第2話 式神くんの報告

晴天なある日、われは、

「お外やだ!」

と言う引き籠りのゆきちゃんをヘッドロックで固めたまま、ゆきちゃんの家を出ようとしたら、ゆきちゃんの式神しきがみ微風そよかぜくんが、

「ダメです~」

と吾を止めた。


人間で言うと5歳ぐらいに見える微風くんの、狩衣かりいを着た姿は可愛らしかった。


そんな子に、

「ほれ」

とゲーム機を渡すと目を輝かせ、熱中し始めた。


「裏切り者ー!」

ゆきちゃんは叫んだ。

式神とは言え子ども、チョロイ。


そんなゆきちゃんも、お気に入りの自転車に乗ると、15%くらい陽気になります。


 

    

      ♪♪♪♪♪





どうも♪

野良の陰陽師おんみょうじの野良のあきです。

昼間は小学校に通ってます。

親友が引き籠ってしまって、学校にはあんまり行きたくありません。


さて、今日は親友で引き籠り少女ゆきちゃんの、日干しを兼ねて、商店街のアイスキャンディー屋さんに来ています。

アイスキャンディー屋さんの前に公園があってですね、とても日差しが心地よいのです。


引き籠りの陰キャなゆきちゃんも、日差しを浴びると、お上品なお嬢様感が少しだけ復活するのです。可愛い~


さて前回、1話完結のはずが、ある事に気づいて、2話目展開となりました。


ぱちぱちぱちぱち。


と言うのもですね。

式神の認知度の低さを実感した訳です。


それで、野良とは言え、陰陽師の野良のあきの式神を紹介したいと思います。

野良なので、正式かと言うと疑問なのですが、まあ一応。


1番目の式神は【つたえる】


ぱちぱちぱちぱち。


発音は「つた↓える」ではなく、「つた↑える」だそうです。

その名の通り、伝える式神です。

まあ発音はどっちでも良いのですが、「つた↓える」と言うと「つた↑える」と訂正するので、ウザいです。


なんかちょっと前のアニメの使徒みたいな響きですが、式神がアニメの影響を受けるとは思えないので、いや思えない事もないような奴です。


あっ式神とは、あれですよ、召喚する鬼のような者です。

怪しい宗教とかではないので、引かないで下せい。


そして鬼と言っても、奴の能力は至って地味。

つたえる、伝える。

そう奴は伝えるだけなので、派手な爆裂魔法などは使えません。




淑女な吾は抹茶アイス。

お子ちゃまなゆきちゃんは苺ミルク味のアイスだ。



隣でアイスを食べているゆきちゃんの目が、キラリと光りました。

「見て見て見て、あきちゃん、あの子カッコ良くない?」

カッコよさげな男子が、自転車で公園を横切って行きました。

「うん、うん、うん、うん」

ゆきちゃんの意見に激しく同意です。

うん、めっちゃ好みのタイプであります。


吾とゆきちゃんは、私立の女子小学校に通っているため、地元の小学生の事は良く知らないのだ。


『あきさま』

そんな時、【つたえる】が吾に話しかけてきた。


「なに?」

『冴えない女子が二人揃って、冴えなさ三倍じゃん、とあの者は思っております』


つたえる、伝える。

地味だけど攻撃力は時として凄まじい。



めっちゃ好みのタイプだっただけに、吾の心に与える嘆きの衝撃波は凄まじかった。



「それは言わんでよろしい」

なんせ式神は鬼だ。人の気持ちなど解らない。そこは注意しませう。


とりあえず何も知らないゆきちゃんは、カッコよさげな男子を見てご機嫌でした♪


ゆきちゃんが楽しけりゃ良いや♪

ゆきちゃんの陽気が、35%上がり、ゆきちゃんの陽気率が50%を越えたので、今日はミッションコンプリートです。



『あきさま、雨雲です』

「あっホントだ」

『10分後に、あきさまの心のような嘆きの雨が降ります』

「余計な言葉付け加えんでいいねん」



以上、嘆きの雨が降る公園内の、アイスキャンディー屋さんからお送りしました。




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野良の陰陽師少女♪ 健野屋文乃(たけのやふみの) @ituki-siso

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