第56話
「ああ。いつもお前を見てた」
「故にきっと、この二日間とは始まってる。定義も付けられないあんた達は、自分を認識出来る存在を特別視し執着する気がある。そう、気がある。これも確かめる術の無い私の推測。足立は廃神社で悪さしたその日から、自分の部屋にいると視線を感じるようになったとか、外にいても常に見張られている気がしてたとか、妙な感覚に襲われるようになったと病院で守谷に話してた。廃神社での悪さから三日後に肝試しをやろうと言い出した理由は、コンビニで様子のおかしくなった守谷が言ってた通りに、おきつね様の機嫌を損ねたから。なるべく多くの人を呼んで許して貰わないといけないんだと言って、井ノ元達とうぐいす旅館に行こうと計画したのは、あんたの無言電話宜しく、廃神社を荒らされた怒りによるおきつね様の報復なんじゃない。仮に幽霊だの神だの、怪奇と一般に括られるあんた達が誰からも認識される存在なら、きっとあんたも私に
「やっぱお前は最高だよ」
心底からの賞賛を送る。最高以上で笑みが漏れる。
「幽霊を言い負かせる奴なんてきっとお前が人類初だぜ? その通りだ。モトがうぐいす旅館に入って盲腸で済んでるのは俺の気遣いだし、どいつもこいつも俺にビビってる。常に人間が行き来する土地を根城に、お前っていう見える奴を独占して毎日真人間気取りだ。誰も俺を幽霊だなんて思いやしねえ。本当は不確か極まりない、定義出来ない怪奇そのものなのに。でもいいじゃねえか。これでこの二日間の説明が付いた。俺がいる限りお前は無事だし、キイもモトも日常に戻って来られる。きっとこの一件で、辺りの怪奇共も俺達に手を出そうとは思わなくなったさ。もうこれまで通りだ。そんな所でびしょ濡れになってねえで、教室に戻って夏休みの計画でも練ろう」
「うぐいす旅館でキイを殺そうとした」
シーは刺すような視線を緩めず言った。
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