと詰めかけて来ててね」

「あぁ、くると思ってたんで大丈夫ですよ!屍ダンジョンの九十層で出ましたから!」

「わ、わかった!九十層だね!」

 マスターは慌てて下に降りていく。

 そしてまた上がってくると本当に出たのか証拠はと言われて。

「スマホに画像を送っておきましたよ」

「あ、本当だ!ありがとう!」

 また下に降りていった!

 あの時機転を効かせてミアが撮っていたんだよね。


 下に降りていくとなぜオークションにかけたのかと国の人間だろうやつらがマスターに近寄って叫んでいたが。俺が来たことで逃げていった。刀を取り出しただけなんだがな。

「助かったよ、レクト君」

「いえ。俺が元はオークションに出そうと言い出したので」

「あははは、オークションに出したのは私だよ」

 本当に優しい人だ。



「レクト君、助けてくれぇ」

 いきなり下からマスターの悲鳴が聞こえダッシュで向かうと剣を突きつけた男が一人で何か騒いでいる。

 さっさと片付けようと刀を出すとこっちを見て、

「あははは。お前がレクトか?アイテムボックスのカードを寄越せ」

「誰がお前に渡すかよ」

「レベル差もわからないのか?」

「おまえがな!」

 手首を斬り落としマスターを助ける。

「な、なぁぁぁぁぁ!」

「お前が、誰に頼まれたかなんて知らないが、俺たちのマスターに手を出すのは許せないな」

「ち、ちがう!俺は国から雇われて!」

「じゃあ今度はレベル100超えてるやつを寄越せ。じゃないとお前と同じになるぞ?」

「わ、わかった、言っておく」

 わざと逃がしてやった。

「大丈夫ですか?」

「大丈夫だよ。いきなりだったからビックリしたよ」

 肝が据わってるのか呑気なのか。


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