第10話


「とりあえず、ハザマどんとアルカトラズ社の同期を切ったでごわすよ」


「……一応訊くがどうやってだ。頭を切ったとかじゃないだろうな」


「いやはやまさか。カラフ殿とは違って彼女はサイボーグではない。メガネと補聴器に似せた機器を取り上げればいいだけでごわすよ。

 はい、読者にここで新情報。

 ハザマはメガネと補聴器っぽいものを付けていたでごわす。全部取り上げられたけども。メガネ好きの人、悪いね」

「……誰に言ってるんだ?」

「それは君には関係のないことでごわす。それより、この船の船長であるスミスは、船を二つに分けるつもりでごわすよ」

「二つに?」

「そういう機構が備わってるんでごわす。片方は攻撃に、片方は守りに徹するんでごわす。客人であるカラフ殿は守りの方に入っていただき、後日近い星に下すでごわす」

「……なあ。俺、なんとなくあんたらのことが気に入ってきてるんだ。賞金稼ぎとか、カラフ・エアだとかじゃなくてさ。その、攻撃の方に回ってはダメか?」

「……それゆえに、ダメなんです」

「え?」


「あたしたちも、貴方のことが気に入ってるんです。だって、あたしたち初めてなんです。死なないでほしいなんて、言われたの」



 ***


「それで、我々あるいは君たち。今後どうするつもりだね? 御母堂に逆らうと後が怖いよ」

「おう。だけどもあたしたちは彼らの真意を確かめなければならない」「それにたまには、反抗期も悪くないでしょ? でしょでしょ?」

「ふむ……相変わらず、好奇心旺盛なのが我々の唯一の欠点だな」

「ねぇハザマ。お話の続きを聞かせて。パンドラはそのあと、どうなったの?」

「パンドラ? 彼女は普通に生きたよ。子孫もできたし。罰せられたとかは聞いたことないね」

「じゃあ、箱を開けるのもそこまで悲劇じゃない。希望も一応残ったんだし」

「……いや、まあ、それもそうか」

「そんじゃあハザマちゃん。あたしたちと一緒に御母堂のとこへ殴り込みいこうぜ」




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クローンガールズ 双六トウジ @rock_54

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