第26話 魔王様のいじわる

 蓮side

『蓮、そんないじわるなことするわけないでしょ』


「いやあ、霊歌ちゃん、嘘ついてるのはわかってるからね」


 蓮は作り笑顔で電話で話をする。


『蓮、嘘はついてないわよ』


 静かな声で電話越しで霊歌は答える。


「それじゃあ言い方を変えるけど、影森君の情報の一部を外したでしょ?霊歌ちゃん」


『わたくしの判断でいらないと思って外したよ』


「ありがた迷惑だよ霊歌ちゃん」


『あら、外した影森君の情報が欲しいのかな蓮?』


「すぐ欲しいから頂戴」


『ええ、イヤだ』


「ええ?そこは空気を読んでくれるものでしょ」


『ただであげたくはないかな』


「霊歌ちゃんのケチ、いじわる」


『……それじゃあ、


「ありがとう。霊歌ちゃん愛してる」


『いえいえ、どういたしまして』


「それじゃあ、すぐ用意して貰えるかな」


『わかったわよ。すぐ携帯にデータで送るね』


「ありがとう。霊歌ちゃん」


『後、もつけて置くから』


「色々ありがとうね」


 蓮は電話をきる。


 アイside

「……蓮、どういうこと?」


 電話を終えた蓮にアイは怒った表情で声を掛ける。


「え?電話の会話通り、影森君の情報について聞いただけだよ」


蓮は無表情で答える。


「どうして影森君の情報がないのに気づけたの?」


アイは蓮を見る。


「え?何となくかな?」


 蓮は笑顔で答える。


「ふざけないで」


 アイは怒った表情で蓮に目をあわせる。


「……影森君の資料みていてさあ、明らかに栄養状態や筋肉の付きが良いんだよね」


 笑顔で蓮はアイを見る。


「どういうこと?」


「多分、影森君、誰かと関わっていたか資料にない何かをしていたんだと思うね」


 蓮は疲れた表情を見せる。


「どうして疲れた表情をしているの?」


 アイは蓮の様子を見る。


「そりゃあ、霊歌ちゃんと話をしたからだよ」



「楽しそうに話しているようにしか見えなかったんだけどね」


 ジト目で蓮の目を覗き込む。


「霊歌ちゃんと話すのは楽しいんだけど意外と気をつかうから疲れるんだよね」


「……そうなんだ」


「お、来たね」


 蓮のスマホが反応して確認し始める。


「影森君の情報?終わったら送って?」


 興味のある表情を見せ、蓮に聞く。


「霊歌ちゃんから(アイちゃんには見せたらダメ)とメッセージ来たんだよね」


 蓮は渋い表情でアイに答える。


「蓮、送りなさい。むしろ見せなさい」


「はい」


 蓮のスマホをアイに渡す。


「あ、ありがとう」


 素直に渡されアイはとまどいを見せる。


「……蓮、影森君の情報ないんだけど?」


「霊歌ちゃんから(見たらすぐ消しなさいという)条件付きだからね」


「……蓮」


 怒った表情を始め蓮をにらむ。


「霊歌ちゃんだけは怒らせたくないので、見せて貰いたいなら直接お願いしてアイちゃん」


「わかったわよ。蓮」


 渋い表情にアイはなる。


「さあてと影森君の空白部分もわかったので解散するよ雪花ちゃん、アイちゃん」


「……うー、わかったわよ」


 アイは頬を膨らませてすっきりしない様子で部屋を出ようとするとピンポーンのブザーと携帯電話が同時に鳴り始めた。

 

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