大切な人が遺してくれたもの

七夕の日、水害で夫を失った妻の物語。
何気なく過ぎていた日常が、ある日突然失われてしまう。それはもしかしたら、自分の身に降りかかることかもしれないけれども、どこか他人事のようにも思ってしまうもの。そんな物語を、リアルに丁寧に描かれています。

夫を失った妻は、しばらくのあいだ意気消沈してしまいますが、毎年、七夕になると不思議な出来事が起こると気が付きます。その不思議な体験を通じて、過去を知り、何気ない幸せを感じていた日常を知り、ゆっくりと前を向き始めていきます。

辛い出来事があったとしても、人はそれを乗り越え、前へ進める強さがあると信じたくなる物語。悲しいけれども、希望を忘れたくない。想いの込められた物語です。

その他のおすすめレビュー

宮草はつかさんの他のおすすめレビュー364