第3話 夜だけが更けていく。

「パパこのあと帰ってくるの? やだよぉ……コロナ移ったらやだよぅ……」

「そうならないように明日から部屋を分けるからね。この部屋はパパ専用の部屋にするから。大丈夫だよ」

「パパ帰ってこないでぇ……」


 と、ぐずぐず言い続ける娘。一方の息子は、


「パパ、コロナになったから死ぬの?」


 と、強火の直球どストレート。


「死なない、死なない。パパは身体は丈夫なほうだからね。普段37度の熱でも平気で動いているし」


 とはいえ……過去のワクチン接種ではもれなく40度近い熱を出していたし、三回目を摂取したあとはなぜか股関節の調子が悪くなって、一ヶ月くらい違和感が残っていたのよねぇ……。


(あ、医者にかかるとなるとワクチンを打った日も聞かれたりするよな。うーん、夫が最後に摂取したのいつ? 子供たちが4月に4回目を打ったんだから、大人も4回打っているはず……。わたしは11月頃だった気がするけど、夫はいつだっけなぁ……?)


 それも調べておかないとなのか……面倒くさいことこの上ない。

 つーか横になっていたらわたしも寝ちゃいそうだ~。合間に夫にLIMEしておこう。


「『検査薬は買えなかった』と。……あれ? でも飛行機だとLIMEは通じないか。ん? というか発熱しているのに飛行機に乗れるのか?」


 国内線だから大丈夫なのかな……?


「いや、でも今から飛行機乗るってLIMEがきていたわけだし。乗れたんだよね? そうじゃないと、さすがにわたし沖縄まで看病しに行くのはできんぞ?」


 そもそも飛行機すら乗ったことがないのに、と思いつつ。

 子供たちが寝たので速効で飛び起き、とにかく眠らないようにゲームでもするかと思っていると、23時過ぎにLIMEがきた。


『いろいろ動いてくれてありがと。とりあえず無事着陸』


「着陸ってことはやっぱり飛行機に乗れたんだ。乗れるもんなんだね? というか今から羽田からこっちに戻ってくるのか。で、そのあと自分で車を運転して会社から家に戻るわけだけど……運転できるんか?」


 ということをとりあえずLIMEしてみると。


『飛行機は乗れた。ザル検査だったかもね』

『飛行機で寝て結構元気になったよ』

『ただの冷房病だと思ってる』


 という返信が。まぁ本当に冷えだったらいいなと思いつつ、冷えくらいで無駄に頑強な貴様が熱なんか出すかい! という突っ込み待ったなしだわ。


「とりあえずゲームやって眠気を吹き飛ばそう……」


 この時期にゼルダの新作が出ていてよかったわ~。やってもやっても終わりが見えないからいくらでも探索できる。へへへ……。

 泣いてなんかないぜ。笑えもしないがな。

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