第55話
「……あれはもう寝ようとしてると思ってたよ」
「寝ようと思って布団に入ってたよ。家に帰った後も、ずっと昨日の一連の出来事について考えてた。恐らくあんたが原因に関わってるっていう仮説を振り返って、やっぱりあんたを追及出来る程度には辻褄が合うと確信したから、後は全く手を付けられていないおきつね様について調べたら、今日ここであんたを問い詰めようと決めた。クタクタだったけれど延ばしていい理由も無いし、駄目元でキイに手伝ってくれないか電話したの。コンビニ店員さんが、おきつね様の噂がある土地の最寄り駅は
「っつう事は布団の音はわざとだろ。寝るから今日はもう動き回らねえだろって、俺を油断させる為の演技だ。俺はあの時点では、お前に正体がバレてると全く思ってなかったんだから」
「そう」
「マジで頭いいよなお前」
「人を煽る時は、自分より馬鹿を狙わないと返り討ちに遭うよ」
「ただの絶賛さ。収穫はあったか名探偵?」
「ギリギリ飲み屋が賑わってる時間に行けたから何とか。そこで地元の人を探して、社会の授業で郷土史について調べてるんですけれど、私は外の土地から越して来たから、
「何で足立はそんな事を」
「守谷が部活ばっかで構ってくれない苛立ちをぶつけたんだって。帰宅部で放課後は遊んでるだけの奴には分かんないんでしょ。四月は部員確保の為の新歓ライブがあるからそれに合わせて去年の冬から練習だし、五月は新入生の初ライブの為の指導。そうしてる間に中間試験で、近隣校との対バンイベントも控えてる。それが終われば期末試験。夏休み中は対バンが増えるし地域のイベント出演も加わってと、こんな調子でうちの軽音は結構忙しい。かつ守谷は副部長の私がいるバンドだから、同期のバンドの中で一番出演本数もある。ならそれだけ人脈も広い事になるんだから、
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