第3話 ヴィトーとキンジの現場検証

キンジと中学校に来た。向かう場所は、俺とカルメラが使っていた住処だ。紙の住処は、まだ血がついており、カルメラが殺された名残りが残っていた。

「ヴィトー、すまんが、カルメラがどういう体勢で死んでいたか、実際にやってくれるか?」

「ああ。」

カルメラの事を思い出し、つらいが、殺した奴を見つける為だ。俺の新たな復讐は始まったばかりだから、我慢しよう。

カルメラは確か、腹を地面にして、伏せていた。この辺りで、こんな感じだったか。それを見て、キンジは「ふむ」というだけで何も言わない。その後は、巣の周辺を見回していた。

「ヴィトー、ここには誰か来ていたか?」

「他の猫は近寄らなかった。来るのは、用務員ぐらいだな。」

「そうか・・・」

そう言うと、またキンジは考え込んでいた。俺はいつまで、ここに伏せていればいいんだろうか。キンジに声をかけようとした時、用務員が来た。


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用務員として、雑務をこなしていた。2日前、カルメラが殺されたのを発見して、埋葬をしたが、ショックもあってか、仕事が少々、手につかなくなっている。これはではだめだな。改めて、気を引き締める。

仕事も一段落つき、住処を撤去しようと向かった。ヴィトーもカルメラが殺されてからは、近寄らなくなったから、もう必要ないだろう。


小屋の近くまで来たら、猫の鳴き声がした。見ると、ヴィトーとこの町で一番有名な猫キンジが居た。キンジは、頭のいい猫で、信号待ちをしている動画がテレビで取り上げられ、一躍、人気者になった。今やキンジが外を歩いていると、人が集まる様になったので、外出しなくなったと飼い主の米山よねやまさんが嘆いていた。

そんなキンジが、ヴィトーと共に、カルメラが殺された場所に居た。しかも、ヴィトーはカルメラが死んでいた時と同じ場所、同じ姿勢だった。

「お前達は、何をしているんだ?」

まるで、現場を検証しているみたいだが、まあ、猫がそんな事をする訳がない。キンジは、自分の足跡がある土を見つめ、匂いを嗅いでいた。

ヴィトーの方を向き、話しかける。

「ヴィトー、住処を片付けていいか?」

ヴィトーは「ニャー」と言った。

まぁいいって事にしておこう。片づける準備を始めた。

あ、そうだ。猫のヴィトーに言っても通じない事だが、言っておかないとな。

「ヴィトー、カルメラは俺んの庭に埋めた。見にきてもいいが、妻がいない時にしてくれよ。猫嫌いだからな。」

ヴィトーとキンジは「ニャー」と、答えた。

・・・俺の言った事が伝わったか?

まぁ、いい。住処の片づけを続けた。

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