Day13 流しそうめん

 ウォータースライダーみたいに流れていく流しそうめん。

 地域のイベントに駆り出された俺は、流れていくそうめんをただ見送っていた。

 小さい頃はアトラクションみたいで憧れていたし、実際楽しかったけれど、大人になった今は「めんどくさい」が勝つ。

 大体なんで食べるのに体力使わないといけないんだ。

 上流ばっかりたくさん食べられるなんて社会の縮図かよ。

 流しそうめんに八つ当たりする自分に、疲労の蓄積を感じながら汗を拭う。

 無邪気に楽しむ事だけ考えられたらな。

 急ぐのは仕事だけで良い、なんて夢も何も無い事考えたくないな。

 流しそうめん台の受けタライからすくったわずかなそうめんを、俺はちゅるちゅると啜る。

 水を吸ってふにゃふにゃになったそうめんはあまり美味しくなかった。

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