第9話 初めての部活動

今は授業を終え、テニス部の体験入部に来ている。


「で、テニスってなんなんだ?」


「て、テニスを知らないの!

まあ、私もルールあんま知らないからなぁ…そうだ!テニス部の先輩に教えてもらおうよ!」


テニスのテは手でニスはワニスという塗料の略称だから、手で塗るワニスってことか?

いやでも、それはスポーツと言うのか?


『はぁ今日は2人かぁ、なんでこんなにテニスって人気ないんだろなぁ』


「あの!テニスのやり方教えてくれますか?」


「テニスってなんだ?」


『おお!君、Sクラスの北川君だよね!』


こいつ、何故俺の名を…


『いやー入学式にあんな事を宣言しちゃうなんてねー。

まあ、それはそれとしてお願いします、テニス部に入ってください!

去年までは人気だったのに今年は全然駄目で…』


「いや、俺達は入るつもりだが?」


「ま、マジで!よ、宜しく!

私の名前は國木田 沙友理 高校3年だよ!

気軽に 『さゆ姉』って呼んでね!」


「紹介はいらないかもしれんが改めて、俺は北川 佐久だ。宜しく」


「私は菊池 飛鳥、私もSクラスの生徒です」


「じゃあ自己紹介も終わったし、早速このラケットを持ってくれる?」


何だこれ?魔性杖か?

まあ俺の入った学校だ、魔法を扱う部活があってもおかしくはないか。

「テニスというのは魔法を使うのか?」


「んー、入学式のときも思ったけど中二病だよね?」


「あんなゴミ共と一緒にするな」


「それは置いといてあげて下さい」


「あーなんか触れちゃいけない系だったかー。

雑談はここまでにしてテニスの簡単なルールを紹介するよ

知ってるとは思うけど、相手のコートに1回バウンドさせられるように打ち返せば良い、それだけだよ」


「なるほど、その為のこのラケットというものだな!

すまないが俺、骨折してるんだが…」


「あーうん、帰って良いかも?」


少しガッカリさせてしまったな、こういう時はこの前家で試したときのように…良し、これで痛くない。

筋肉に力を入れて骨と骨を繋げる、少し集中力が削がれるができないよりはマシだろう。

「これでできる!」


「駄目だよ北川君」


「できるのかな?

ま、まあ良いや。

先ず さゆ が優しい玉を打つから打ち返してみて!」


「おう」


「はい」


「じゃあいくよ」


遅いと言っても何だこれスローモーションにしか見えないぞ?

「うおりゃー」


バコンッ パチン


「えっ!ん?は?はぁーーーーー!

み、見えなかった。

う、嘘でしょ!玉が早いのは勿論だけどコートギリギリでバウンドしてる!

というか、ボールは?」


「ああ、それならそこにあるじゃねぇか。

ま、まあ原型は保ててないけどな…」

こんな柔らかいボール、破れることなんて日常茶飯事なはずだ。

絶対ボールに再生魔法が付与されているはず!


「「え、えーーーーーーー!!!」」


「き、北川君がすごいってことは知ってたけどまさかここまでだなんて!」


「力が強すごすぎて、わ、破れたってこと?

いやいや、新入部員にこんな事ができる訳ないし…んー良し、忘れよ。

じゃあ一本目打つよ?」


いや、忘れるってなんだよ!

「今度はもっと速く打ってもらえるか?

遅すぎて打ちにくいんだが」



「わ、私はさっきと同じ速さで」


「じゃあいくよ、うおりゃー」


さっきよりはマシだな。

超スローからスローに変わってるからな。

まあまだ全然遅い方なんだろうがな。

それと、さっきは破れてしまったから少し弱めに打つか。

「フンッ!」


バコンッ


良し、破れてないな。

って、なんかあんぐりと口を開けて見てくる さゆ先輩がいるが気の所為だろう、何たって今回はちゃんと破裂させてないからな!


「さゆ姉さん、流石に今のは速すぎましたよ、北川君打ててなかったじゃないですか」


「いや、打ってる、しかも私本気で打ったのにさっきと同じところでバウンドしてるし、多分だけど見えてないだけで打ってる…」


「何でそんなに驚いてるんだ?

これ位できる奴どこにでもいるだろ?」


「それ、3年やってきた私に言う?」


は?さっき本気とか言ってたのは冗談だよな?

「良し、さゆ先輩もう一本」


「はぁ、最近の1年生は異次元なのかな?

まあ、これだけ上手いんだと皆の練習に混ざってもいいかな?

ちょっ、ちょっと待っててね!」


俺を他の先輩と同じ練習をさせてくれるのか!

多分、他の先輩はもっと強いんだろう。

楽しみだ!


「北川君は何でもできるんだね!

私なんて空振ってばっかりなのに…」


「多分だが、俺が例外なだけだ。

ま、少しすればこの位できるようになるだろう。」


「いやいや、3年間頑張った さゆ姉さん でもかなわないんだから到底追いつけないよ!」


あの さゆ先輩が本気と言ったのは部活に入ってほしいからだろう。

習い事の勧誘なんかでやる凄い凄い詐欺だ。


「話つけてきたから他の子と練習していいよ!」


「わかった」

ふむ、皆弱気で打っているのか球が物凄く遅い。


「お前が さゆ姉の言う北川か、私と勝負しろ」


なんかいきなり小柄な少女に声をかけられたが一見すると弱そうだな。


『あいつ、あの雪先輩に目つけられやがった』

『可哀想に、まあ誰もが通る道だ。

雪先輩と闘ってズタボロにやられて辞める生徒も居るからな。

どんまいだぜ』


なんだ?そんなに強い奴なんだろうか、まあ俺の左手を解放すればどうってこと無いが開放しなくてもこの小柄な体型からじゃ負ける気がせんな。

「良し、それじゃ頼むぞ!」


「サーブはそっちからでいい」


サーブ?

まあ適当に打てば良いんだろう。

球が破れない程度に力を込めてっと

「フンッ」


『おい、あいつ空振ったじゃねぇか。

さゆ姉さんの推薦とはいえそうでも無かったな』


「これは俺が1点でいいのか?」


「うん、私、お前、舐めてた、本気でやる」


やっと俺の凄さに気づいたか。

流石に俺よりは強いだろうからな、楽しみだ。

「俺は初心者だ、お手柔らかに頼むぞ」


「うん、本気でやる」

「ふっ」


『あ、あのサーブを返す事なんてできっこない』

『だって雪先輩のサーブはこれまで誰一人として打ち返したことがない』


なんか凄い回転がかかっている。

これは多分跳ね返ったら左にいく。

真似してみるか。

「ほっ!」


『な、打ち返した!』

『し、しかも雪先輩よりもカーブがかかってる!』

『てかボール遅くね?』


あいつらには見えないのか。

「あれは残像にすぎない、あれぐらいなら先輩のお前らだってできるだろ?」


「こ、ここだ!

あ、あれ?当たらない?」


「だから残像だっていってるだろ?

雪先輩とやら、もこれくらいはできるんだろ?」


「私の負けだ、これ以上やっても、無駄」


『なっ!嘘だろ!雪先輩が降参ってどんだけだよ、しかも2回しか打ってないのに…』

『俺たちじゃ到底かなわねぇ、駄目だ。

あいつ、本当に邪神とか宿してねぇよな?』

『お、俺はあんなの見ちまったらもうテニスやる気になれねぇ、今日で辞める』


この部活を辞められては困る。

なんたって俺の駒になるという役割があるからな。

「おい、お前ら俺にテニス教えてくれないか?」


『いやいや、俺たちじゃ手に負えねぇ。

というか、さっきのどうやったんだよ!』


「こう、手をぐいっと回すみたいな感じだ

やり方さえ分かれば簡単なはずだと思うのだが…」

我ながら完璧な説明だ。

やはり邪神の力など使わなくても人生イージーゲームだな。


『うん、全然分からん』

『そういえば雪先輩も同じような教え方だったような…』

『俺等じゃ理解できない次元の話だと言うことだけは分かるな』


それから先輩方の凄い凄い詐欺にのせられてテニス部を後にした。

まあ、飛鳥は最後までいるみたいだがな。

「しかし、あいつらテニス部の先輩は1年を入れるのに必死なのかすっごく褒めてきたな」

さあ、次は手芸部か。

良が待ってるからな。

建物が崩れないくらいの速さで…シュン

「失礼するぞ!」


「佐久君!遅いぞ!」


ヤンキー姿で口をぷくっとする姿に見惚れること10秒。

部活の先輩らしき奴が出てきた。


「君が噂の北川くんだねぇ?

私は手芸部部長、天野 かなた だよぉ」


なんだか、ふんわりとした先輩だな。

「今日はよろしく頼む」

手芸部にきたのは駒を作るためでもあるが、作った人形なんかに魂を付与して新しい駒にするためでもある。


それから一通り縫い方の説明を受けて俺は人形を作ることにした。

なかなか難しな…………………………

良しっできた!

部活が終わるギリギリになったが初めてにしてはなかなか良い出来になっただろう。

手はテニスをやった時と同様に筋肉で固めてこなした。

まあ良には止められたがな。

「良、出来たらどうすれば良いんだ?」


「えっ!もう出来たのか?一応見せてくれるか?」


「これなんだが…」


「か、可愛い!

かなた先輩、見てくれ」


「なんと!

素晴らしいのぉ!

私でもここまで完璧に仕上げるのは無理なのぉ」


また凄い凄い詐欺か。

それにしても隣から物凄い視線が向けられているのは気のせいか?

正確にはこの人形にだがな

「俺的には完璧な人形じゃねぇからやるよ」


「良いのか!」


まるで主人に尻尾を振るネコのようだな。

それからオレンジがかった空の下を二人で一緒に帰った。

明日までは妹や弟が祖父母の家に行っているらしく今日も当然のように俺の家来た。

まあ俺も美味い飯が食えるから喜んで家にあげたがな。

「今日の夜ご飯は何なんだ?」


「今日はカレーだ!

野菜は今朝切ったから大丈夫だ、すぐできる」


良の言ったとおり、カレーはすぐにできた。

「「いただきます」」

良は慣れた手付きで俺の口へカレーを運んでゆく。

それも喋らせないと言わんばかりの勢いで。

「ムグッモグモグムグッモグモグ」

まあ、美味しいから良いのだが感想くらい言わせて欲しいのだ。

そうして、完食してやっと喋れるようになった。

「今日も美味かった!ありがとな」


「いや別に人形をくれたお礼だ」


「あのクマの人形気に入ってくれたか?」

あんなので本当に良かったのだろうか?


「勿論だ!」


「そうか、次は何を作って欲しい?」

もう駒とか関係ないな、良の笑顔が見れるなら彼女の望む物を作ろうか。


そういえば、堀塚はどうしたのだろうか?

あれから無視しているがそろそろ頃合いだと思うのだがな………











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お久しぶりのイセです。


学校の行事とはいえ更新が止まってしまい申し訳ございませんでした。

本当は昨日、投稿できたのですが、別の制作中の作品に熱が入ってしまって投稿を見送らせていただきました。


自分勝手だとは思うのですが、9話で一旦打ち切りにしようと考えております。

次の考えている作品の制作を頑張りたいためです。

本当に申し訳ございません。

それでも応援してくれるよって方は次の作品までお待ちください。

昨日から制作を開始しておりますので取り敢えず溜まるまでは更新止まるとおもいます。






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闇暴きの中二病〜俺は中二病だが、ただの中二病ではない!〜 イセ @tosikuro

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