第21話 配信回 逃亡LIVE配信

どこまでもどこまでも冒険者たちは追ってくるぅ~! 僕らが街を歩いているとぅ、僕らの姿を見つけてぅ、ヤツラは集団でどんどん追い詰めてくるんだぅ~!


ヤツラはスマホで連絡を取り合ってぅ、僕らの居場所を見つけるとぅ、みんなで寄ってたかって集まってくるんだぅ~!


そこで僕らは手をとって逃げてるぅ~! 二人で手をつないで街を逃げるぅ~!


「追えっ。追えっ。ヤツラを逃がすなっ」「敵だっ。やつらは日本の敵だっ」


「ルルナっ。逃げようぅ~!」

「うん。逃げようっ」


ルルナと僕は今電車に乗って逃げているぅ~!


ごとん・・・ごとん・・・

ごとん・・・ごとん・・・


僕らは二人とも目深に帽子をかぶって見つからないようにしてるぅ~!


僕らだとばれたら人は電話で連絡を取って冒険者たちを呼ぼうとするぅ~!


ああぅ。田園伊豆線の車窓からきれいな景色が見えるぅ・・・。


こういうときでも景色って美しいんだぅ~!


ただぅ、人目が気になるぅ・・・。どうしても逃げる僕から周り中が敵に見えてしまうぅ~!


僕らは電車に乗りぅ、静岡を脱出してぅ、三島駅から北に向かうかぅ、南に向かうかで迷いながらぅ、話し合ってたんだぅ~!


ルルナぅ。ルルナがいてくれてよかったぅ・・・


車両の最後尾にボックス席に向い合せで座ったルルナが言ったぅ~!


「当たり前が当たり前であるって、結構大切なことだったんだね。隆起」


「うんぅ。日常を捨てた僕らには帰れない場所があるぅ~!」


「ただ、あなたといれてよかった。捨てたくなかった日常があったとしても」


「僕も君といれてよかったぅ。大好きだよぅ。ルルナぅ~!」


「私も大好き。・・・友達だとしても、あなたは大切な大切な友達だから」


ぎゅっ


ルルナが僕の手を握って来たぅ。


あぅっ・・・やわらかくてぅ・・・優しい女の子の手ぅ・・・ルルナの手ぅ。



それから僕らはただぅ、手を繋いでじっと車窓をしばらく眺めていたぅ。


ただぅ、感傷に浸ってる場合じゃないぅ・・・。僕らは逃亡者で共犯者だからぅ・・・。




僕はこれからのことを考えたぅ~! 筋トレをやるぅ~!


ハンディグリップッ! ハンディグリップッ! ハンディグリップッ! 伊藤ッ!


・・・今ぅ、ルルナを助ける続ける力が欲しいぅ。うおおおおぅ。




ルルナが言ったぅ~!


「・・・このままじゃまずいわね。冒険者はネット公開で私たちの情報を集めて、集合で動いてるし」


「どうしようぅ? うまく逃げる手が考えらればいいんだけどぅ~!・・・」


「私たちもネット公開で対抗しましょう。スマホ通信だけで、ネット配信で私のファンに協力を求めるればいいわ」


「えぅっ? でもぅ、それってぅ・・・。通信を傍受されないぅ? それじゃあ見つかってしまうんじゃぅ?」


「大丈夫。位置情報セキュリティサポーター限定配信という機能があって。公開を私のファンだけに絞って居場所も特定されずにネット配信することができるわ」


「・・・わかったぅ。それじゃあやってみようぅ。スマホだけのライブ配信だねぅ~!」


「うん。そう。ファンのみんなならわかってくれるわ」



ごとん・・・ごとん・・・

ごとん・・・ごとん・・・



それからぅ、ルルナはスマホでネット中継をはじめたぅ~!


「こんばんわ。下僕さんたち(ファンネーム)。私ソフィ―ナよ。今回はある事情でスマホでの通信だけ! 今から私たちの逃亡を配信するけど、みんな手伝ってくれるかしら? 手伝ってくれないと、悪役令嬢がお仕置きしちゃうわよ♪」


同接数1万だけの大切な自分たちだけの味方ぅ、サポーターたちが寄って来たぅ~!


> こんソフィ。おお。ソフィーナちゃん。

> こんソフィ。ソフィーナちゃんやっぱり君だったんだな。伊藤隆起と逃げてるヤツ。

> こんソフィ。おっ、はじめまして。サポーターになってはじめてw

> こんソフィ。よろしく。手伝うよ。

> こんソフィ。おお。逃亡配信ですなw

> こんソフィ。新しい面白いですよ。

> こんソフィ。


「よかった。そう。今、私、伊藤隆起くんと電車で逃げてるの。30億の借金なんて返すことできないし、なんとか逃げて糸口を見つけたいの。手伝ってくれる?」


同接数はあいかわらず1万ぅ。すごぅ。こんなにルルナだけのファンっていたんだぅ~!


ルルナは僕に軽く笑いかけてきたぅ~!


(・・・ごめんね。隆起。悪いけど、しゃべってくれる?・・・)


僕はうなずいてルルナの差し出したスマホに声を出したぅ。


「こんばんわぅ~!伊藤隆起ですぅ。僕は今30億の借金から逃げるためにソフィーナ(ルルナ)と逃亡してますぅ~!」


> 知ってるw

> テレビ観てるし。

> 乙姫がすごい放送やってる草

> 破産宣告はできないのか?

> いや、破産申告だろ?

> 破産申告ってなにっ。

> 財産放棄するわかりに、借金を帳消しのする手。

> その方が話はやくねか? 俺もそう思うぜな? 伊藤よ。

> 俺もそれがいいと思うけど。

> 是非お薦めするな。


「破産宣告はできませんぅ。アメリカからの圧力で国際認定としてぅ、僕の破産宣告は止められてるんですぅ。大使館からの借用通告書に書いてありましたぅ。だからぅ、逃亡を助けてくださいぅ~!」


同接数が1万2千を超えたぅ~! こんな大勢の人が世界に秘密でぅ、僕らだけを支えてくれるんだぅ~!


そのときルルナが会話に入ってきたぅ~!


「ごめんね。ファンのみんな。悪いけど、逃亡だけじゃなくて、30億の借金を逃げながら返すための情報も募集したいのッ」


そのときぅ、突然ぅ、警官が電車の車両に中に入って来てぅ、きょろきょろしたぅ~!

ひぅっ。警察だぅっ。


とっさにルルナが僕に抱き着いて来たぅ~!


むぎゅっ


・・・はうぅ。ルルナぅ・・・胸が当たってるってぅ・・・


「なぅ、なにをぅッ~!・・・ルルナぅ~!」


(しっ。仲のいいアベックの振りをして警官をやり過ごすの)


ルルナがアベックの振りをしてぅ、電車の車両のボックス席の中でぅ、僕に抱き着ついてぅ、キスをする振りをしたぅ~!


> おっ。それだ。それ。

> ソフィーナちゃん、演技だ。

> 伊藤。おぬし、役得よのう。

> ぬふふ。エロざますw

> なに!? なんで抱き着いてるの?

> いま、いきなり、二人が抱き合う映像が見えたけど。

> しっ。今。大変な場面。みんな真面目にやって。

> りょ

> りょ

> りょ


「いやーーん。もーー、たーくんたら。我慢できないんだから。ちゅっちゃっ」


ルルナが僕の頬のキスする振りをして顔を近づけてちゅっちゅっと音を鳴らしたのでぅ、そういう場合じゃないのにぅ、僕はドキドキしたぅ~!


ちゅっちゅっ ちゅっちゅっ


> うわお。ソフィーナちゃんの顔面ドアップ

> キスしてる振りしてる

> 悪役令嬢のキスした振りってすごいね

> スマホを持つ伊藤に迫ってキスの振りかのう

> いい絵だのー


うわぅっ。ルルナの顔面ドアップぅ。かわいいぅ・・・


まつげながぅ・・・顔がちっちゃくてぅ・・・垂れ目でかわいいぅ・・・



> わくテカわくテカ

> ふひひ。

> 伊藤。お前。

> かいじぃいいいいい

> うおおおおおおん

> ソフィーナちゃん。伊藤とキス


けどぅ、まもなく警官は嫌な顔をしながらぅ、僕らから遠ざかった次の車両に入って行ったぅ~!


ごとん・・・ごとん・・・

ごとん・・・ごとん・・・


> おおお。

> 警官が去っていくのぅ。

> こいつは楽しい。

> 逃亡ごっこじゃのう。

> 恋人のふり


「やりすごしたわね。ええと、視聴者のみんなに報告するわね。今、電車の中で警官が入って来て、演技して私たちは逃げたとこ」


> おおお。大丈夫か? ソフィーナちゃん。

> 気をつけろよ。

> こりゃたいへんだ。

> やるだけはやってみるべきだと思う。

> がんばれソフィーナちゃん。

> うまく逃げろよ。


ルルナは僕にウィンクして話を続けるぅ。僕は周りを警戒しながらぅ、スマホの画面でぅ、視聴者のコメントを読んでいたぅ~!


> それで破産宣告はできないって話だったろ?

> なにか手はあるか?

> おっ、俺あるぜ?

> なになに?

> びっくり連気釜っていうのがあるんだよ。


> えっ? 錬金釜?

> えっ? 知らない。

> びっくりはミラクル。

> びっくりすごすぎ。

> あれは笑えたな。あれで金持ちになれるとは。


> ああっ。それな。なんか、インドのリジャル・ゲイスがそれを使って50憶稼いだっていうヤツだろ?


> そうそう。それだ。

> ああ。あのいわくつきの錬金釜だろ?

> そうだな。ゲイス氏はエロで稼いだ

> ぬふふ。エロざますw

> やるべきものはやはりそれではないでしょうか草

> やれる。

> いける。やれる。

> むふふ。

> ぶらじゃー


えええええええええええええぅ。


エロってぅ。エロってぅ、そりゃないよおおおおおおぅ。


「あのぅ、視聴者のみなさんぅ~! その僕ぅ、エロについてはぅ・・・苦手でぅ~!」


あっぅ、同接数が1万に下がったぅ。


がーーーーんぅ!! うそおおおおおおおおおおおおおぅ。


> 伊藤。エロを受け入れろ。

> エロしかない。

> 母さんを助けたいなろ?

> やるしかないんだ。伊藤。お前の行く道はそこしかない。

> やれ。伊藤。

> 伊藤やれwwww


・・・でぅ、でもぅ、


ううぅ・・・んぅ。母さんを助けるためにはぅ、エロしかないのかぅ?


それを考えるとぅ、やっぱりびっくり錬金釜というのがどうしても気になるなぁぅ。


でもぅ、悩むなあぅ。


ああぅ。でもぅ、僕でも30億円を一発逆転できるかも知れないかも知れないしぅ・・・


思わず興奮して本が出たぅ~!


ポンっ


https://kakuyomu.jp/works/16817330658480674724


慌ててぅ、僕は本をポケットに隠したぅ~!



> しかし、ソフィーナちゃんにエロは。

> いや、この際、エロにすがってでも。

> 30億を稼ぐにはエロしかないでwww

> ぬふふ。エロざますw

> やるべきものはやはりそれではないでしょうか草

> やれるよなあ。

> いける。やれるwwww


そのときぅ、迷ってる僕に対してぅ、ルルナが明るく言ったぅ。


「それを教えて! お願い。下僕さんたち。この際、エロでもなんでもいいわッ! わたし、がんばっちゃうからねっ! 覚悟しなさいよね隆起っ! 悪役令嬢のお仕置きよ~♪」


車窓が終わりが終点に近づいていたぅ~!


📢「まもなくーーー。終点みしまーーー。終点みしまーーーー。みなさーーん。三島に来たらコロッケを買いましょう~♪ 三島コロッケー♪ 100円で買える名物です~♪」

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